ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
Jモジュールで違法コピー対策、ボーステックの『トップルジップ』
2022年5月31日 00:00
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、ボーステックから発売されたコミカルなキャラクターがレースを繰り広げる、シューティングレースゲーム『トップルジップ』です。
1980年代も半ばを過ぎると、いくつかのジャンルを混ぜ合わせたようなソフトが次々と登場します。そのユニークな発想に興味を惹かれ購入したタイトルがある、という人もいるかもしれませんが、今回取り上げた『トップルジップ』も、そんな作品の1つと言えるのではないでしょうか。本作は、以下のようなストーリーでした。
ここはフロリック星。大勢の観客が集まってモニタを見つめていると、多数の宇宙船(ヒコーキ)たちが映し出された。なんと、ここで開催されるヒコーキレースで優勝すれば、フロリック星のプリンセスと結婚出来るのだ。とはいえ、このレースには何か隠された秘密があるらしい。果たしてキミは、試練を乗り越えて優勝をつかみ取ることができるだろうか?
プレイヤーはヒコーキ“Zipping号”に乗り込み、多数のライバルを蹴落としてレースでの優勝を目指すのが目的でした。見た目がシューティングゲームっぽいため、弾をバリバリに撃って敵を倒すゲームのように思えるのですが、実はもう少しほのぼのした感じの謎解きレースシューティングというジャンルです。
自機はテンキーで8方向に動くほか、スペースキーでミサイルを発射することができます。各面は横が2画面分あり、縦方向にはループする仕組みでした。ステージには青と黄色のツートンカラーのカプセルが落ちている事があり、ミサイルを撃ち込むと中に入っているアイテムが出現、これを回収することで装備が有利または不利になります。
レースということで、ゲームが始まると画面内にはライバルのヒコーキが次々と登場し、ミサイルを撃ちながらZipping号にアタックをしてきたり、我関せずと通り過ぎていったりします。
相手の撃ったミサイルに当たってしまうとダメージとなり、Zipping号のエネルギーが減少。0になると、以降はダメージを受けると地面へ回転しながら落下していくのですが、その際にスペースキーを連打することで復活することが可能でした。
反対に、ライバルのヒコーキにミサイルを当てると機体が炎上して動きが止まります。そこに(相手の機体が炎上していなくても)自機をぶつけるとカプセルを落とすことがあり、ミサイルを当てればそこからもアイテムが登場!ところが、回収しないと他のライバルヒコーキが取ってしまうことも……
出現アイテムは、特殊なミサイルや連射、エネルギー回復などの有利になるものが多いですが、装備を失うマイナスのものもあるので注意が必要でした。なお、レースでのライバルには、どれだけミサイルを当てても破壊することはできません。
こうしてプレイを進めていくと、時々トンネル(ワープゾーン)が出現します。そこへ入ると別の面(世界)へとワープし、再びレースが始まるのですが、トンネルは出現位置は同じでもワープするごとに行き先が変化する仕組みでした。ただ闇雲にワープを繰り返しているだけでは、いつまでもゴールにたどり着くことはできません。これを解決するためのアイテムが、特定のライバルが所持しているレーダーです。各面ごとに持っている相手は決まっていて、その機体に体当たりしてカプセルを出現させ中身を回収すれば、どのトンネルがどの面へと繋がっているのかが画面右側に表示されるようになります。これを手掛かりにして、どこかにあるゴールを目指すのでした。
さらに、トンネルはワープするだけでなく、1-5面間での移動であれば入るたびにエネルギーも全回復します。道中はライバル達との接触や被弾でエネルギーが減りまくるので、ワープを繰り返せばエネルギーには困らなくなるでしょう。
5面にたどり着きレーダーを回収すれば、ゴールのGというトンネルが見えるようになります……が、これはバッドエンドになってしまうゴールです。実は、途中でいくつかのカギとなるアイテムを回収しないと、真のゴールへと到着することはできません。とはいえ、それほど難しい条件では無いので、何度かプレイを繰り返せば自ずと分かるかと思います。
ここまではゲームの話でしたが、本作を語る上で外せないのがプロテクト事情でしょう。当時発売されていたソフトには、パソコン購入時に付属していたユーティリティでは簡単にバックアップができないよう、プロテクトが施されていました。
しかし、時間の経過と共にプロテクトを回避してコピーされてしまうというイタチごっこが繰り返されていたということで、本作が採用したのがJモジュールと呼ばれるハードウェアプロテクトです。パソコン本体にJモジュールを接続しておかないと、ゲームが起動しない・プレイ中に抜けばゲームがストップする、という仕組みになっていました。
ゲームソフト本体にコピー防止のプロテクトがかけられていないというのは、この当時としては珍しいことで、まずはバックアップを取りましょうとマニュアルにも書かれています。万が一、メインまたはバックアップのフロッピーディスクを破損したとしても、予備は作り放題だから問題無いという話でした。
とはいえ、Jモジュールが壊れてしまえば遊ぶことはできなくなってしまうため、ある意味ではコピープロテクトのかけられた既存ソフトとなんら変わらないという話も……これらバックアップツールやコピープロテクトの件に関しては、いずれ紹介する機会があるかもしれません。
さまざまな意味で話題となった『トップルジップ』ですが、ボーステックの缶パッケージは以前に紹介した『ザ・スキーム』など、その後も同社作品で使用されていきます。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
- デカキャラが衝撃的だった「ザナドゥ」
- RPGが一気に身近なものに感じられた「ハイドライド」
- “スペースキーに重し”がキーワード!? 「夢幻の心臓II」
- PC-8801mkIISRの人気を不動のものにした「テグザー」
- ボクたちの堀井雄二さん作品といえば、コレ!「ポートピア連続殺人事件」
- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
- “ボンドソフト”の名前を一躍有名にした名作「タイムシークレット」
- 日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」
- MSX用のベストゲームとして挙げる人も多い「グラディウス2」
- コンピュータRPGの原点とも言える「ウィザードリィ シナリオ#1」
- 光栄の歴史シミュレーションシリーズ、その柱となる1本にして今も新作が続く「三國志」
- ザインソフトの名前を広く知らしめた「トリトーン」
- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
- スクウェアとサンライズがタッグを組んだ「クルーズチェイサー ブラスティー」
- 可愛らしい絵柄とは裏腹に歯ごたえあるアクションゲームだった「メルヘン・ヴェール」
- 全世界で大ヒットを記録した歯ごたえあるアクションパズルゲーム「ロードランナー」
- テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」
- これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」
- X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」
- シンプルな画面に隠された謎に夢中になった「MYSTERY HOUSE」
- ポニカの強み、版権ものタイトルの1本として登場した「南極物語」
- 今も続く「A列車で行こう」シリーズの元祖がここにある
- 木村明広氏の美麗なビジュアルシーンが印象的なRPG「エメラルドドラゴン」
- シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」
- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
- 敵をよけつつ岩を運ぶアクションパズルの名作 デービーソフトの「フラッピー」
- 初期アドベンチャーゲームの傑作にして、今も語り継がれる「デゼニランド」
- 巨大なスケールと隠された謎の多さに驚かされた名作第2弾「ハイドライド2」
- シリーズ1作目にして高い完成度を誇った光栄の「信長の野望」
- あの名作シューティングがついにPC-88シリーズにも移植された!「ゼビウス」
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- モンスターヒット作があらゆる面でパワーアップして帰ってきた!「ザナドゥ シナリオII」
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- 幾千通りものシナリオを体験できた『ティル・ナ・ノーグ <ダーナの末裔>』
- 現在も続く「大戦略」シリーズの始まり『現代大戦略』
- 驚くほど滑らかに縦スクロール、名作シューティングゲーム『NOBO』
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- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
- アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』
- あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』
- あの名作シリーズの3作目『ウィザードリィ #3 - Legacy of Llylgamyn』
- 魔城伝説シリーズの第2弾はアクションRPGとして登場! 『魔城伝説II ガリウスの迷宮』
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- 前作から大幅にパワーアップして舞台は全国に! 『信長の野望 全・国・版』
- 当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』
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- ギルに助け出されたカイがパソコンでも大活躍!『ザ・リターン・オブ・イシター』
- アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」
- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
- ファルコムタイトルの中でも、群を抜いてレア度の高い1本『バードランド』
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- アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』
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