ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ほぼグラフィックなしのアドベンチャー『ゴルゴ13シリーズ PART 1 フルシチョフの亡霊』

パッケージイラストとしては立ち姿と横顔のゴルゴ13、さらに背景には舞台となる地域の世界地図が描き込まれています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、今も高い人気を誇る漫画『ゴルゴ13』を元にして、1983年に発売されたアドベンチャーゲーム『ゴルゴ13シリーズ PART 1 フルシチョフの亡霊』を取り上げます。

 アドベンチャーゲームが流行していた1980年代前半には、数多くのタイトルが発売されました。当時はオリジナル作品が大部分を占めていましたが、いくつかは原作のあるソフトも登場しています。そのうちの1本が、CSKと東映がタッグを組んだブランド“FILCOM”より登場した『ゴルゴ13シリーズ PART 1 フルシチョフの亡霊』です。リリースされた時には、自分のパソコン内でゴルゴが活躍するのか! とワクワクしたものですが、その結末は……。そんな本作のプロローグは、以下のようになっていました。

 1984年、西ドイツ・ミュンヘンで一人のナチス戦犯が捕らえられた。彼は、全世界を震撼させるほど秘密を知っていた。おりから大統領選の年である。ケネディ陣営は、この秘密が暴かれることを極度に恐れた---。

FILCOMブランド第1弾は、1983年3月前後にアナウンスされた『198X』で、その後にこの『ゴルゴ13』のイラストを使用したバージョンの広告が雑誌に掲載されています。FILCOMブランドでは、その後も映画を原作にしたタイトルなど、多数の作品がリリースされました。

 プレイヤーは、ケネディ家の選挙参謀であるトーマス・ダニガンの役割を果たすべく、ゲームを進めていきます。状況は逐一、モノローグ(独白)の形でディスプレイに表示され、プレイヤーの決断が必要な場合はカーソルが点滅、コマンド入力を促しました。

ゲーム開始時に表示される、ゴルゴ13のCGです。FM-7版も似たような感じのタイトル画面ですが、PC-8801版はモノクロでした。なお、使用されているCGは、このシーン以外はエンディングのみでした。

 本作のコマンドはカタカナで入力する形式で、動詞単体・あるいは名詞+動詞で打ち込みます。ただし、追われている時に“マク”という単語を要求されるなど一部難解なシーンもありましたが、それでもカタカナでプレイ出来るということで、英語よりは格段にハードルは下がっていると言えたでしょう。

ゲーム中にコマンド入力を要求された時は、カタカナで打ち込みます。一部難しいシーンがあるものの、ほとんどは悩まずに進めるでしょう。文字の情報量が多いですが、漏らさずチェックすることがゴルゴ13に会う近道となります。

 最初のシーンでは、プレイヤーの元に手紙が届いていることが分かりますので、「テガミ ミル」と入力すると、画面には封筒の表面と裏面がアスキーキャラクターで表示されます。この時期には、既に『タイムシークレット』『デゼニランド』『ポートピア連続殺人事件』などのグラフィック画面を使用したアドベンチャーゲームがありましたが、本作はほぼグラフィックなしのテキストアドベンチャー形式で進んでいくのが渋いところでした。ちなみに、アスキーキャラクターで画像が描かれる場面も、この場面のみです。

最初の場面でコマンドを入力すると、画面には封筒の表裏が表示されます。これも後のヒントとなっていました。

 届いた封筒に手紙が入っていることがわかったので、続いてコマンド「テガミ ヨム」と打ち込むと、暗号が書かれているとのメッセージが表示されます。この暗号を解読しなければ、後々先に進むことができなくなるのですが、これが非常に高難易度でした。マニュアルには「どうしても解けない人は暗号の答えを入力するところでG13を入力すると、答えが出て先に進めるようになっています」と書かれているので、一つ目の暗号はこれで突破出来ます。しかし、2つ目の暗号はプレイヤーの努力で答えを見つける必要があり、分からないと行き詰まってしまうことに。

 この時期のアドベンチャーゲームは一本道が多かったのですが、本作は2つほどのルートに別れていて、2つ目の暗号が登場しないストーリーも用意されていました。とはいえ、そちらは最終的にはゲームオーバーになってしまうので、結局は高難易度の暗号を解読するハメになるのですが……。

コマンドを間違えると、あっさりとゲームオーバーになることも。その場合、BASICに戻ってしまいます(笑)。もっとも、もう一度“Run”すれば改めて最初からプレイすることができました。

 最大の特徴としては、なんと言ってもゴルゴ13がほぼ登場しないという部分ではないでしょうか。ゲーム中に出演しているのは、トーマス・ダニガンと関係者のみ。最後に“ゴルゴ13ニレンラクヲトリマスカ”と聞かれて“ハイ”と答えると、CGが描かれた後にセリフ「 ヨウケン ヲ キコウカ…… 」が表示されてゴルゴ13が初登場となる、という感じでした。もっとも、漫画版でもゴルゴ13がほぼ登場しないエピソードが複数あることを考えれば、本作もそれほどイリーガルというわけではないのかもしれません。

これが、問題の暗号です。左が元の暗号文で、右が答えです。筆者の頭ではクリア出来なかったので、PC-8001mkIIコミュニティの明晰な頭脳の力を借りて突破しました(苦笑)。独力でクリアしなければならないのが、3枚目の写真に書かれた暗号です。興味のある人は、是非挑戦してみてください。

 なお、CGはすべてゴルゴ13のために用意されていて、オープニングとエンディンググラフィックのみに使われています。今回取り上げたのはPC-8001mkII版なのでCGも粗めですが、PC-8801版ではテープからロードしながらゴルゴ13のオープニングCGを描くという手法が採られていました。説明としては、PC-8001mkII用テープ版『ロードランナー』のロード画面や、PC-8001用『マリオブラザーズ』のロード画面、PC-6001mkII用テープ版『ドアドアmkII』のロード中画面と書くと、ある一部の人にはしっくりくるかもしれません(笑)。

 タイトルにPART1とあるように、この後『PART2 突撃工兵』『PART3 視界外標的』と続き、それら3本をクリアすることで一つのストーリーが完成するようになっていました。

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