ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

CG枚数は少ないものの難関だったアドベンチャー『魔女モヘカの館』

雑誌掲載時の表紙と同じイラストがパッケージにも描かれました。アニメ調ではなく、どちらかというとリアルタッチなのが印象に残ります。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、雑誌『I/O』1983年8月号にプログラムリストが掲載された後、市販もされたアドベンチャーゲーム『魔女モヘカの館』となります。

 1983年といえば、アドベンチャーゲームが流行し出してきた時期でした。様々なソフトハウスからアドベンチャーゲームが発売されましたが、アクションやシューティングゲームのように、雑誌に掲載されることはなかなかありませんでした。

 その理由としては、オールマシン語や暗号化したBASICプログラムにしないと答えがバレてしまうことや、グラフィックを使用したアドベンチャーゲームであればプログラマに絵のセンスも求められるなどが挙げられるでしょう。そんな制約を乗り切り、雑誌にプログラムリストが掲載された後に市販化されたアドベンチャーゲームが、今回取り上げた『魔女モヘカの館』です。そのストーリーは、以下のようなものでした。

広告では、パッケージが新しくB6サイズになったと謳われ、その新作ソフトとして『魔女モヘカの館』が大きく取り上げられていました。

 急いで駆けつけてきた俺の視野に、倒れているロクハチの姿が飛び込んできた。俺が聖子姫のためにつけておいたボディガードだ。「しまった! 遅かったか……」なんだか胸騒ぎがするので来てみたのだが、たったいま連れさらわれたことを姫愛用のメンタムの残り香が示していた。奴だ!インケン族の『モヘカ』に違いない。そもそも、隣のインケン族と我がネクラ族とは昔から争いが絶えなかったのだが、最近は特にエスカレートしてきた。原因は両部族の境界附近で発見された“亜石(あいし)”鉱脈の奪い合いだ。“亜石”は懐炉の原料となり、冬期厳寒のこの地では貴重な鉱石だからである。

 ネクラ族の戦士である俺は、前の戦いで魔女モヘカに相当なダメージを与えたのだが、もう少しのところで逃げられてしまった。陰険な奴のことだ。その仕返しに俺の婚約者である聖子姫に危害を与えるであろうことは十分予測できた。だからこそ、その戦いの時に腕に痛手を受けた俺の代わりにロクハチをつけておいたのだが……。とにかく、ぐずぐずしていては姫が危ない。すぐに後を追って助け出さなくては!! だが、俺も腕がなおっていない。奴と戦うには相棒が必要だ。部族の長であるヘン酋長に相談してみよう。

 このような流れで始まる本作は、プレイヤーが“ダン”に命令する形でゲームを進めていき、聖子姫を助けるのが目的となります。タイトル画面には“DAN”と英語で書かれていますが、それ以外は“ダン”表記のため、記事内でも“ダン”と記しました。

タイトル画面では、“グラフィックアドベンチャー”と表示されるものの、ゲーム名の『魔女モヘカの館』は、どこにも描かれません。画面右下に描かれてるのが、I/Oではお馴染みのマスコットキャラクター“DAN”です。ちなみに、ネット上で見かけるスクリーンショットではメッセージ部分が青色のものがありますが、実際には市販ソフト版も雑誌入力版も文字は白色となります。

 ゲームを起動すると、タイトル名が表示されないタイトル画面が描かれた後(笑)、簡単な説明文が表示されて入力待ちとなります。説明文にあるように、カタカナで名詞+助詞+動詞と並べ、命令形でコマンドを入力しなければなりません。例えば、「パン ヲ タベロ」といった感じです。ただし、助詞は省略しても問題ありませんでした。

 ダンは体が弱いという設定のため、ゲーム中では持ち物を3つまでしか持てません。4つ目を拾いたいときは、先に持っているものを捨てる必要があります。アイテムがそれなりに出現するので、どれが役立ちどれが不要なのかを見極めることも重要になって来ます。そのため、1度のプレイでのクリアは難しいので、何度も遊んで正解を見つけていくことになるのでした。なお、プレイ中にセーブやロードはできませんが、全体的なボリュームとしてはコンパクトにまとまっているので、取り立てて困ることはないはずです。

有名な、ドラゴンに行く手を遮られる最初のシーンです。わかってしまえばなんてことのないコマンドなのですが、アドベンチャーゲームをプレイし慣れた人でなければ、即座には出てこないかもしれません。次のシーンへ行く前に、カギを忘れずに取っておきましょう。

 ダンに命令を出し、魔女の館に捕らわれてる聖子姫を助け出すには、一筋縄ではいきません。本作はドラゴンの描かれているシーンからスタートするのですが、これ以外の画面写真を見たことがある人は、あまりいないのではないでしょうか? それは、ここで入力するコマンドの正解になかなかたどり着けないからです。命令形という、通常のアドベンチャーゲームとは少し違う入力方式なうえに、最初なのでノウハウも溜まっていないということもあり、悩んだ人も多いはず。

 ドラゴンから“敵か味方か”と聞かれていると表示されるので、「ミカタ イエ」や「ミカタ コタエロ」とコマンドを入力するのですが、どれも反応しません。何らかの会話が答えでは……と思いながら何日も悩んだあげく、ここで投げてしまった人もいたのではないでしょうか。

館の中に入れてしまえば、比較的自由にあちこちへと移動できます。ただし、館の外に見えるハシゴだけは、登ると即座にゲームオーバーなので注意してください。ポストには、手紙が入っているようですが……。

 筆者も苦労を重ねてあれこれ試したのですが、はたと気づき「アクシュ (ヲ) シロ」としてみたところ、ドラゴンが仲間と認めてくれて先へ進むことができました。アドベンチャーゲームをプレイし慣れている人ならば思いつきそうですが、そうでなければかなり難しいと思います。

館の中は、ちょっとした迷路状になっています。これらの場面をクリアしないことには、聖子姫を助けることはできません。

 こうして、ようやく魔女の館の前にたどり着くのですが、ここから先も難所が続くのでした。本作に用意されているCGは全部で16枚で、この時期のアドベンチャーゲームとしては少ない部類かと思われます。屋敷内に入り込むことができれば、残り14枚のうち半分以上は楽にお目にかかれることでしょう。ピラニアには×××が効いたり、地下の洞窟ではライトの代わりに××××が役立つなど、このあたりはアドベンチャーの基本的なのでスムーズに進めるかと思います。しかし、何カ所か悩ましい場面も登場するので、ぜひ頑張ってください。

トンネルをくぐり時代を行き来するという、別のアドベンチャーゲームで見たことがあるような、そんな感じの機械が目の前に。うまく操作出来れば、水中へと出られます。目の前の宝箱には、後々必要となるかもしれない×××××××が入っています。しかし、外側にロープが巻かれているため開けられません。なんとかしてロープを切るための道具を調達しないと……。隣にある空き缶すら、何かありそうに見えてしまう!?

 なお、パッケージ版はなかなか見かけることがないと思いますので、プレイしたい人は『I/O』1983年8月号を手に入れて、そこに掲載されているダンプリストを入力するのが手っ取り早いと思います。今では優秀なOCRソフトや、チェックサムを自動で確認してエラーの位置を表示してくれるアプリケーションもありますので、この機会に触れてみるのも良いかもしれません。

館の地下と思われる場所にも、様々な謎が隠されています。コウモリがいたり、階段が2つあったり、血を流すクモのせいで移動できなかったり……それなら、目の前にあるモップで掃除する?

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