ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

エニックスの『ウイングマン』、ドリムノートを探し求める大人気アドベンチャー

パッケージイラストは、コミックスを持っている人ならすぐに気づく、1巻の表紙となっています。本作のストーリー自体は、原作の3巻から4巻あたりがベースになっています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、集英社から発売されていた週刊少年漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』に連載されていたマンガ『ウイングマン』を題材にした、同名ゲーム『ウイングマン』です。

 アドベンチャーゲームが流行していた80年代前半、人気のあったマンガやアニメを題材にした作品がいくつか発表されていましたが、中でも『デゼニランド』『サラダの国のトマト姫』並の大ヒットを飛ばしたと当時の書籍に書かれていたのが、今回取り上げた『ウイングマン』です。少年ジャンプアイデアコンテスト優秀作品として誕生した本作を手がけたのは、高校時代のマイコンフリークで結成した6人組のグループ“TAM・TAM”です。マニュアルに書かれていたストーリーは、次のようなものでした。

最初に掲載された広告では、10月下旬発売を予告していました。後に、ゲーム中に入力すると面白い反応があるコマンドを紹介するという、ユニークなバージョンも登場しています。

 アオイはキータクラーとの戦いでディメンションパワーを使い果たし、ウイングマンの所へと逃げてきた。気がつくと、アオイの持っていたドリムノートが破れている。手元に残っているのは、たったの3ページ。残りは、キータクラーとの戦いでなくしたに違いない。ドリムノートがキータクラーの手に渡れば、ポドリムスだけでなく3次元の世界もリメルに支配されてしまう……。プレイヤーはウイングマンこと広野健太になり、アオイ、美紅と共にドリムノートを探してください。学校の色々な所へ行き、そこで出会う人たちとさまざまな会話を交わしてください。可愛い子がいたら電話を聞いてもいいし、恐い先生はおだててみるのも手です。必ずどこかにドリムノートを見つける手掛かりがあるはずです。彼らの運命はすべて、キミの活躍にかかっています。

ロード中とタイトルの画面です。今回プレイしたFM-7用テープ版では、最初にどのテープに何の場面が収録されているかが表示されます。テープカウンタをメモしておくことで、次回からは早送りすることで若干ロード時間を短くすることができました。そこに表記されていないテープB面には、クライマックスのシーンが保存されています。

 プレイヤーは学校を舞台に、あちこち歩き回りながら会話を交わして手掛かりを集め、最終的にドリムノートを見つけるのが目的となります。アドベンチャーゲームと言えば単語探しで苦労させられる時代でしたが、本作は“頻繁に使用する、または名詞入力の必要が無い動詞”は、最初からファンクションキーに登録してありました。しかも、画面の“どうする?”に対して、ほとんどは動詞をファンクションキーから選ぶだけでなく、“みる”や“とる”で名詞を指定しなかった場合は画面に指の形のカーソルが表示されて、これを動かし対象物に移動させることで名前を知ることができる仕組みになっています。それを踏まえて、次は新たに知った名詞を正しく入力することで、単語探しとは無縁のシステムとなっていました。

ゲーム中は、主にファンクションキーから動詞を選んで進めていきます。場面数も少ないので、一度分かってしまえばすぐに先へと進めるのですが、本作のようなゲームでは色々と見たり会話を重ねたり、あるいは触るなどして(笑)、各キャラたちの反応やセリフを堪能するのが正しい楽しみ方と言えるかもしれません。

 用意されている場面数は非常に少なく、最初に動けるのはわずか6画面なのですが、そこに表示されているアイテムやキャラクター達には数多くのレスポンスが用意されていました。例えば、プレイヤーが最初に目にする教室のシーンでは、手前に見える机はもちろんのこと、背面の黒板や正面に立つ北倉先生が身につけているネクタイやズボンのベルトなど、細かい部分に対してアクションを起こしても、それぞれ違った反応があります。

最初に移動できる6場面のうち、残りの3場面がこちらになります。名詞が分からない時はリターンキーのみを入力するとカーソルが表示されますので、それを知りたい部分に移動させると名前を教えてくれます。

 さらに、相手の電話番号を聞いたり、脈絡なくキスしたりしてもレスポンスが返ってくるので、一時期の「ソレハデキマセン」としか対応しないアドベンチャーゲームと比べると、非常に高い満足度が得られました。コマンドの反応は、常に同行しているアオイとの会話という形で行われるため、プレイしていると実際にウイングマンの世界にいる感覚になれるというのも特徴でしょう。

 ゲームを進めていくと、場所移動時にキータクラーが出現して戦闘シーンに移行することがありました。ここでは、テンキーの2468を使用してウイングマンを動かし、ファンクションキーに登録された攻撃で攻撃を仕掛けることになります。勝敗は後の展開に関係ないのですが、実は特定の場所以外で戦闘を行うことが、先へ進むための重要なフラグとなっていました。

キータクラーと遭遇すると、戦闘シーンになります。最初はパンチとキックしか使用できませんが、ゲームが進むにつれてワザが増えていきます。戦闘フィールドが、少々狭いのが残念ですが……。

 本作は人気シリーズとなり、後に『ウイングマン2 キータクラーの復活』『ウイングマンスペシャル さらば夢戦士』と、3作にわたりユーザーを楽しませてくれることになります。

 6/30 2:37更新 初掲載時のメーカー名に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。

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