ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

エニックスのネオ・オカルトアドベンチャー『アンジェラス 悪魔の福音』

黒地を背景に、ブライアンとエリスが何者かに追いかけられているイラストが描かれたパッケージになっています。五芒星も描かれているためか、それだけでオカルトチックな雰囲気がアップしていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、エニックスから発売されたアドベンチャーゲームで、キャラクターデザインを土器手司さんが担当したタイトル『アンジェラス』です。

広告では、「ついに悪魔の封印が解けた!!」とのキャッチコピーと共に紹介されていました。発売時期が1998年と言うこともあり、世紀末という単語もページに見えます。ほかのバリエーションでも、おどろおどろしさを醸し出していました。

 1985年くらいまで流行したアドベンチャーゲームはその後、RPG人気に取って代わられ、ジャンル的には下火になっていきます。しかし、そのジャンルに残って発売された作品は良作が多かったのも事実で、そんな時代となった1980年代後半の1988年にエニックス(この当時はコニカエニックス)から発売されたのが、ネオ・オカルトアドベンチャーと銘打たれたタイトル『アンジェラス 悪魔の福音』でした。本作のプロデューサーで脚本を手がけたのは、後に『ミスティ・ブルー』などでもプロデューサーを担当する伊藤慶子さん、音楽を『ウイングマン2 キータクラーの復活』でお馴染みのすぎやまこういちさん、そしてキャラクターデザインを『うる星やつら』や『めぞん一刻』の作画監督を担当した土器手司さんが担うなど、強力なメンバーが揃っていました。そんな本作のプロローグは以下のようになっていて、今ならばこういったストーリーは“ムー的”と表されるかもしれませ(笑)。

 西ドイツ最大の建設会社であるバイエルン・カンパニーは、ペルーにてピラミッドを移転した跡地にダムを建設するという大事業に取り組んでいた。ダムは無事に落成し、その祝典が行われる中、突然副社長がその場に倒れ込むと全身が緑色に変色し、血管が浮き出すという状態で死亡してしまう。検死の結果、正体不明の奇病ということがわかるが、同じ病は遠く離れた日本でも同時刻に発生していた。奇病の犠牲者は日を追うごとに増えていくが、疑問点は解決されないまま。果たして原因は何か?死者を結ぶつながりはあるのか?死体のそばで必ず不気味に光っている青い石“セイント・ストーン”の秘密とは?そして、あやしげな邪教の僧たちの目的とは……

キャラクターデザインを担当した土器手司さんは、アニメ『うる星やつら』や『めぞん一刻』で幾度となく作画監督を務めたほか、『ダーティーペア』でもキャラクターデザインを行っていました。当時該当作品を見ていた人であれば、キャラクターグラフィックの随所に“土器手さんらしさ”を感じるかと思います。

 プレイヤーはブライアンまたは同僚のエリスとして物語を進めていき、事件の真相へと迫っていきます。ブライアンはロンドン市内に住む新聞記者でしたが、ペルーからロンドンへ向かう飛行機の中で偶然隣り合った人物の奇妙な死に方を目撃したことがきっかけとなり、この事件に首を突っ込むことになるのでした。

 本作のシステムは、この時代にはお馴染みとなったコマンド選択式で、基本的にはファンクションキーに入っている動詞を選び、続いて名詞を同じくファンクションキーから選択することで話が進みます。このとき、選択肢の一番右端にアイコンが表示されている場合、SHIFTキーを押すことで6番目以降の話題にアクセスすることができるのですが、これを忘れてしまい5つしか選択肢がないと思い込むと、ちょっとしたハマりに……名詞が5つすべて表示されているときは、忘れずにSHIFTキーを押すクセをつけるのが、とりあえずの攻略方法でした。

ゲームシステムはコマンド選択式で、操作はすべてファンクションキーで行います。コマンド一覧の右端にアイコンが見えるときは、SHIFTキーを押すとさらにコマンドがあるという意味なので、見逃さないようにしましょう。

 また、静止画だけでなく随所にアニメーションが盛り込まれているのも特徴と言えるでしょう。例えば、飲んでいるジュースの泡が小刻みに動いていたり、窓の外を見るコマンドを実行すると流れ星が落ちたり、空港では飛行機が飛んでいたりするといった具合です。画面に描かれた人物も会話時には口パクするのですが、今とは違い声が入っていないのが残念なところでした。もちろん当時を考えれば、フロッピーディスクの容量では無理だったり、ハードの都合で実現できないわけですが……

 なお、最後まで無事にクリアすると、新たにメニュー画面に“アプリエイションシステム”が追加されました。これを選ぶと、何も操作することなくオープニングからエンディングまでを一つのドラマとして鑑賞することができます。いわば、最短の選択肢のみを選び、なおかつ話の流れがスムーズに進む形でのプレイが再現されているような感じで、プロローグからラストまでを通して見ていく、さながら映画を1本堪能するという表現がマッチしているかもしれません。

序盤からオカルト要素が多めで進行していくので、筆者のようなムー読者にとっては、たまらなく面白い内容でした。

 本作はマニュアルに「基本的には、謎を解くのを目的としたゲームではありません。映画が大好きなプロデューサーが、アドベンチャーゲーム好きのユーザーのために作ったゲームです。映画や推理小説をドキドキしながら見るように、『アンジェラス』にも取り組んで欲しいと思っています。小説のページを1枚1枚めくるように、じっくりと楽しんでください」と書かれているように、それほど難解な謎解きは盛り込まれていません。有り体に言うならば、コマンドを片っ端から試していけば先に進めるようになっています。ただし、中には話しかけるたびに違うことを言ったり、同じことを2度と言ってくれない人もいますので、簡単なメモを取っておくにこしたことはありません。こうしてゲームを進行していき、最終的に待つものは……

 エンディングを迎えた人ならわかると思いますが、『アンジェラス 悪魔の福音』は様々な謎を残したまま終わってしまいます。それらは後に発売される予定だった『アンジェラス2 ホーリーナイト』にて明かされるはずでしたが、残念ながらそれは叶わぬまま、時は現代を迎えてしまいました。既に発売から30年以上が経過しましたが、今でも完全版のリリースを心待ちにしてしまいます。

これが、発売される予定だった『ホーリーナイト アンジェラス2』の紹介記事(『ログイン』1992年2月21日号より)です。この後に発売が7月へと延期となり、最終的には発売中止になってしまいました。

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