ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

地獄には多くの有名人が暮らしていた!?『地獄の練習問題 天使たちの共通一次』

描かれている登場人物すべてが“オッサン天使”という、なかなかインパクトのあるパッケージでした。サブタイトルにもある“共通一次”は、今で言う所の“共通テスト”、の前の“大学入試センター試験”、の前にあった“共通一次試験”からです。

 1984年と言えばアドベンチャーゲームブームが始まっていた時期で、世の中には様々なタイプのアドベンチャーゲームが登場していました。

 そんな中にあって、“ハミングバードソフト”ブランドを掲げた株式会社エム・エー・シーのコンピュータ事業部は、1982年末にFM-8向けのアドベンチャーゲーム『THE PALMS』を5インチディスクで発売します。

 同時期には、Apple II向けに『ナイーブ・コピー』や『カラー・パターン・エディター』といったソフトのほか、オリジナル透明アクリルカバーなども販売するなど、ソフトだけでなくハードも取り扱うショップでした。この頃は、大阪府北区曽根崎2丁目に実店舗も構え、そこで各種商品を直接売っています。

ハミングバードソフトの初広告と、その翌月バージョン、そしてカラー版です。当初はPC-88向けのソフトを開発していたようですが、翌月にはその気配はなくなり、“Humming Bird Adventure #1”としてFM-8向け『THE PARMS』が登場しています。これを皮切りに、#2の『THE KNIGHT OF WONDERLAND』、そして#3の『ABYSS』などがリリースされていき、その後に『地獄の練習問題』が発売されます。

 そんなハミングバードソフトですが、当初はFM-8やFM-7向けのディスク版タイトルが中心だったため、他機種ユーザーにとっては馴染みの薄いブランドでした。

 そんなハミングバードソフトの名前を有名にしたのは、雑誌などで積極的に取り上げられたアドベンチャーゲーム『ABYSS』と、今回取り上げた『Humming Bird Adventure #0 地獄の練習問題 天使たちの共通一次』だと思われます。特に『地獄の練習問題』は、同社の従来作品とは違ってPC-88シリーズなどにも移植されたということもあり、作品名を知っている人も多いのではないでしょうか。

 ストーリーは、以下のようになっていました。

タイトル画面でセーブディスクを作れば、最大で256場面をセーブしておくことができました。この当時としては画期的に多いのですが、さすがにそこまで活用することはありませんでした(笑)。

 この試験は、天使庁高級官吏を選抜するためにある。合格者に対し、その得点に応じてC級からA級までの上級天使としての資格を授与する。受験者は天使の力を一時的に剥奪された状態で単身地獄に潜入して、様々な地獄の試練に耐え抜き、再び天上界に戻ってこなければならない。地獄へ降りてからの受験者の行動は、試験官により完全に監視されている。どんな行動を取るかで得点は変動するので、無事天上界に戻れても、得点が基準に満たない場合は不合格となる。覚悟は良いか?

システムはコマンド入力式を採用していて、NSWEで東西南北へ移動することができます。どこに行けるかわからなくなったときは、「LOOK PASS」と入力すると移動できる方向を教えてくれる親切さも。

 プレイヤーは下級天使として地獄に降り、難題をクリアして合格点を獲得して天界に戻るのが目的となります。アドベンチャーゲームといえば、“お宝を探す”だったり“何かからの脱出”といった明確な目標があるパターンが多いですが、本作では“得点を稼ぐ”というフワッとした表現になっているため、まずはそこをつかむところから始まります。

 ゲームシステムは、この時期としてはお馴染みのコマンド入力方式を採用していましたが、ゲーム中で使用する動詞+αがマニュアルに掲載されていただけでなく、名詞もメッセージ中で表示してくれるので、単語探しで困ることはまずありません。ヒントも、登場人物達が時にはうっすらと、時にはハッキリと教えてくれるので、行き詰まる場面というのもほぼないという進めやすさがありがたかったです。

ゲームを進めていくと、ナポレオンやクレオパトラといった歴史上の人物や有名人が登場します。彼らは自分にちなんだ問題を出してくるので、それに正しく答えなければなりません。当時であれば、百科事典などが無ければ厳しかったですが、今の時代はインターネットで検索すればすぐに答えが……そういうズルは、いけません!

 ゲーム中にはマリリン・モンローやヒトラーといった実在の人物が登場するのですが、出会うとその人物にちなんだ問題を出されます。それに正しく答えることで、得点をゲットすることができるのでした。また、ちょっとした難所をどのようにクリアしたかによっても、得られる点数に差が付きます。特に、オールマイティに使用できるアイテムを、あまり難しくない場面で無駄に使ってしまうと、点数が低くなるといったことにも……

この2カ所はリングを使うことで解決できますが、そんなことをすれば点数は下がってしまいます。。門は残ったアイテムがヒントになるのですが、ガラスだらけの場所は、心を無にするために視界を真っ暗にするしか!?

 有名人たちは、質問に正答すると進行に役立つためのヒントを教えてくれることもあるので、知識を総動員して正解を入力したいところです。彼らの質問は複数のパターンが用意されているだけでなく、ヒントも複数用意されているので、何度もプレイすることで今まで知らなかった進行の仕方を知ることができました。

血の池にはロープがありますが、取ると体に血がついてしまいます。これをそのまま放置しておくと、固まってしまい大変な事に。なんとか早く洗い流す手段を考えないと!

 “Humming Bird Adventure #0”とあるのは、それまでのシリーズと比べると難易度が抑えられているということで#0だそうですが、実際クリアするだけであれば1日2日もあれば十分です。マップ自体も意外とこぢんまりしているほか、場面数も全部で50弱と多くはないのですが、仕掛けが施されているシーンの切り抜け方が複数用意されていることもあり、一度クリアしただけでは高ランクのエンディングにたどり着けないというのが斬新でした。ましてや100点を獲得しようとするならば、パズルのように移動とアイテム使用を組み合わせていかなければ難しいでしょう。もっとも、その部分こそが本作最大の面白さなので、興味を惹かれた人はProjectEGGの配信などでプレイしてみてください。

それなりの点数を獲得したと思ったら、三途の川にいる鬼に報告すればOKです。一定以上の得点があれば天上界へ戻ることができますが、果たして何点と発表されるでしょうか?

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