ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

シンキングラビットの大ヒットパズルゲーム『倉庫番』

カセットテープのケースがそのままパッケージになっているという、当時としては定番の外見でした。ただし、通常は反対側の面からはカセットテープが見えるところを、そちらも飾り紙で化粧されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、シンキングラビットから発売された名作パズルゲーム『倉庫番』を取り上げます。

 1980年代初頭、アクションやテーブルゲームなどがパソコンゲームの主戦場だった頃、同じく盛り上がりを見せていたジャンルにパズルゲームがありました。コンピュータ上で行うことでミスをしても最初からやり直すことが容易というメリットや、ルール次第ではステージ数を無数に増やすことができるという特徴があったことから、いくつもの名作が生まれます。そのうちの1タイトルが、シンキングラビットが1982年に発売した『倉庫番』でした。これが同社の処女作ですが、今回取り上げたのは翌83年にリリースされたPC-8001mkII用となります。ストーリーは、以下のようになっていました。

タイトル画面はありませんが、プログラムを実行するとストーリーとともに操作説明が表示されます。左側に縦に描画されているのが主人公です。

 あなたは、大きな倉庫会社でアルバイトをすることになりました! 仕事は、20もある倉庫を片付けることです。上手く片付けてください。ただし、荷物が大きいので、一つずつ押すことしかできません。何回か失敗すると、クビになってしまいます! 気をつけてください。なお、11番目の倉庫から非常に難しくなります。気長に頑張ってください。Good-Luck

 プレイヤーは、描き出されたレンガ造りの倉庫の平面図を見ながら主人公の人物を操作して、置かれているすべての荷物を“・”印の場所に移動させなければなりません。荷物は1つだけなら押すことができるのですが、2つ並んだ状態になると動かすことはできず、さらに引っ張ることも不可能なため、荷物を片付けるにはプレイヤーの思考力が試されます。

主人公は荷物を1つずつ押しながら、倉庫の“・”が表示された場所へと荷物を整理します。荷物を動かせなくなった時は、F1キーを押してギブアップするしかありません。

 無事に荷物を倉庫に片付けることに成功した時、あるいは荷物を動かすことが出来なくなった場合にF1キーを押すと配置判定が行われ、片付いている時は次の面に進むかどうかを、失敗と判断されたらやり直すかどうかをそれぞれ聞かれますので、イエスかノーで答えました。あまりに失敗が多すぎると、「お前なんてクビだ!」というメッセージが表示されたりしますが、その際でもリトライすれば問題ありません(笑)。

第2倉庫(左)と第3倉庫(右)は、このような配置になっています。ここまではそんなに難しくないので、サクサクと進むのではないでしょうか。

 こうして、用意された全20面を解ければクリアとなるのですが、本作のキャッチコピー「あなたは1カ月以内にできますか?」の通り、後半になると非常に手強い難易度のステージが揃っていました。中には、ステージ中盤までは問題無く進められるものの、最後の1つだけが入らないという面もあるなど、よく考えられた荷物の散らかし具合になっていた倉庫も。

 なお、見事に20面をクリアした人を対象としたキャンペーンも開催されていました。それは、一番難しいオリジナルの問題を考案して採用されれば、『倉庫番PART II』で使用されるというものです。賞金や賞品も用意されていて、ステージが起用された人の中から1名には最優秀作品原稿料として10万円、また10名には優秀作品原稿料1万円が、そして採用者全員にはもれなく『倉庫番PART II』がプレゼントされるというものでした。

第4倉庫(写真左)は主人公の右上部分にあるスペースの荷物を最初にどのように動かすかが、こぢんまりとした第6倉庫(写真右)は荷物をどのように移動して通路を確保するかがカギとなります。

 プログラム自体はBASICで記述されているため、簡単に中身を覗くことができるだけでなく、全面クリアしても倉庫の状態を記したDATA文の仕組みさえ分かれば、プレイヤーが自由にステージを追加することができます。このDATA文を解析して、オリジナルのステージを試行錯誤した人も、当時のプレイヤーの中にはいたのではないでしょうか。

プログラムを見ると、今林さんの名前が入っていたり、ステージがDATA文で格納されていることなどがわかります。解析すれば、新たなステージ追加も自由自在に!?

 本作にて市場へとデビューしたソフトハウス・シンキングラビットですが、当時の雑誌には「シンキングラビットはちょっと変わっていて、家業のレコード店を経営する今林さん夫妻を中心に、5人のメンバーが設立した会社だ」と書かれていて、『倉庫番』を作った今林さんはレコード店を経営しながらのソフトハウス運営だったのがわかります。

 なお、倉庫番はシリーズ生誕40年を迎えるのですが、公式ホームページもありますので、懐かしいと思ったらぜひアクセスしてみてください。

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