ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

お金の重さに泣いた!アクティブRPGの傑作『ハイドライド3』

雲間を突き抜けてそびえ立つハーベルの塔が描かれた、印象に残るパッケージです。背面には、機種ごとの特徴が書かれていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1984年に1作目がリリースされて以来、大人気を博した人気タイトル「ハイドライド」シリーズの完結作『ハイドライド3』を取り上げます。

 1984年に登場したアクティブロールプレイングゲーム『ハイドライド』は、当時流行の兆しを見せていたRPGというジャンルを手軽に味わうことができるなどの要因で、大ヒットを飛ばすことになります。“ハイドライド・シンドローム”なる単語を生み出すほどの人気を得た同作は、1985年にシリーズ2作目『ハイドライドII』を発売し、再びブームを巻き起こしました。そしてそれから2年後、1987年11月21日にシリーズ完結作として世に送り出されたのが、今回取り上げた『ハイドライド3』です。パッケージ裏には「本物だけが語りえるARPGの最終形、進化を極めて、ここに完成。」と書かれていましたが、その言葉に嘘偽り無い内容として登場しました。

広告はパッケージと同じイラストを使用したバージョンと、アメリカンコミック調に描かれたイラストを用いたバージョンなどがありました。

 悪夢のようなエビルクリスタルが砕け散って以来、人々は怪物に襲われる心配もなくなり、平和に暮らしていました。しかし、人間と妖精が共存する美しい世界だったフェアリーランドからは妖精が姿を消し、まるで人間だけの世界のようになってしまったのです。そんなある日の夜、地響きと共に巨大な火柱が立ち上りました。翌日には不思議な扉が出現し、さらには地割れも見つかるなど、天変地異が起きるはずの無いフェアリーランドでは考えられない異常事態が頻出します。事態を重く見た修道僧たちは、原因究明を一人の若者に託すのでした……。プレイヤーはこの主人公としてフェアリーランドを冒険し、その原因を探ることになります。

今作には重さの概念がありますので、安いからといって購入してしまうと重量制限で1歩も動けなくなる、などという事態に陥ることも。敵を倒して手に入るお金も重さの原因なので、早めに両替機を入手してガンガン両替しましょう。

 今作には、数多くの新要素が盛り込まれました。職業を選択してのキャラクターメイキング、重量による持ち物制限、使いこなせる武器の重さ制限、武器を使用しての攻撃アクションの導入、飛び道具の追加、そして時間の経過と食事・睡眠などです。このうち、パッケージ裏にも写真で解説されていたのが、1日の時間経過でした。朝→昼→夕方→夜と移り変わる美しい景色の中で冒険を繰り返すうちに、本当にフェアリーランドの世界を旅しているかのような気分になれたのですが、食事を採らないと減ってしまうHPや徹夜するとStrengthが落ちるといった要素が、プレイヤーを現実に引き戻してくれます(笑)。

フィールドは、緑が映える草原や200階建てのハーベルの塔、そこから移動可能な天空の街など、数多くが用意されています。それらすべての場面では、CD化もされた美しいBGMがプレイヤーの耳に心地よく響きます。ちなみに、ハーベルの塔113階には……!?

 敵への攻撃は前作までの体当たりから変わり、装備した武器でアタックするように進化しました。剣ならば射程距離は短いものの強力で、弓矢のような飛び道具を使用すると与えるダメージは低いが遠距離から比較的安全に狙えるなど、プレイヤーの腕前に応じた手段が執れるようになっています。ただし、主人公には持ち運べる総重量だけでなく、使いこなせる武器の重さも決まっていたので、この“持てる重量”には最後まで悩まされることに……。

敵への攻撃は、スペースキーを押して行います。後に、押しっぱなしで連射ができるようになるアイテム・戦士の石が登場しますが、それまでは頑張ってスペースキーを叩き続けましょう(笑)。

 重量と言えば、誰もが思い出すのが両替機の存在ではないでしょうか。敵を倒してお金を得られるのは良いのですが、暫くすると一番単価の低い$10コインの重量で主人公の動きが遅くなり、お金を捨てるしかないという状況に陥ってしまうという苦い思いは、プレイヤー全員が体験したことでしょう。そして、この問題を解消してくれるのが両替機で、これを入手することで以降の冒険がグッと楽になるのもまた本作のお約束でした。

登場する怪物には善悪があり、善の怪物は自ら攻撃を仕掛けてくることはありません。間違えて倒してしまうと精神力が大幅にダウンするので、攻撃は慎重に行いましょう。序盤のに出現する樹木の精と食人樹や、ジェリーとスライムなど、間違えやすい敵がそこかしこに……。

 極上のBGMが追加されたことも、『ハイドライド3』の特徴の一つでしょう。収録されている楽曲のクオリティは、個人的には最高レベルで、各シーンにマッチした非常に透明感のある旋律が、ゲーム開始時からエンディングまでを盛り上げてくれました。特に、ラストダンジョンからの最終決戦、そしてエンディングで語られる真実と妖精の決め台詞という流れは、今でも感動を覚えるほどです。作品としての完成度は、国産RPGのなかでも5本の指に入るのではないでしょうか。

 他にも、200階建てのハーベルの塔や洞窟内でのスポットライト処理など、まだまだ語るべきことは多いですが、現在ではプロジェクトEGGにて配信が行われていますので、ぜひプレイしてみてください。

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