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ATX3.0対応モデルが目白押し!12VHPWRは12V-2x6に置き換わる!?【PCパーツ100選 2024 電源ユニット編】
DOS/V POWER REPORT 2024年冬号の記事を丸ごと掲載!
2024年6月5日 07:05
ハイエンドは1,000W以上、ミドルレンジの主流は850W前後へ
2023年は電源の新製品が次々登場した。それを見ると出力のトレンドが浮かび上がってくる。最近は750W、850Wといった出力帯のモデルが増加中。今やこの出力帯がボリュームゾーンなのだ。実際のPCに置き換えるとアッパーミドルクラスのビデオカードを搭載するゲーミングPCがターゲットだろう。
現在、自作するPCの電源出力を見積もる際の目安にすべきはまずビデオカード。PCIExpress 8ピン×1基ですむミドルレンジは、CPUやシステムの消費電力を加味しても550W、650Wクラスでまかなえるだろう。その上のアッパーミドルは冒頭のとおり750Wや850W。ビデオカードを搭載しないローエンドは、CPUのみ考慮すればよいので400Wクラスの出力があれば余裕だろう。小出力帯の電源は数が少ないため、現実的にも550Wクラスの製品から選ぶことになるだろう。いずれリフレッシュモデルが投入されると思われるが、今現在は既存製品から信頼できるものを選びたい。
CPUの消費電力も増大傾向にある。数年前ならTDP(消費電力の目安)が参考になったが、温度や電源の許す限りブーストして性能を向上させるようになった現在は、そのブースト時の消費電力の目安としてIntel CPUならMTP、AMD CPUならPPTの値を見る必要があり、マザーボードによってはこれを大幅に超える値が設定されることもあるので要注意だ。そして極端な例ではあるが、HEDT(ハイエンドデスクトップ)向けのRyzen Threadripper 7000シリーズのTDPは最大350W。ビデオカードも加えれば1,000Wクラスの電源が必須と言える。
消費電力1,000W超の世界はコンセントの限界との勝負
ウルトラハイエンド構成の消費電力はとどまるところを知らない。Ryzen Threadripper 7000シリーズの350WにGeForce RTX 4090の450Wを足すと800W。効率のよい負荷率50%での運用を目指せば1,600W電源が欲しいが(後述の制限あり)、負荷率は62%と高めになるものの1,300W電源を使うのが現実
的だ。
それ以上の構成ならどうだろうか。たとえばAI用にもう1枚GeForce RTX 4090を搭載すると計算上1,250Wになる。1,600Wクラスの電源の仕様を見ると国内のAC100V環境では最大出力は1,300Wになる。1,300W出せればギリギリ運用できそうだが、それよりも100Vに対して10A超を連続出力することのほうに気を使う必要がありそうだ。いっそコンセント自体を200V化すれば定格の1,600Wで使えるし、1,300W使用したとしても流れる電流は6.5Aですむ。一般人にはまだ早いと思われるが、1,000W超の世界に踏み込んだ逸般人は200V化にチャレンジしよう。
12VHPWRは「12V-2x6」にアップデート
ケーブル1本でビデオカードに最大600Wを伝送する12VHPWRだが、端子部の接触不良による発火も報告されており、改良を加えた12V-2x6に置き換わると言われている(一部最新製品はすでに変更も)。下の写真はビデオカードのものだが、左が現行の12VHPWR、中央が12V-2x6。見比べると12V-2x6は4ピン用意されたセンサーピンが短くなっており、奥まで挿し込まないと信号が流れない。Corsair Gamingの情報によると電力ピン側は長くなっているとされる。そして、Super Flowerの情報では12V-2x6端子上の「H++」の刻印が12V-2x6対応の目印。実際に刻印を確認した。
電源ユニット側でも12V-2x6対応をうたうモデルがリリースされ始めている。ただし、12V-2x6対応をうたう電源でも本体側のコネクタ自体は12VHPWRとの違いは分からなかった。また、付属のケーブルも12VHPWRと同じものであるように見えた。Corsairの情報には、既存の12VHPWR対応電源ユニットは下位互換があるため12V-2x6対応ビデオカードをそのまま利用できるとある。電源に関しては急ぎ買い換える必要はなさそうだ。
[TEXT:石川ひさよし]
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