ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

アニメーション処理が話題になったアドベンチャー『Will (THE DEATH TRAP II)』

当時のスクウェア製品と同じく、白い正方形のパッケージが特徴です。タイトルロゴは特色の1つである金色で描かれていて、高級感を醸し出しています。同梱されていた訂正表によると、坂口氏がプログラムを担当したのはFM版と記されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、スクウェアが1984年に発売した『デス・トラップ』の続編となる、1985年7月17日リリースのアドベンチャーゲーム『ウィル』を取り上げました。

 80年代前半のアドベンチャーゲームブーム以降、各ソフトハウスはさまざまな創意工夫の元、特色を出していこうとします。そのうちの一つが“画面がアニメーションする”アドベンチャーゲームで、『チャレンジ!! パソコンアドベンチャーゲーム』にて「日本で初めてゲーム中にアニメーション処理を導入したアドベンチャーゲーム」として紹介されているのが、今回取り上げた『ウィル』でした。当時のスクウェアより1985年7月17日に発売され、ここで使用しているFM-7版は翌8月に登場したようです。本作は、原作と画面デザイナーを坂口博信氏が担当していて、同書にはオープニングアニメーションが完成した時に当時22歳だった坂口氏がCRTを見つめながら「か……かわいい……」と呟いたとのエピソードも書かれていました。そんな本作のプロローグは、以下のようになっています。

当時の広告では画面表示の早さをウリにしていて、最初は“PC-88版でも0.5秒!”を謳っていましたが、その後“PC-98版では0.09秒!”という表記に変わりました。

 16年前に愛する一人娘を不幸な事故で亡くした、天才科学者のDr.ハワード。彼は凶器に駆られるままに突如、人類抹殺を宣言する。NASAからの報告によると、そのメッセージの発信源は南太平洋に浮かぶ孤島・トリニア島からであり、しかも地下深くには全人類を抹殺しても余りある核兵器が存在する可能性が認められた。更にDr.ハワードからの連絡には、人類最後のチャンスとして一人の人間をよこすように、とも収録。そこで挙げられていた名前は、A国の諜報員であるリチャード・ベンソン。彼はゲリラとの戦いから生還し、マイアミで穏やかな時間を過ごしていたのだが、政府から届いた一通の指令書によってバカンスは終わりを迎えた……。

ゲーム中の画面は、上段3/4の右半分に現在地のグラフィックが描かれて左半分に地図、下段1/4がメッセージエリアとなっています。コマンドは英語ではなくカナ文字で行いますが、入力はローマ字カナ変換仕様のため苦労しません。

 タイトルに“THE DEATH TRAP II”とあるように、前作『THE DEATH TRAP』の主人公だったリチャード・ベンソンが引き続き出演し、今作でも事件を解決に導きます。これは『チャレンジ!! パソコンアドベンチャーゲーム』によると「『デス・トラップ』の主人公ベンソンに惚れ込んで、第2作目のアドベンチャーにも登場させました。相変わらずクサいセリフがキマってるでしょ。ボンド・ガールならぬベンソン・ガールは前回のお色気路線から一気に清純派アンドロイドのアイシャ。ロリコンと言われようが可愛いものは可愛い(断言)。(以下略)」とのことで、坂口氏がベンソンに惚れ込んだためタイトルを“THE DEATH TRAP II”として、引き続き登場させたということのようです。

さまざまな場面に、隠しキャラが用意されていました。謎に行き詰まると、隠れキャラを探して変なコマンドを入力することも。

 プレイヤーは主人公ベンソンとしてトリニア島に侵入し、Dr.ハワードの仕掛けた罠をくぐり抜け、人類抹殺を阻止することが目的となります。ちなみに、マニュアルには「PC-8001mkIISRではN80SR-BASICモードで、PC-8801mkIISRではN88-BASIC V2モード(ハイスピード)で立ち上げてください。」という記述がありましたので、もしかするとPC-8001mkIISR版の発売も予定されていたのかもしれません。

ここが、アニメーション処理が入る場面です。触手のような敵はうねうねとうねり、重力エレベータの右側に表示されている英文字や左上の地図は、文字が流れたり点滅します。当時は、これだけでも“すごい!”と思ったものでした。

 ゲームはコマンド入力方式を採用していますが、前作と同じくローマ字カナ変換機能が搭載されていますので、カナ入力と違い非常に楽にプレイを進めることができます。東西南北の移動もテンキーで行え、画面左側には平面図と断面図が表示されていることもあり、マッピングに本気を出さなくても攻略出来るのが便利でした。

 ファンクションキーにはそれぞれ便利な機能が割り当てられていて、F1は直前に入力したコマンドの前半部分の単語、F2は後半部分、F3なら直前に入力したコマンドすべてが自動でセットされます。またF4はノー・グラフィックス・モードのオンオフで使用し、F5を押すと所持品が表示されました。

島内には、Dr.ハワードの仕掛けたメカ兵器などが数多く残されています。それらのシーンを適切に突破しなければ、アイシャに会うことは出来ません。肝心のDr.ハワードですが、ゲームを始めてすぐに彼の死体が見つかるため、誰が人類抹殺のメッセージを送ったのか? といった謎も残ります。

 物語はベンソンが島の海岸に上陸したシーンから始まりますが、用意されている場面数は40弱と多くはありません。その替わり、仕掛けられている謎が複雑に入り組んでいるため、あちこちを行ったり来たりする必要がありました。また、特定の場面では“A”の方法でクリアすると後々先に進めなくなるハマり状態に陥るため、難しい“B”の手段を執らなければならない、といった罠も仕掛けられているので、各場面ごとにじっくりとセーブして進めるなどの工夫も必要です。

カプセルで眠っているアイシャを目覚めさせることができると、感動のこの場面を見る事ができます。連続写真にあるような感じで、ゆっくりと瞼を開いていきます。

 本作のユニークな部分は、随所に隠れキャラが仕込まれている点でしょう。例えば、ゲーム開始直後の海岸で“アホ”や“バカ”と入力するとUFOが現れたり、海を潜って進んだ先で“ウミ ミル”とすると歯磨きをするジョーズが登場するなど、随所で探す楽しみがありました。

 また、日本初と言われたアニメーション処理をしているシーンも数多く見られます。ヘビのような敵が出現する場面や重力エレベータのシーンでは配線が動いたり文字が流れるように表示されるほか、アイシャが目覚める瞬間はまぶたをゆっくり開いていくなど、当時はドキドキしながらプレイしたものでした。

道中は、アイシャと会話を交わすこともできます。入力した単語に対してアイシャの表情も変わるので、本筋そっちのけで色々と試してみたくなります(笑)。

 この後、スクウェアは『アルファ』や『ブラスティー』などを発売し、一躍有名ソフトハウスの仲間入りをすることとなります。

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