ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

アラビアン・ラプソディやブロックくずしを収録!お買い得感満載のPC-6001用「AX-1」

パッケージは紙製ではあるものの頑丈に作られていて、オルゴールの蓋のように開きます。中にはテープが1本と、起動方法や改造の仕方など、さまざまなことが書かれたマニュアルが入っていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1982年2月にアスキーより発売されたパッケージソフト『AX-1』を取り上げました。

 PC-6001が発売されたのは1981年も終わりが見えてきた11月でしたが、その翌年となる82年の2月に登場したのが、PC-6001用アミューズメントソフトウェア・パッケージとしてアスキーよりリリースされた「AX」シリーズの1本目『AX-1』でした。収録されているのは『アラビアン・ラプソディ』『ブロックくずし』『ハイスピード・バリケード』『サイモン』そしてデモンストレーションプログラムです。5本もの作品が収録されていたにもかかわらず価格は2,800円で、お買い得感満載でした。本シリーズは収録作品からタイトルが付けられていて、1作目である『AX-1』では“アラビアン・ラプソディ”の名前を冠しています。

デモンストレーションプログラムは、「PC-6001の持てる機能を最大限に引き出し、見ていて楽しいものを(マニュアルより)」というコンセプトの元に作られているため、見応えある内容に仕上がっています。

 この「AX」シリーズは、「“アスキーソフトウェアバンク”の新シリーズ」として投入されていて、当時の広告を見ると「“AXシリーズ”のゲームは、特にPC-6001の機能を十分に引き出すものを厳選し、どれも改良に改良を重ねた自信作です。開発ルームでは、早くユーザーの皆様の満足顔を見たいと多数のゲームたちがスタンバイしています」と書かれていました。

フルキーの0-9までを使用してアラジンを操作する『アラビアン・ラプソディ』は、タッチタイピングが得意な人でも熱くなって遊べる作品です。

 また、マニュアルにも「(前略)PC-6001の機能を十分に活かすように、画面構成・ストーリー・そして操作性に創意工夫を凝らしました(後略)」とあり、シンプルなゲームながらも、ちょっとしたひねりが加えられているのがポイントとなっています。さらに「単に使用するのみに留まらず、是非プログラムの解析、変更、改良を試み、皆様のパーソナル・コンピューティング・ライフをより一層充実させた楽しいものにしてください」ともありました。実際にプログラムをマスターしようとする際、多くの人が雑誌掲載プログラムの改造などから入った記憶があるかと思います。その流れを市販ソフトでも行った本作は、まさにプログラミングを憶えるための近道的なソフトとも言えたかもしれません。

『ブロックくずし』はお馴染みの作品ですが、パドルの位置を3種類から、ボールの数を1-10まで、それぞれ自由に選べるのが特徴です。面クリアすると、ブロックのパターンが変わっていきます。

 収録ソフトですが、『アラビアン・ラプソディ』は思考型アクション、『ブロックくずし』『ハイスピード・バリケード』はアクション、『サイモン』は思考ゲームとなっていました。本作のタイトルにもなっている『アラビアン・ラプソディ』は、アラビア数字の砂漠の中を、主人公のアラジンが果てしなく進んでいくことから付けられています。

2人対戦プレイも可能な『ハイスピード・バリケード』は、BASICオンリーで作られた類似プログラムよりもスピードが速く、非常に緊張感のある戦いが楽しめます。

 ルールは簡単で、・で表されるアリババを操って×の盗賊から逃げつつ、なるべく多くの数字を踏破するのが目的でした。アリババは、・の周りにある数字の場所へと移動すると同時に点数が入るのですが、その移動方法がフルキーの0-9までを押すという、ユニークな形を採用しています。・の上に6、右に3、下に0、左に9があった場合、0を押せば下に動いて10点獲得、3を入力すれば3点ゲットして右へと移動するという仕組みでした。説明では難しそうに思えるものの、実は一度遊ぶと即座に理解できます。こうして砂漠を全踏破すればクリアとなり、次の面へ! これがテンキーなら簡単なのですが、フルキーの0-9を使うために一筋縄ではいかず、キーボード操作に慣れた人でも手強い仕上がりとなっていました。

プレイヤーの記憶力が試される『サイモン』。あなたはどこまでスコアを伸ばすことができるでしょうか? 最大で5人までの対戦も可能です。

 2本目の『ブロックくずし』は、大流行したあの『ブロック崩し』、3本目の『ハイスピード・バリケード』は、延びるバリケード(*)や壁に当たらないよう操作して、相手よりも生き延びることが目的のゲーム。4本目の『サイモン』は電子ゲームとしても存在した作品で、光った場所を憶えておき、それと同じ場所を押していく記憶力が頼りのタイトルでした。どれもBASICを解説している書籍などで取り上げられることが多いですが、『AX-1』の場合はBASICとマシン語を駆使して作られていたため、全体的にキビキビと動くのが特徴です。しかも、マニュアルには改造のポイントなども記されていたので、本作をきっかけにゲーム開発に目覚めた、という人もいたのではないでしょうか。

左側が発売直前の、右は夏くらいに掲載された広告です。『AX-1』発売時点では雑誌『ログイン』は創刊されていなかったため、しばらくは『ASCII』に掲載されていました。

 この「AX」シリーズは好評を博し、以降も続々と発売されることになります。また「AX」シリーズ以外にも「BASIC TOOL(BXシリーズ)」や教育システム(EXシリーズ)」等を開発しています」とも当時の広告に書かれていて、この時点から既にかなりの数のラインが動いていたことが分かります。

ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧