ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

スペースハリアー風の3Dシューティング『ヴァクソル』

パッケージイラストに描かれているのは、プレイヤーが操作する機体VAXOL-STORMERです。その周囲には、ゲーム中に出現する敵や障害物などが顔を見せています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、ハート電子産業株式会社のブランド・ハートソフトから、PC-8801mkIISRシリーズ向けに発売された3Dシューティングゲーム『ヴァクソル』を取り上げます。

 1985年、ゲームセンターに『スペースハリアー』がデビューすると、大変な人気を獲得します。その模様を見て、自宅のパソコンでも『スペースハリアー』またはそんなゲームは遊べないものか……と考える人も現れるわけですが、それをいち早くパソコン上のディスプレイに具現化したのが、ハートソフトより発売された3Dシューティングゲーム『ヴァクソル(VAXOL)』でした。1986年11月に発売された12月号の雑誌に「急展開!! 3Dシューティング新世代 近日発売」との広告が掲載されて、翌12月発売雑誌広告にて「でたっ!! 3Dシューティング新世代」と書かれ、発売となっています。

広告初掲載時は3Dシューティングゲームを匂わせる写真が載せられ、その翌月には発売中のバージョンに切り替わりました。MSX版も近日発売とあります。ちなみに、広告で使われていたのはLEVEL-1のボス戦闘シーンでした。

 マニュアルには「VAXOLは、今までのパソコンゲームのイメージを打ち破る、超リアルアニメーション処理による3Dシューティングゲームです。そのSFX(特殊効果)といえるまでに美しい高速グラフィックと、雄大なスケールで、きっとあなたを異次元世界へと引き込むでしょう(後略)。」と書かれていて、今読むとリリースしたソフトハウスのドヤ顔が目に浮かびます(笑)。ストーリーは、以下のようになっていました。

タイトル画面に描かれているのは、プレイヤーの操るVAXOL-STORMERです。手足が細くて、少々弱そうに見えるのが愛嬌のある部分かもしれません。

 強力なエネルギー波を発し、行く手の星々をことごとく滅ぼしていく惑星ZOLGA。人類は戦いを挑むものの、惑星ZOLGAは堅牢なシールドに包まれていたため侵入できずにいた。しかし人類は英知を結集し、一瞬ではあるがシールドの無効化に成功。その瞬間に、VAXOLと呼ばれるエネルギー転換装置を組み込んだパワード・プロテクターVAXOL-STORMERただ1機を侵入させた。VAXOL-STORMERはエネルギー連射装置EPUDEを装備しているが、肝心のエネルギーを惑星ZOLGA侵入時に消費しすぎてしまい、降り立った時には最低限の出力しか放出できない状態に陥る。ここから先はVAXOLに取り込めるエネルギー源を自力で探し出して補給しつつ、惑星中心部に存在すると思われる、創造主であり支配者を倒さなければならない。人類の未来は、君の手にかかっている!

序盤は、VAXOL-STORMERが最初から使える武器のbaw-shotでザコ敵を攻撃していきます。写真右に写っている目玉の敵は、その周りをトゲをはやしたオブジェクトがグルグルと回っているので、gun-bollowでアタックすると素早く倒せます。

 プレイヤーはVAXOL-STORMERを操作し、出現する敵を倒しつつエネルギーを回収し、惑星中心部を目指すことになります。基本的な操作はテンキーを使用した移動(8で上、2で下)とスペースキーでのショットで、弾はスペースキーを叩いた数だけ発射されますが、弾の種類と場合によってはそうならないこともありました。時々流れてくる、敵弾とは違う赤い丸みのあるアイテムは、触れることで自機のエネルギーが増加するので、積極的に回収しましょう。ただし、VAXOL-STORMERのショットが当たると壊れて回収出来なくなるので、ゲットするのはなかなか難しいです。LEVEL-1では、ある程度進むと巨大なボスが出現し、これにダメージを与えて倒すことが出来ればステージクリアとなりました。

sunder bolar(写真左)は貫通力があるので、ザコ敵がワラワラと出現する道中に便利です。大ダメージを与えられるnova-splinter(写真右)は、耐久力のある相手やボス戦で効果を発揮するでしょう。

 VAXOL-STORMERが持つショットは4種類で、連射が利くものの破壊力は弱いbaw-shot、そのbaw-shotに比べて2倍のスピードがあり、敵を貫通して飛ぶsunder bolar、水平に4発同時に発射されるgun-bollow、そして最大の破壊力を持つnova-splinterとなっています。画面右にあるエネルギーゲージが一定まで増えて、武器左側のインジケータが点灯すると、SHIFTキーで選ぶことができるようになりました。敵が横に並んで出現するシーンではgun-bollow、ザコ敵が大量に現れる場面ならsunder bolar、耐久力のあるボスにはnova-splinterなど、状況によって武器を使い分けるのが攻略のコツです。

LEVEL-1から、多数のザコ敵が襲いかかってきます。道中はなるべく上半分で戦い、時々前方から近づいてくるエネルギー補給のアイテムを撃たないようにして回収するのがコツです。エネルギーは敵と接触したり敵弾に当たっても減ってしまうため、一時たりとも気が抜けません。

 ゲームの難易度としてはそこそこですが、慣れるまでは3D特有の距離感がつかめず、敵に当たってしまうことがよくありました。そこを乗り越えられれば、各ステージごとにセーブもできたりするため、クリアはそう遠くはないと思われます。ちなみに、本作はジョイスティックにも対応しているので、MSXやX68000用のジョイパッドなどを持っていれば接続して遊ぶことができました。しかし、ゲームのポーズにESCを使用したり、セーブやロードを行う際はファンクションキーを使うため、スペースキーを大事にしない決心があればキーボードの方が便利かもしれません。また、連射装置付きパッドやジョイスティックなら楽に進めそうにも思えますが、処理の都合で弾はそれほど撃てないため、キーボードとは大差ないことも分かりました(笑)。

LEVEL-2や3になると、上下に長い障害物が登場します。これのおかげで移動範囲が狭められてしまうため、追い詰められる前に敵を倒して血路を開いておきましょう。特に、敵の攻撃はLEVEL-3からは激しくなるので、スペースキーを壊さない程度に連打を!

 とはいえ、この時期にPC-8801mkIISRというプラットフォームで3Dシューティングゲームをリリースしたソフトハウスとして、ハートソフトの名前は一部ユーザーの間では鮮烈に記憶に残ることになります。

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