ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

日本ソフトバンク『MacUser』~想い出の“20世紀パソコン雑誌”たち~

毎号、CGが表紙として用いられてきました。基本的には特集記事に合わせたイラストが採用されていましたが、今見ると当時らしい“いかにも”なCGなのがわかります。

 現在ではあまり見かけなくなってしまったものの、20世紀には数多くのマイコン・パソコン雑誌が発売されていました。中には、当時読んでいた雑誌に影響を受けて後の人生が決まった、という人もいるかもしれません。ここでは、それら20世紀に発売されたマイコン・パソコン雑誌を取り上げ、紹介していきます。

 今回は、1993年に創刊されたMacintosh専門雑誌の『MacUser』を取り上げました。

Macintosh専門誌ということで、当初から全般的にプリンタやスキャナ、モニタ、DTPソフトにオーサリングソフト、フォントといった、マルチメディア系やDTP関連のハードやソフトの広告が多く入っていました。いくつか掲載してみましたが、どれもこれも懐かしいものかもしれません。

 20世紀に創刊されたパソコン雑誌は、主軸がビジネス向けか、またはゲーム系情報誌かで大きく分類することができました。しかし、一部にはそこに収まらない雑誌も存在します。それが、機種別雑誌でした。主に、ソフトバンク系の『Oh!PC』などをはじめとする「Oh!」誌や、新紀元社から発売されていたNECパソコン専門誌の『PCマガジン』、そしてMSX関連情報のみで構成された雑誌『MSXマガジン』などがあります。そんな中、この手の雑誌で一大勢力を誇っていたのが、Appleから発売されていたパソコン「Macintosh」を専門にした雑誌でした。

 Macintoshというパソコンは、1984年1月24日にアメリカで発売された後に日本にも上陸して、徐々にユーザー数を増やしていきます。このあたりの詳細に関しては別の機会に取り上げるとして、Macintoshを使う人が増えれば情報への需要も増えていくもの。そうなると、1980年代前半に多数創刊されたパソコン雑誌のようにMacintosh雑誌への要望が高まっていき、1990年前後になると数々のMacintosh専門雑誌が創刊されることになりました。

 そのうちの1誌として今回取り上げたのが、ソフトバンクから刊行されていたMacintosh専門雑誌『MacUser』です。1993年も終わりが見えてきた11月18日に、創刊号がCD-ROM付きで特別価格980円にて発売されました。以降、毎月18日発売で刊行され、ほとんどの号にCD-ROMが付録として同梱されることとなります。創刊号から1997年6月号までは「パーソナルプロダクティビティ向上のためのMacintosh専門誌」、7月号以降は「読める・わかる・使える Macintosh総合情報誌」がキャッチコピーとして使われました。

 アメリカで発売されていた雑誌『MacUser』の日本語版として登場した本誌ですが、もちろん日本独自の記事なども掲載されています。雑誌としては定番となる新機種の紹介や新しく発売された周辺機器の掲載、新作ソフトのレビューといった記事が多かったのですが、この時期にはどの雑誌でも見かけることとなるハードウェアパワーアップコーナーなども載っていました。さらには米国Ziff-Davis社の紙の雑誌『MacWEEK』の誌面を飾った記事の翻訳も誌面に登場していたのですが、今で言うところの『MacRumors』サイトに書かれるような噂などをまとめたコラム『Mac the Knife』などは、当時筆者の周りでも読んでいる人が多く、そこに書かれた嘘か本当か分からないネタを元によく盛り上がったものです。特にこの当時は、今と違ってインターネットもようやく少しずつ普及し始めたばかりの時期だったので、仮に新機種購入を考えたときに「いつ買えば良いのか」と思案を巡らせて新機種の噂などを仕入れようと思うと雑誌に頼るしかなく、そのような信憑性が不明の情報を読んではあれこれと悩んだものでした。

 それに関連した話題としては、Macintosh専門雑誌全般に言えることですが、コラムページが多く読み応えがある、というのも特徴かと思います。誰のコラムを載せるかで出版社ごとの特徴が出ていて、それを楽しみに筆者も当時発売されていたMacintosh関連雑誌を毎月買いあさったものでした。

こちらは創刊号に掲載された、この時期にMacintosh&Adobeを代表するアプリケーション『Adobe Photoshop』の広告です。1993年11月時点でのバージョンは2.5Jで、ここからMacintosh版だけでなくWindows版もリリースされるようになりました。筆者が初めて使用したのは1.0.8Jだったので、レイヤ機能がありませんでした。

 そんな『MacUser』誌の特徴の一つとして、ほぼ毎号にわたってCD-ROMが付録だったというのもあります。この付録CD-ROMは当初は「MAC BIN」と名付けられ、後に本誌がリニューアルされた1997年7月号からは「MacUserROM」と呼ばれ休刊号まで雑誌にお供することとなりました。CD-ROMが付かなかったのは、どうやら創刊2号目だけのようです。このときは代わりに、「MAC BIN di」という3.5インチFDが付録になりました。

 付録CD-ROMでは独自のアプリケーションからコンテンツをブラウジングできたため、初心者でも簡単に見ることができたのが便利な部分といえます。他にも、CD-ROMには各種市販ソフトのデモバージョンが多数盛り込まれていたので、購入前にあれこれと試すことができたのも重宝しました。ネットワークが充実した今でこそ、体験版は各メーカーのサイトからヒョイヒョイとダウンロードして試すことができますが、この時代はまだまだそんな環境は整っていなかったため、デモ版であれ自分自身でソフトの挙動を試すことが出来たのは、雑誌のレビュー記事よりもありがたかったという人も多いはず。それ以外にも、この時期に旬だったり人気のあったオンラインウェア(PDSと呼ばれていたソフトやフリーソフトなど)を集めて収録していたりもしていたので、パソコン通信・インターネット環境が整っていなかったという人にとっては、非常にありがたい付録だったかと思います。実際に、筆者もその恩恵にあずかった1人でした。

 もちろん、Macintosh向けのゲームを紹介するなどのエンターテイメント関連記事や、Windows 95が発売されて以降はMacintoshとWindowsの違いを解説する連載なども掲載されていました。早い時期にはMacintoshユーザーにはお馴染みのResEditを使用してのちょっとしたアプリケーション改造記事や、Mac OS 9まで付属していたHyperCardを使用したスタック解説講座なども載っています。

 雑誌としての雰囲気は全体的にやや堅かったものの、随所にフワッとした優しさを感じるような構成になっていて、個人的には非常につきあいやすい雑誌でした。そんな『MacUser』ですが、本家『MacUser』との提携が解消されたことを受けて1998年4月号で休刊となり、以後はWebへと活動の場を移していきます。