ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

さまざまな改良を加えて登場したMSX版『ザナドゥ』

パッケージイラストは、当時メディアミックスで登場した漫画版の表紙を使っています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1985年に発売されたオリジナル版とは一部異なる部分がある、MSX(1)版の『ザナドゥ』となります。

発売前はキャッチコピーと共に、“ザナドゥ発売2周年記念作品”と打ち出していました。発売後もその姿勢は変わらずですが、漢字を間違えているのが悲しい……

 日本ファルコムから1985年に発売されて大ヒットを記録したタイトル『ザナドゥ』は、オリジナルのX1版を皮切りにPC-8800シリーズ版、FM-7シリーズ版、そしてディスクで供給されたMSX2版などがありました。その後、翌年86年には『ザナドゥ シナリオII』がリリースされ、さらに87年には『イース』の気配も見えていたのですが、そんな時に“ザナドゥ発売2周年記念作品”の肩書きと共に姿を現したのが、MSX用2メガROMカートリッジ版『ザナドゥ』です。

 広告には“誰もが不可能と思っていたMSX ROM版 完全移植に成功!”と大々的に書かれていることから、かなり気合いが入っていたのでしょう。まだ『ザナドゥ』のストーリーや詳細なシステムをこの連載記事では紹介していませんでしたので、まずはプロローグを見ていきます。

大きなロゴが表示された後、タイトル画面が表示されます。このシーンのBGMも、他機種版には無いMSXオリジナルのものとなっていました。冒険者の剣が指し示すのは、データがあればCONTINUEを、何もなければSTARTですが、このときSTARTの文字が黄色で表示されていた時は、マニュアルによるとバッテリバックアップの電池が切れているとのことです。

 この世界におけるあなたの冒険は、最終的には闇の世界に君臨する巨大な、数千度にも達する炎を吐くドラゴンを倒すことです。目的は簡単明解ですが、これは非常に困難な冒険です。

 なぜなら、このドラゴンを倒すには、神々が遠い昔、ある王に与えた幻の剣“Dragon Slayer”でなければならないからです。しかし、それは、どこかに隠されてしまいました。唯一の手掛かりは、精霊の王たちの王冠にあるとの噂です。まず冒険はそれを探すことから始められなければならないでしょう。さあ、すぐに旅立とうではありませんか!

他機種版と同じく地上にもモンスター(?)が数多くうろついていますが、MSX版は重なって通り過ぎることができるため、まったくイライラしないのがスバラシイところでした。地上には各種ステータスを鍛えるための道場が揃っていて、王様からもらったクレストを消費して能力値をアップさせます。少々哀愁を感じるBGMを聞きながら、どのステータスを上昇させるのか、ひとしきり悩む時間です。

 プレイヤーは冒険者として国王から資金をもらい、自身をある程度鍛えた後にダンジョンへと潜り、モンスターを倒しながら経験値を稼ぎつつレベルアップを図り、4つある王冠を集めてDragon Slayerを手に入れ、世界のどこかに潜むドラゴンを倒すことが目的となります。

 他機種版では、ゲーム開始時にユーザーディスク(またはテープ)を作る作業が待ち受けているのですが、本作はそのような面倒な作業を行う必要が必要ないというのが最初の大きな違いでした。

アイテムショップを訪ねることもできますが、一律金額だった他機種とは違い、ゲーム中にあまり入手出来ないアイテムは最初から高価格に設定されています。また、ゲームが進行してからも入る事は可能ですが、その際には価格がとんでもないことに!?

 ゲームを起動してSTARTを選びスペースキーを押せば、そこに映し出されるのは地上のシーンです。あとは王様に面会して名前を入力し、ゲームを進めていくだけ。このとき、他機種では王様から頂いたお金(ゴールド)を消費して各能力を上昇させるのですが、MSX版では代わりにクレストというアイテムをを与えられ、それを消費して能力値をアップさせます。

 キャラクターメイキングを行い初期ステータスが決まったら、あとは地下ダンジョン攻略に突き進むことになるのですが、その途中にはお馴染みの隠し要素であるアイテムショップがありました。ところが、他機種版と同じ感覚で利用しようとすると、価格的に驚くこと間違いなしのオチが……

フィールドには、モンスターが我が物顔で歩いています。触れると戦闘シーンに切り替わりますが、他機種ではメインBGMがテンポアップして流れるのに対して、MSX版は専用BGMが用意されました。また、戦闘シーン突入時はイントロが鳴り終わるまで動けないのは他機種版同様ですが、戦闘勝利後は勝利BGMが流れている間に動くことが可能です。塔内のグラフィックや作りは、他機種とほぼ同じでした。

 なんとか最初のレベル1ダンジョンに到着すれば、そこに広がるのは広大なフィールド。うろついている敵と遭遇したら、剣や魔法を使って倒し、経験値とお宝を手に入れます。エンカウント時、モンスターは1-9匹が登場しますが、最後の1匹を剣でとどめを刺せば赤い宝箱が出現し、中には特別なアイテムが入っていることがありました。

 こうして敵を倒しながら経験値を溜めてアイテムを収集し、フィールドにある城に入って中を探索していくことになります。経験値が一定以上になれば、寺院に入るとレベルアップ!各種ステータスが上昇して強くなると共に、条件を満たしていればより奥深くのダンジョンへと誘う扉の入口が開かれます。

 これを繰り返していき、最終的に10あるダンジョンを制覇してドラゴンを倒すのですが、果たしてあなたはそこへたどり着くことはできるのでしょうか?

画面に見えるのは、閉まっていますが上がレベル2のダンジョンへ行くための洞窟、下が地上へ戻るための洞窟です。データセーブは洞窟に入った瞬間に行われるので、最初はこれを利用するか、またはCTRL+Qでセーブ後に再起動させましょう(セーブ後にゴールドが減ってしまうため)。
もちろん、デカキャラも登場します。最初に倒すべきはこいつ、ビッグ・クラーケンです。MSX版では、デカキャラごとに背景が異なるのも特徴でした。

 『ザナドゥ』最後発となった本作は、先に発売されていた作品から改良された部分など、いくつか異なる点がありました。代表的なのは、レベル1のダンジョンに地上に戻れる洞窟の入口が設けられていることでしょう。さらに、メイン&戦闘シーンのBGMが新規に作られていること、戦闘終了後の勝利BGM中にも動けること、S-RAMでのバッテリーバックアップ機能が付いているほかにテープにもセーブ出来る(セーブ時間は、約1分30秒ほどです)ことなども違っていた部分です。

 地道に快適になったのが、他機種版ではゲーム後半の食料購入時に99を何度も入力したと思いますが、MSX版は一度に9999まで打ち込めるように変更されたところでしょう。遊んだことがある人なら分かると思いますが、これは本当にありがたい仕様変更でした。

HPの下2桁が77の時にTEMPLEに入って出て入って……を繰り返すと、その回数に応じてMax.HPが上昇するなど、いくつかのテクニックは他機種版同様に使用可能です。ただし、あまりMax.HPを上げすぎると食料調達で苦労することになりますが……

 若干解像度が荒かったりモンスターやアイテムが単色表示だったりするものの、それ以外は他機種版にも見劣りせず、装備を変更した時もきちんとキャラクターに反映されるなど、全体的には非常に高いクオリティに仕上がっています。他機種版をプレイした人でも新鮮な気持ちで遊べる仕上がりになっているので、機会があれば是非体験してみてください。

グレーの方がPC-8801mkIISR版マニュアル、黒地に赤いラインが入っているのがMSX版のマニュアルです。目次ページの見開きを見ると、いくつかの部分が異なっているのがわかります。
電源オンからソフト起動、地上でのキャラクターメイキング、そしてレベル1での戦闘までを動画にしてみました。他機種版との違いが、それなりに分かるかと思います。

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