ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

8ビットパソコンでも遊べるようになった『大戦略FM』

パッケージは、PC-98版『大戦略II』と同じテイストで、渋い仕上がりになっています。画面写真が掲載されているのも、パッケージにひっかけられた部分のみという徹底さでした。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、8ビットパソコンへ移植された「大戦略XX」シリーズのなかから、1987年に発売された最後発の『大戦略FM』です。

 1985年に、後にシリーズ化となる「大戦略」ファミリー最初の1本、PC-98版『現代大戦略』が発売されると、コアなシミュレーションゲームファンだけでなく、さまざまな層から人気を得ます。これを、当時ゲームを遊ぶプラットフォームとして大勢が所有していた8ビットパソコン向けにシステムをアレンジしてリリースされたのが、「大戦略XX」です。XXの部分には機種名が入り、1986年登場のPC-88版は『大戦略88』、翌年87年に出たX1版が『大戦略X1』、そして87年夏に市場に出回ったFM版が、今回取り上げている『大戦略FM』となります。

広告はいくつかのバリエーションがありましたが、「大戦略」シリーズでまとめられていたパターンは非常にシックな仕上がりになっていました。描かれているイラストは、『大戦略II』のパッケージにも使われているものです。

 基本的なルールは『現代大戦略』と同じく、ターン制でした。ただし、同時プレイ人数が4人までから2人までになったのと、マップの大きさが『現代大戦略』の60×60から40×40へと変更され、それに伴い航空ユニットの移動数が変更されたなど、いくつか異なる部分があります。しかし、なんといっても“あのPC-98シリーズでしか遊べなかった『現代大戦略』が、僕らの持っているPC-88、X1、FM-7といったパソコンでも楽しめる!”ということが、とにかく嬉しかったのを憶えています。

毎ターンごとに相場(Rate)が変わるため、兵器生産金額は随時変化します。前のターンには作れていたはずが今はダメ、なんてことがよくあるので、常に注意が必要です。この「Small Island」は狭いため、補給のことを考えずにプレイ出来るのが良いところで、しばらくは補給車を生産する必要はないでしょう。

 ゲームシステムはベースの部分が同一なので、やるべきことも同じでした。味方ユニットを生産し、街を占領して収入を増やし、遭遇する敵ユニットを倒し、相手の首都を占領するか敵ユニットを全滅させれば勝利を収めることができます。収録されているマップは、『現代大戦略』が15種類だったのに対し、「大戦略XX」では16種類と1枚増えました。それが、初心者向けの「Small Island」です。「大戦略」シリーズを代表する「Island Campaign」よりも小さいマップで、赤国と青国の首都の間が14マスしか離れていないため、シリーズを始めて体験するにはピッタリでしょう。

山や海は地上ユニットは移動できませんが、川や山は歩兵なら、それ以外の場所は戦車なども通ることができます。航空ユニットは地形関係なく移動が可能ですが、そのぶん高価だったりするので、おいそれとは生産できません。歩兵と工兵は街や飛行場、首都を占領できるユニットで、弱いものの数が必要となります。

 ユニットを移動させて敵ユニットに隣接すると、相手を攻撃することができます。戦闘はサイドビューで行われ、攻撃を仕掛けた側が先にアタックできました。もし倒すことが出来なければ、その時点で初めて相手からの反撃を受けてしまうというルールです。シンプルでわかりやすいだけでなく、攻撃の模様がアニメーションで表現されるため、戦闘結果を常にドキドキして見ていました。特に、最後の1ユニットがどんなに攻撃を受けても倒されず粘っていたりすると、「そんなわけあるか!」とパソコンに向かって悪態をつくなど、酷い行動が一時期常態化してしまうことも(笑)。

敵ユニットと隣接するとアタックできます。戦闘は常に攻撃を仕掛けた側が先に撃ち、相手が倒されなかった場合のみ反撃が行われます。森や街などにいるユニットは、地形効果による防御力アップという恩恵を受けるので、なかなか倒されなくなります。

 バトルも、高価な航空ユニットに対しては安価な対空ユニットが、その対空ユニットに対しては戦車や装甲車が、そしてそれら陸上兵器に対しては航空ユニットが、それぞれ絶大な力を誇るように調整されていました。また、自軍が生産できるのは32ユニットと決まっているので、作るべき兵器のバランスを考えつつゲーム全体の戦略を考えた戦術を展開していくことが重要になってきます。それがピッタリとハマったときの気持ち良さがたまらず、ついつい何度もプレイしてしまう魅力がありました。

シンプルな表組みですが、これを見て理解することが、“ダイセンリャカー”への第1歩です。各ユニットには必ず天敵がいるので、それを把握しておきましょう。装甲の厚いレオパルドでも、ヒューイコブラからの攻撃を受けてしまっては分が悪いです。

 「大戦略XX」シリーズは『現代大戦略』と違い、全体的な処理速度が大幅にアップしているのも特徴と言えます。『現代大戦略』からプログラムを大幅に刷新したことで、敵の思考ルーチンも早くなりました。ただし、経験を大量に積んだユニットが戦闘に参戦すると、1発の攻撃処理に時間がかかるようになるのですが、当時は“練度の上がったユニットの行動なので、処理も重いんだろうなぁ”としか思っていませんでした。

 「大戦略XX」は大ヒットとなり、その後も『大戦略II』や「Super大戦略』、『キャンペーン版大戦略II』など、システムソフトは次々とヒット作を生み出していくことになります。

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