ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

秀逸な移植で面白さはそのまま!ぴゅう太版『スクランブル』

紙パッケージの外箱には、ゲームをイメージしたイラストが描かれています。裏面にはゲームの説明が書かれているので、ルールを知らないタイトルの場合はパッケージごと手に入れたいところです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、アーケードからぴゅう太に移植されたソフト『スクランブル』です。

パッケージ裏に描かれた説明です。画面写真ではなく、イラストを使用しての解説になっていました。ここに、エリアごとの解説も書かれていました。

 1982年は、ゲームを遊ぶことをメインに考えられたパソコンが、数多く発売された年です。m5やRX-78、ぴゅう太、SC-3000などがありますが、これらのハードにはアーケードゲームをリリースしていたソフトハウスから数々の作品が移植されました。そのうちの1本が、今回取り上げた、ぴゅう太用の『スクランブル』です。

 アーケード版『スクランブル』は縦画面横スクロールのゲームで、自機のロケットを操作しマシンガンと爆弾で敵を倒しながら、燃料タンクを破壊して燃料を補給しつつパターンをクリアして行くという内容でした。ぴゅう太版も、基本的なルールは同じです。家庭用のテレビに接続する為、オリジナルの縦画面から横画面へと変更されていました。これにより、見える範囲が広くなり、アーケード版よりも遊びやすくなっています。

ゲームスタート時には、プレイヤー数と難易度アマ・プロどちらかを選択します。これらを選ぶと、多少音色は違うもののアーケード版と同じファンファーレが流れて始まります。

 プレイヤーは自機の母船をディスクパッドで操作し、SRまたはSLのショットボタンでミサイルと爆弾を発射して敵を倒しながら、最終エリアの要塞を破壊すべく5つの空間をクリアしていくのが目的です。アーケード版ではミサイルと爆弾のショットボタンは別でしたが、ぴゅう太版はショットボタンを押すとミサイルと爆弾が同時に撃ち出されました。

 ミサイルは2連射、爆弾は1発と、アーケード版と比べるとショット数は減っていますが、そのぶん敵の出現数も抑えられているので、難易度的にはちょうど良い感じで進めます。自機や武器の名前、面の呼び名がパターンから空間に変わっているなど、いくつかがアーケード版のインストラクションカードに書かれているものから変更されていますが、意味するところは同じでした。

ミサイル空間は簡単なので、どのあたりで爆弾を撃てば地表の敵に当たるのかを掴んでおきましょう。余裕があれば、敵ミサイルを破壊してスコアアップを狙いたいところ。

 進行していくエリアは、アーケード版が6つに別れているのに対してぴゅう太版は5空間。しかし、4エリア目が5エリア目と繋がっているので、実質はアーケード版と同じエリア数となります。

 最初にプレイすることとなる1エリア目は、ミサイル空間と名付けられていました。出現する敵は地上物だけなので、ここで爆弾をヒットさせるコツを学んでおきたいところです。地上から飛んでくる敵ミサイルは80点、オイルタンクと敵基地には40点が設定されていました。

 2エリア目はUFO空間で、UFOが前方から緩やかな正弦波を描くように飛んできます。アーケード版ほど正弦波のカーブがキツくないのですが、UFOがどこまで上下移動するかが読みづらく、ミサイルや爆弾も当てにくいため、全編を通して一番難しいエリアかもしれません。

背景の色が変わると、次の空間へと突入した印です。UFO空間に出現するUFOは、軌道が読みづらいためミサイルを当てにくく、気づけば体当たりを受けているということがよくあります。全エリアを通しての最難関かもしれません。最初のうちは、地表物のことを考えずにUFOだけに集中するのが良いかもしれません。

 これを何とかクリアすると、3エリア目の隕石空間に突入します。隕石が画面前方から母船めがけて流れてくるので、激突しないように地表の敵を攻撃しなければならないのですが、隕石はミサイルを当てても破壊出来ないために避けるしかありません。ここはプレイヤーの操作テクニックが要求されるので、華麗なディスクパッド捌きを見せたいところです。

 都市迷路空間と名付けられた4エリア目に入ると、都市空間内に敵ミサイルとオイルタンク、敵基地が配置されているのが目に入ります。それらを破壊して先へ進むと、シームレスに次のエリアとなる迷路空間に突入。アーケード版の面影を見せる迷路構成になっているのですが、あちらはタイミング的に厳しい移動が多かったのに対して、ぴゅう太版では横画面のために比較的楽にクリアすることができるでしょう。

隕石空間では、前方から破壊不可能な隕石が飛んできます。凹のような地形で、くぼみに入って地表物を破壊していると、上を隕石に塞がれて脱出出来なくなることが多々あるので、逃げ道を確保出来る中央部に陣取るのがコツです。

 ここを突破すると、アーケード版では6エリア目に待っていたのは“KONAMI”と書かれたビルの影に配置された敵要塞で、それを破壊すれば1周目クリアとなり2周目に突入しました。しかし、ぴゅう太版『スクランブル』では、要塞空間と呼ばれる場所に移動。隕石バリアに守られた敵の要塞が出現するので、飛んでくる隕石に激突されないようバリアを破壊し、その奥に配置されている敵要塞を撃墜しなければなりません。

 しかも、3段バリアは時間と共に復活してしまうだけでなく、バリアに穴を空けても敵要塞は上下に移動しているので、ミサイルを当てづらいのが難しいところです。もちろん、燃料には限りがあるので、その前に倒す必要がありました。地表にはオイルタンクが4つあるので、ピンチになったらこれらを破壊して補給するのですが、それでも戦える時間には限りがあります。迫り来るガス欠と敵の猛攻を凌ぎつつ敵要塞を破壊出来ればファンファーレと共にボーナスポイントが追加され、2周目が始まるのでした。なお、要塞空間を2回クリアすると、母船のストックが1基増える仕組みになっています。

都市空間と迷路空間では、狭い場所での移動を強いられます。ディスクパッドを上手に動かすことが、勝利への近道です。迷路空間では地表物を破壊出来ずにピンチになることがありますが、その際でも“ミサイルが通れば母船も通過可能”ということを憶えておくと、このような場所でも通れるため危機を切り抜けられるでしょう。

 以前に紹介したPC-8001版『スクランブル』ともまた違った移植作品となっていますが、実際にプレイしてみると遊びやすく、また最後にボスが待っているという演出もあり、非常に楽しくプレイ出来るのではないでしょうか。アーケード版やアーケードアーカイブスで『スクランブル』を体験した人、PC-8001版をプレイした人には、こちらもぜひ遊んでもらいたいです。

最後の敵要塞との戦いは、一番盛り上がる場面です。コツは、敵要塞付近のバリアを集中的に攻撃して、奥まで届く穴を早めに開けること。ここでは爆弾は発射されませんので、燃料が少なくなったらオイルタンクをミサイルで破壊する必要があります。
最後に、ぴゅう太版『スクランブル』の1周クリア動画を掲載します。

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