ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

主人公が滑らかに動くシステムサコムのアクションゲーム『WOOM』

5インチ版と8インチ版がリリースされていたので、どちらのフロッピーディスクでも入るように大きなパッケージになっています。神殿が見えるので、描かれているのは最終面となっている神殿ステージに登場するキャラクターかと思われます。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1984年5月にシステムサコムより発売された、プレイヤーキャラがリアルに動くアクションゲーム『WOOM』を取り上げました。

 初代PC-9801が産声を上げたのは1982年10月13日の事でしたが、当時は主にビジネスマシンとして宣伝されていたこともあり、ゲームソフトが豊富に揃うのはかなり先のこととなります。しかし、一部のソフトハウスは登場したばかりのPC-9801の持つパワーに注目し、早い段階からソフト制作に取りかかっていました。そのうちの1社が、後に『メルヘンヴェール』などでお馴染みとなるシステムサコムでした。

『WOOM』の広告が初掲載されたのは、84年4月18日に発売された雑誌『Oh!PC』5月号です。この時点で5月上旬発売とアナウンスされ、翌月号では新発売となっていました。これらを考慮すると、『WOOM』がリリースされたのは84年5月上旬で間違いないと思われます。その後は、画面写真を載せたバージョンなどで広告を展開していきました。

 同社は、それ以前は拡張ボードなどのハードを手がけていましたが、1982年にPC-9801が発売されると83年には早くもマーク・フリント氏が手がけた『ヴァリアント』をリリースします。続けて、氏の第2弾タイトルとなる『ムーンボール』を世に送り出した後、同社第3弾の作品となったのが今回取り上げた『WOOM』です。マニュアルによると「PC-9801でしかできないゲームを作ろう」をコンセプトに、「生物の動きを表現してみました」とのことで、対応機種はPC-9801/E/Fとなり、他機種には移植されませんでした。用意された簡易ストーリーは、以下のようになっています。

起動するとタイトル画面の後、自動的にデモプレイが始まります。その後、ハイスコアラーと使用キーが表示されるので、マニュアルが無くても操作には困らないでしょう。ハイスコアネームには、マーク・フリント氏の名前も。なおタイトル画面の右端が切れているのは、機器の調整不足のためです。

 あなたが今立っている世界[WOOM WORLD]。そこには、さまざまなトラップがしかけられ、また、たくさんの魔性のモノが潜んでいます。あなたはここで、キーワードとなるクリスタルを手に入れて下へ下へと進んでください。何層にもわたる迷宮を通り抜け、無事にこの世界から脱出することができるでしょうか。

最初にプレイするのは、ステージ1ではなく0。ここでゲームに慣れておくことが大事ですが、クリアするにも一苦労です。ステージは2画面で構成されていて、上中下段はそれぞれ隣と繋がっています。赤と黄色のビッグクリスタルが見える画面が左です。

 プレイヤーは主人公を操作して、各ステージにあるビッグクリスタルを炎が灯る順にすべて取り、どこかに現れる出口にたどり着ければクリアとなります。主人公は最初にSTRENGTH(いわゆるHP)を3持っているのですが、ウォームボールや水面から姿を現す水の精霊敵に触れたり、トラップの爆弾を触ってしまうと減少。これが0になると、その時点でゲームオーバーとなりました。

 STRENGTHはビッグクリスタルを回収するか、時々現れる魔法のつぼを取ることで1、条件を満たすと出現するスペシャルフラッグでは2回復します。なお、STRENGTHは5が最高で、それ以上は増えません。また、ビッグクリスタルを取るごとにウォームボールは主人公をしつこく追いかけてくるようになるため、回収のタイミングも重要になってきます。

ウォームボールは、出現または消えている間に触れると点数が入りますが、それ以外の時はミスとなりSTRENGTHが1減ってしまいます。当たり判定もそれなりにあるので、なるべく逃げて避けるのが正解です。

 ステージには前を通ると取れる(なかには何度か往復しないと取れない)スモールクリスタルがあり、画面下部中央にストックが表示されていればZキーで投げることができ、ウォームボールに当てれば一定時間出現しなくなりました。ただし、1発当てただけではで消えない敵もいるほか、クリスタルを投げると“非常に悪いことが起きる場合もある”と、強調してマニュアルに書かれていたのが気になるところです。

スモールクリスタルを4つ集めるとボーナス点が入り、貫通弾になります。一度に複数の敵を倒せるのですが、ジャンプ用の足場をも消してしまうので、使い方には注意が必要です。

 ステージは3段構成になっていて、上の段に移動するためにはSHIFTキーまたはAキーでジャンプしたのち、乗るとトランポリンのように跳ねる物体の上(1面であればキノコ、2面はパンダ)に落ちなければなりません。ところが、その物体はスモールクリスタルをヒットさせると消えてしまい、一定時間後にステージの“どこかに”再び出現します。つまり、二度と上の段に移動できない場所に現れることもあるため、敵はなるべくスモールクリスタルを使わずに避けることがマニュアルでも推奨されていました。

ビッグクリスタルは高い柱の上に置かれているので、ジャンプして取る必要があります。微妙な場所に配置されていると、なかなかゲットできないことも。

 そんな『WOOM』の特筆すべき点は、なんと言っても主人公のスムーズなアニメーションでしょう。少々小ぶりではありますが、当時としてはリアルなモーションで動く主人公には、大いに驚かされたものです。後にブローダーバンドソフトからリリースされた『プリンス・オブ・ペルシャ』に出てくる、主人公の王子をはじめとしたキャラクターたちの動きといえば、ある程度はわかってもらえるのではないでしょうか。あのような感じのリアルなアクションを1984年の時点で行っていたのは、今思えば驚くべき事かもしれません。

 主人公を意のままに操るには少々の慣れを必要とするので、プレイを始めてもしばらくはなかなか先の面へ進めずに苦労するかもしれませんが、それを乗り越えてクリアできるようになると一気に面白くなります。今ならばプロジェクトEGGにて配信も行われていますので、最終面をクリアした後に何が起きるのかが気になった人は、ぜひその目で見届けてください。

すべてのビッグクリスタルを回収できれば出口が現れるので、そこに入ればステージクリアに。1面は草の生えた地面、2面は氷のステージと、見た目や難易度もさまざまに変化していきます。
主人公がどのくらい滑らかに動くのかを紹介するために、実際にプレイした動画を掲載しておきました。メディアが5インチであれば比較的新しめのPC-98シリーズでも稼働すると思いますが、対応機種が初代やE、Fだったので5MHzで稼働するマシンが最適と考え、ここではPC-9801Fを5MHzに切り換えて使用しています。メインメモリは最低限の128Kbytesあれば遊べますので、増設は不要です。

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