ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

アニメ映画のシューティングゲーム『ガルフォース カオスの攻防』

パッケージには映画に登場する7人のメインヒロイン達が描かれたセル絵が使われています。裏面には簡易な説明書きのほか、“オススメジョイスティック”としてソニー製ジョイスティックも掲載されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1986年7月に公開された映画『ガルフォース ETERNAL STORY』を元にして作られ、ソニーから発売されたMSX用シューティングゲーム『ガルフォース カオスの攻防』を取り上げます。

 『ガルフォース』といえば、模型雑誌である『モデルグラフィックス』にて連載されていた『スターフロント・ガルフォース』が原作ですが、この作品がOVAとして発売された後、1986年7月にアニメ映画『ガルフォース ETERNAL STORY』として公開されました。今回取り上げた、1986年11月21日に発売されたMSX版『ガルフォース カオスの攻防』は、同映画の設定をベースにしたシューティングゲームとなります。そのプロローグは、以下のようになっていました。

当時の広告を見ると、本作が1986年11月21日に発売されたことが分かります。キャッチコピーは「集まれ、史上最強の戦士たち。」でした。

 ナインボーイシステムによって、緑なす大地に蘇った衛星カオス。プレイヤーである君はソルノイド軍の兵士になり、敵パラノイド軍の手からカスを守らなければならない。カオス上空の宇宙要塞に残員する他6人のガルフォースクルーと合流し、パラノイド軍の最終兵器「ディノサート」を撃ち倒すのだ。果たして君は、クルー7人揃ってディノサートを倒し、衛星カオスを守り抜くことが出来るだろうか?

マニュアルはB3サイズのポスター大が折り畳まれた形となっていて、表面にはゲームの大まかな説明と各クルーの機体が持つ攻撃方法が、裏面には各機体のパワーアップの一部シルエットと敵の動きが書かれていました。

 プレイヤーはスタート時に選んだ一人の機体を操作し、途中で6人の仲間を助け出して合流の後、最終ステージに待つディノサートを倒すことが目的でした。各ステージはカオス地表面と宇宙要塞面の2つで構成されていて、全部で6ラウンド12面を戦うことになります。

ゲームスタート時には、7人のクルーから1人を選択することができます。後のパワーアップを考えれば、PONYを選ぶのが無難でしょう。ちなみに、左はMSX(1)で起動した時の、右はMSX2で稼働させたときのタイトル画面です。若干違っているのが分かると思います。

 各ラウンドの宇宙要塞面には仲間のクルーが一人ずつ残っていて、ミラーと呼ばれる要塞施設に2発撃ち込みスリットミラーに変化した場合、さらにショットを撃つと合流出来る“かもしれません”。アタリならば画面左下に合流したクルーのグラフィックが表示され、マシンチェンジアイコンに触れることで機体を変更することができました。

道中は、敵の容赦ない攻撃に襲われます。手連射だと押し負けることが多々あるので、連射装置付きのパッドか、HB-F1のような連射機能が使える本体でプレイするとサクサク進めます。

 すべてのラウンドともに最初は宇宙要塞面からスタート、ミスするか最後まで到達するとカオス地表面に移り、そこで最後まで行けば巨大なボスとの戦いが待っています。道中に設置されたカタパルトに触れれば再び宇宙要塞面に進むことが出来たため、仲間と合流できるまでは何度も宇宙要塞面とカオス地表面を往復することになりました。もちろん、誰とも合流しなくても最後に待つディノサートを倒せばクリアとなりますが、その場合は真のエンディングを見る事が出来ないので、最終的にはプレイヤーがしょんぼりすることになります(笑)。

スリットミラーを破壊すると、運が良ければ仲間と合流することができます。その瞬間にパワーアップも行われるので、是が非でもスリットミラーはすべて破壊しておきましょう。

 本作の特長と言えば、人数分用意された機体と、それらが20段階にパワーアップして多彩な攻撃を仕掛けることでしょう。『ダーウィン4078』風パワーアップが行われると説明すれば、MSXユーザーにはわかりやすいかもしれません。7人分の機体×20段階のパワーアップということで、自機の攻撃パターンは140+α種類用意されていました。そのパワーアップは、空中を浮遊してくる赤いタラックに弾を撃ち込んで緑の状態で回収するか、地上物のレベルアップパネルを取ることで1段階、仲間と合流したり各ラウンドのカオス地表面最後に待っているボスを倒せば3段階行われます。ただし、そのすべてが有効な攻撃方法ではないということもあるため、プレイヤーにもちょっとした戦略が求められました。例えば、Aの機体3番目のパワーアップが使いづらい場合、Bの機体で3番目と4番目のパワーアップを行い、改めてAの機体に戻す、といった感じです。

仲間と合流できないままカオス地表面に来てしまった場合は、このカタパルトを見つけて接触することで、再び宇宙要塞面に移り探すことができます。

 敵弾をくらってしまうと自機のパワーアップが1段階、体当たりでは2段階ダウンしてしまい、初期状態で被弾か2段階目以下で体当たりを喰らうとミスとなるシステムを採用しているため、ある程度パワーアップしてしまえば残機数がそう簡単に減ることがないというのもユニークな部分でした。

 とはいえ、ほとんどの機体はパワーアップに伴い大きくなっていくので、必然的に最初に選択するクルーは決まっています。そこさえ間違えなければ、後は連射装置があれば道中は何とかなってしまうため、そういう意味ではあっさり目のゲームだったと言えるかもしれません。

各ラウンドのカオス地表面ラストには、巨大なボスが待ち構えています。中央部分に弾を撃ち込みダメージを与えていけば倒せますが、敵弾の数が多いので無理は禁物。

 ちなみに当時のMSX Magazineの紹介記事を読んでみたところ、以前に取り上げた『ぎゅわんぶらあ自己中心派』と同じく1本でMSXとMSX2に両対応しているだけでなく、MSXではMSX用の、MSX2で稼働させればMSX2に合わせた画面が表示されるシステムを採用した初のゲームだった、と記されていました。

 本作はジャンルがシューティングゲームで開発がハル研究所、発売元はソニーでしたが、PC-8801シリーズ用などにはスキャップトラストを発売元として、ブランド名SESSION61よりアドベンチャーゲーム『ガルフォース 創世の序曲』がリリースされています。その他、「ガルフォース」シリーズとしてはアクションゲーム『ガルフォース 虹のかなたに…』とRPG『ガルフォース 怒濤のカオス』が発売予定とされていましたが、残念ながら開発中止となってしまいました。

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