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強化ガラスの使い方がさらに進化、小型モデルにもキラリと光る1台が【PCパーツ100選 2024 PCケース編】
DOS/V POWER REPORT 2024年冬号の記事を丸ごと掲載!
2024年5月16日 09:05
ケース内部の演出を存分に楽しめるユニークなモデルが登場
多数のケースファンやファンマウンタを装備し、風通しのよいメッシュ構造を採用する「冷却重視型」が新製品のほとんどを占めるのは、2020年から続く傾向だ。しかしデザイン面では新しい流れが生まれている。
一つは「ピラーレス構造」を採用するモデルの増加である。こうしたモデルでは基本的に、前面と左側面に強化ガラスを採用する。これだけなら別にめずらしいものではないが、ピラーレス構造の場合、前面左で天板を支える支柱(ピラー)がない。視線を遮るものがないため、まるでショーケースに飾ったときのようにマザーボードやビデオカードなどのデザインが楽しめるのだ。アドレサブルLEDによる美しいイルミネーションも、ピラーレス構造ならさらに映えるだろう。
こうした魅せるPCというトレンドは、小型ケースにもおよんでいる。たとえばThermaltakeの「The Tower 100/200」シリーズでは前面が強化ガラスになっており、やはりショーケースのような印象を受ける。組み込んだパーツをじっくり眺めて楽しむには、もってこいのスタイルと言ってよいだろう。
PCケース自体のデザインにこだわるメーカーも増えている。異なる素材、たとえば木材やアルミ素材をワンポイントに使うことで質感を高め、高級感を高める製品がいくつか登場している。また現代美術をモチーフにしたり、季節限定のカラーリングを用意するメーカーも増えた。
こうしたデザイン重視のPCを、机の下に置いて使うのはもったいない。MOD PCのように、自作PC自体を机の上に置いて眺めて楽しむのもオツなものだ。
ケーブルが整理しやすいデュアルチャンバー構造のケースが増加
デュアルチャンバー構造とは、内部を二つの領域に分け、それぞれの領域にパーツを振り分けて組み込む構造のことである。2023年に目立ったのは左右にスペースを振り分け、左にはマザーボードやビデオカードなどのメインパーツ、右には電源ユニットやストレージを組み込むというスタイルだ。実は上下に振り分けるスタイルもデュアルチャンバー構造と呼ばれることがあるのだが、ここでは左右分割のスタイルを解説しよう。
この構造のメリットの一つは、エアフローの効率化だ。CPUやビデオカードを組み込む左エリアにケースファンやファンマウンタを集中することで、左の領域に組み込んだ発熱の大きなパーツを効率的に冷却できる。また電源ユニットを組み込む右エリアは、一般的なPCケースと比べるとケーブル整理用のスペースが広い。LED用のコントロールユニットを複数台組み込んでも十分余裕があり、ケーブル整理もしやすい。
microATXにも拡張性や冷却性能が高いモデルが増える
microATX対応ケースでは、Mini-ITX対応のキューブタイプケースに近いサイズ感ながら内部構造を工夫し、拡張性を高めたモデルが増えた。こうした状況の背景には、ビデオカードの大型化がある。
GeForce RTX 40シリーズの上位モデルを搭載するカードでは、3スロット以上の厚みを持つGPUクーラーを利用するモデルはめずらしくない。こうした大型カードの利用を前提とする場合、Mini-ITXケースとしての設計にこだわるよりは、拡張スロットが最大4基のmicroATXモデルにしたほうが自然だ。個人的には、拡張性と小型化を両立した「水冷特化型Mini-ITXケース」の進化形にも思える。
またこうした拡張重視型microATXケースは、水冷特化型Mini-ITXケースほど小さくない。内部にある程度の余裕があるため大型空冷CPUクーラーも利用できるし、簡易水冷型CPUクーラーのケーブルも、ゆったりと引き回せる。初心者でも扱いやすいため、小型ゲームPCにマッチしている。
組み込む構成に合わせて「大胆トランスフォーム」が流行の気配?
内部構造の変更と言うと、シャドーベイや各種ベイが着脱できる構造を想像するユーザーは多いかもしれない。しかしIn Winの「ModFree」シリーズでは、マザーボードやビデオカードを組み込む中央のコアユニット、前面や上部のファンマウンタ部分、下部の電源ユニットマウンタなどを個別に分離できる構造を採用する。さらには組み込みたいパーツに合わせてそれらを最適な場所に組み換えたり、コアユニットを上下逆にしたりと、かなり自由に内部構造を変更できる。
内部構造自体は固定ながら、パーツの組み込み場所をある程度自由に変更できるのが、Suzhou Geometric Future Technologyの「Model 2 THE ARK」だ。パーツのサイズやフォームファクターなどに合わせて八つの組み込みパターンを用意しており、一般的なPCケースとはまるで異なる内部構造を採用している。こうした内部構造の大胆トランスフォームやパーツに対する柔軟な対応は、今後のトレンドになるかもしれない。
ベンチマーク 2024年注目の8モデルを徹底検証!
今回はExtendedATX/ATX対応のミドルタワーケースだけではなく、個人的に注目する拡張性重視の小型microATX対応ケースからも選抜した。こうした小型ケースでもミドルタワーケースに匹敵する冷却性能を得られるのかどうかも見どころとなる。
CPU温度が80℃ともっとも低かったのは、ROG Hyperion G R701(G R701)と3000D RGB AIRFLOW Mid-Tower PC Case(3000D)、Prime AP201 Tempered Glass MicroATX Case(AP201)の3モデル。14cm角ファンを4基装備するGR701、前面に装備する3基の12cm角ファンでストレートなエアフローを構築する3000Dは当然の結果だ。AP201では12cm角ファンを背面に1基しか搭載しないが、この背面ファンがCPUクーラーに近いこともあって、CPUクーラーからの排気が加速されたようだ。ちなみにCPS C3 T500 ARGB以外は80 ~ 82℃と、CPU温度には大きな違いは見られなかった。
GPU温度が低かったのは、Performance 1FTとGR701で61℃。どちらも大型の14cm角ファンを多数搭載する冷却重視型ケースで、外気をたっぷり取り込んでビデオカード周辺に送り込める構造が功を奏した。一方でmicroATXのAP201とA3のGPU温度はかなり高い。ケースファンが少ないためエアフローが弱く、ビデオカードのまわりに新鮮な外気を取り込みにくい構造であることが影響したのだろう。
CPU | AMD Ryzen 9 7900X(12コア24スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX B650-A GAMING WIFI(AMD B650)、ASUSTeK TUF GAMING B650M-PLUS(AMD B650) |
メモリ | CFD販売 W5U4800CM-16GS(PC5-38400 DDR5 SDRAM 16GB×2) |
ビデオカード | GIGA-BYTE GeForce RTX 4070 WINDFORCE OC 12G(NVIDIA GeForce RTX 4070) |
SSD | Western Digital WD_Black SN850 NVMe WDS100T1X0E-00AFY0[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB] |
電源ユニット | Corsair RM750e(750W、80PLUS Gold) |
CPUクーラー | DeepCool AG620 ARGB( サイドフロー、12cm角×2) |
OS | Windows 11 Pro |
室温 | 21.7℃ |
アイドル時 | OS起動から10分後の値 |
高負荷時 | OCCT 12.1.14の「Power Supply」を10分間実行したときの最大値 |
各部の温度 | 使用したソフトはOCCT 12.1.14でCPU温度はCPU(Tctl/Tdie)、GPU温度はGPU Temperature |
Ryzen 9 7900XのPPT | Ryzen Masterから「Precision Boost Overdrive」の「PPT」を115Wに設定 |
[TEXT:竹内亮介]
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DOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載
今回は、2023年末に休刊したDOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載しています。
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