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GeForce/Radeonともにミドルレンジ以上のラインナップが完成、ベストGPUはこれだ!【PCパーツ100選 2024 ビデオカード編】
DOS/V POWER REPORT 2024年冬号の記事を丸ごと掲載!
2024年5月4日 09:05
一部を除いて価格も安定期へ?
2023年は前年に投入されたAda LovelaceやRDNA 3アーキテクチャがアッパーミドルやミドルレンジに進出した年となった。まずNVIDIAがRTX 4070 Tiから徐々に下に進出した一方で、AMDは最下位のRX 7600から上に向けて製品を投入。両陣営とも物価上昇や円安の直撃を受けて割高感のある価格でスタートしたが、年後半にかけて価格は徐々に落ち着いている。ただ、生成系AI需要の本格的高まりと米国の対中国輸出規制のおかげでRTX 4090の買い占めが発生するなど、価格上昇につながる不安要素も残る。
技術的なブレイクスルーが乏しい1年だが、AAA級ゲームにおけるビデオメモリ消費量の高さを受け、ビデオメモリ搭載量を武器にした製品が出現。また、GeForceの上位モデルで文字どおり“再燃”した12VHPWR焼損問題を受け次世代コネクタ(12V-2x6)が浮上するなど、新世代GPUの軌道修正を行なう動きも一部で見られた。
DLSS、FSRの現在地
NVIDIAはフレーム生成技術であるDLSS FG(Frame Generation)とは別に、レイトレーシングの処理にAIを組み込んだDLSSRR(Ray Reconstruction)を投入。これまでの処理では埋もれてしまうディテールの再現において大きな前進を見せた(RTX 20以降が対応)。一方のAMDは、DLSS FGに相当するFSR 3をリリース。さらにRadeon環境ならFSR 3非対応タイトルでもフレーム生成(AFMF)を可能にするプレビュードライバも公開。画質面ではDLSS FGが一歩リードするも、FSR 3の汎用性やAFMFの利便性ではAMDがアドバンテージを獲得した
ベンチマーク①基本性能を定番ツールで計測
ここでは本誌連載「GPU Round-Robin Benchmark」のデータをもとにGPUの横並び比較を行なう。前号からの差分はIntelのArcA580のみなので、改めて2023年のGPUパワーバトル全体を振り返りつつ考察したい。
「3DMark」によるパワー比べはラスタライズ系(Fire Strikeなど)では甲乙付け難い一方で、レイトレーシング系(Port Royalなど)ではRTX 40が安定して強い。RDNA 3世代のRadeonもRTX 30並みに強くなったが、RTX 40と伍すると言うにはまだ改善が必要だ。その中Arc Aシリーズは新参ではあるが“3DMarkのスコアでは”健闘している。
一方「Cinebench 2024」は3Dレンダラー(Redshift)を使用した性能を見られる。ここでは全体的にGeForce勢が強く、クリエイティブ分野でのGeForce=CUDAの安定した強さが再確認できる。
ベンチマーク②高フレームレート命の対戦型FPS
eスポーツ性の高いFPS代表として「オーバーウォッチ 2」と「Call of Duty:ModernWarfare Ⅱ」(現Call of Duty HQ)のフレームレート対決は、特定GPUに対する最適化の違いがよく分かる検証となった。まずオーバーウォッチ 2では、RTX 4090を筆頭に全般的にRTX 40シリーズが高fpsを叩き出す。だが優勢なのは上位モデルだけでミドルに近付くほどGeForceとRadeonの差が縮まった。
一方CoDのフルHDでは逆にRX 7900 XTXがRTX 4090を上回り、ミドルのRX 7600がRTX 4060を大きく超えるfpsを出している。
ベンチマーク③レイトレーシングを含む重量系ゲーム
「サイバーパンク2077」では“レイトレーシング:ウルトラ”設定だが、あえてアップスケーラ(DLSS/FSR/XeSS)は無効化し、フレーム生成技術も使わずに素のパワーで勝負させた。3DMarkのスコアが示すとおり、ここではRTX 40シリーズ、とくにRTX 4070Ti以上が旧世代やライバルを圧倒。RX 7900XTXもフルHDならば健闘するが、WQHD以上ではパワー不足を露呈した。
「Starfield」はCPUボトルネックも存在しており、フレームレートの頭打ちが確認できた。検証する場所にもよるが市街地での検証ではRTX 4090や4080が有利でRX 7000系はさらに頭打ち傾向が強い。さらにArc AシリーズではA770とA580の間に差が出ないなど、Arc Aシリーズへの最適化がなされていない(動作環境に記載されていないGPUなので当然だが……)ことも確認できた。
ベンチマーク④消費電力視点でパフォーマンスを比較
消費電力はHWBustersのPowenetics v2を用いて、3DMarkのTime Spy(GraphicsTest 2)実行中の消費電力を計測。公称TBP(Total Board Power)ではRTX 4090が飛び抜けて高いイメージがあるが、実際にはRTX3090のほうが平均が高く、Radeon勢とも大差ない。ミドルでもRX 7700 XTや7600などのRadeonのほうが消費電力が高い傾向だ。
前掲の3ゲームでフレームレート計測時に消費された電力でもRTX 40シリーズが優位。巨大な2次キャッシュの存在が省電力性能にかなり貢献していることが分かる。
2023年のレコメンドGPUはこの3モデル!
2023年のゴールドレコメンドGPUは、序盤に登場したNVIDIA「GeForce RTX 4070Ti」。1個下のRTX 4070よりもバランスのよい性能、NVEnc 2基+DLSS FG/RRといった付加価値の高さ、生成系AIとCUDAの相性のよさなどを総合した結果だ。8GB版「GeForce RTX 4060 Ti」は価格が小なれたことを評価してシルバーレコメンドとした。
Radeonに関しては、価格のわりにビデオメモリが多くWQHD向けながら4Kも狙える「Radeon RX 7800 XT」が良作で、FSR 3やAFMFしだいでは逆転でゴールドもありえたが、現状はシルバーまでと判断した。
予算3万円以下のカードを探す
ビデオカードを3万円以内で収めたい人にとって、物価高&円安の今は厳しい時代だ。RTX 3050やGTX 1650は流通量激減で入手が難しいため、Radeonの旧世代(RX 6500XTなど)を探すのが一番の安全牌か。
GeForceやRadeonにこだわりがなければ、Arc Aシリーズの特価品もチェックしよう。2023年はIntel Arc A750の“超”特価販売の例が複数回観測された。消費電力や苦手なゲームがあるなど癖のあるGPUだが、AV1エンコードも使えるため下手に旧世代GeForceやRadeonよりもよい場面も。ただし、特価情報をマメに収集しないと製品に出会えない。AMDの次世代APUの性能がよければこういう苦労もなくなるのだが……。
CPU | AMD Ryzen 7 7800X3D(8コア16スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI |
メモリ | Micron Crucial Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2 ※DDR5-5200で動作) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 4090 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition、ZOTAC ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC、NVIDIA GeForce RTX 4070 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition、MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC、NVIDIA GeForce RTX 3090 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 3080 Founders Edition、NVIDIA GeForce RTX 3070 Founders Edition、ZOTAC ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC、GIGA-BYTE GeForce RTX 3050 GAMING OC 8G、ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 OC GDDR6、AMD Radeon RX 7900 XTX リファレンスカード、AMD Radeon RX 7900 XT リファレンスカード、AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスカード、ASRock Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC、AMD Radeon RX7600 リファレンスカード、PowerColor Red Devil Radeon RX 6950 XT 16GB GDDR6、AMD Radeon RX 6800 XT リファレンスカード、AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスカード、ASRock Radeon RX 6600 XT Phantom Gaming D 8GB OC、Sapphire SAPPHIRE PULSE RADEON RX 6500 XT GAMING OC 4GB GDDR6 HDMI/DP、Intel Arc A770 Limited Edition、ASRock Intel Arc A580 Challenger 8GB OC |
システムSSD | Micron Crucial T700 CT2000T700SSD3[M.2(PCI Express 5.0 x4)、2TB] |
ゲームSSD | Silicon-Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCIExpress 3.0 x4)、2TB]×3 |
電源 | Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Titanium) |
OS | Windows 11 Pro |
オーバーウォッチ 2 | 画質“エピック”、FSR 1/2 OFF、フレームレート制限600fpsに設定、マップ“Eichenwalde”におけるbotマッチ観戦中のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
Call of Duty:Modern Warfare Ⅱ | 画質“極限”、アンチエイリアス“ウルトラ品質”に設定、ゲーム内ベンチマークを再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
サイバーパンク2077 | 画質“レイトレーシング:ウルトラ”+FSR2 OFF、ゲーム内ベンチマークを再生中の実フレームレートを「CapFrameX」で計測 |
Starfield | 画質“ウルトラ”、FSR2 OFF、ゲーム中の都市“ニューアトランティス”内を移動する際のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
消費電力 | HWBusters「Powenetics v2」を利用して計測 |
アイドル時 | システム起動10分後の平均値(計測時間3分) |
高負荷時 | 3DMark―Time Spyデモ実行中の平均値および最大値 |
10Wあたりのフレームレート | Powenetics v2で得られたベンチマーク中のTotal Board Powerから10Wあたりのフレームレートを算出しもっとも高い値を出した解像度における値を比較 |
[TEXT:加藤勝明]
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今回は、2023年末に休刊したDOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載しています。
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