ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

国内最速発売されたBPSのパソコン版『テトリス』

赤いパッケージにロゴとイラストというシンプルさです。フロッピーディスクを収めるエンベロープには、“ソビエト連邦”の国旗に描かれている鎌と槌がプリントされていました。なお、パッケージ写真はPC-9801版を使用していますが、ゲーム画面はパッケージを捨てられてしまったもののソフトだけ残っていたPC-8801版で撮影しました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、今や知らない人はいないと思われる超有名タイトル『テトリス』の、1988年11月18日にBPSから発売されたパソコン版です。

 今では、誰もが知るゲームの1タイトルとなった『テトリス』ですが、日本では1988年12月にゲームセンターで稼働を開始した、俗に言う『セガテトリス』が大ブームの火付け役となっています。しかし、その1カ月前となる11月18日にパソコン各機種で発売されていたのが、BPSからリリースされた『テトリス』です。この時期としてはリリースされたハードは多く、PC-8801シリーズ/PC-88VAシリーズ/PC-9801シリーズ/X1シリーズ/FM77AVシリーズ/X68000シリーズ/MSX2のほか、FMR-50/M500シリーズ用も販売されました。

ステージとラウンドを選んだら、プレイ中に鳴らすBGMを選択します。いずれの楽曲も、いかにも“ソビエト連邦”らしいもので、なかなか良く出来ています。

 基本的なルールは、上から落下してくるテトリミノをテンキーで左右に移動させ、隙間なく横に並べると消えるというものです。アーケード版ではジョイスティックと1ボタンが用意され、ジョイスティックの左右でテトリミノの左右移動を行い、レバー下で操作した分だけテトリミノが落下、ボタンでテトリミノを右回転させるという操作方法でした。しかしパソコン版は、テトリミノをテンキーの4で左、6で右に移動させるほか、スペースキーでテトリミノを回すのかと思いきやテンキーの5で回転を行うように設定されています。スペースキーを押すと一瞬にしてテトリミノが落下し、直下の場所にピタッと張り付きました。

 アーケード版ではテトリミノは必ず決まった向きで登場しますが(|のテトリミノなら、必ず|の状態で出現)、パソコン版はランダムな向きで現れるルールとなっています。また、この時期はテトリミノのカラーなどは統一されていなかったので、アーケード版とパソコン版では同じ形のテトリミノでも配色が違っていたりしました。

ステージ0、ラウンド0を選ぶと、左のように何も無い画面から始まります。上からゆっくりと落ちてくるテトリミノを操作し、綺麗に並べて消していきましょう。しかし、ステージ9、ラウンド5でゲームを始めると、フィールドが障害物でとんでもないことに。速い速度で落下してくるテトリミノは、障害物などに触ると即座にくっついてしまうので、悩んでいる時間はありません。

 タイトル画面でスペースキーを押すとプレイが始まり、最初にステージとラウンドを選ぶことになります。ステージはテトリミノが落下するスピードを、ラウンドはステージに配置される障害物の多さとなっていて、0-9までの10ステージ/0-5までの6ラウンドから自由に設定が可能でした。続いて、BGMを“TECHNOTRIS”“KARINKA”“TROIKA”または無音のSILENCEからチョイスします。それが終わると、いよいよテトリミノが落下してきますので、あとはラインを揃えて綺麗に消していくのみ。

全部で25ライン消すとステージクリアとなってしまうので、最大限にスコアをゲットするには4ライン消し×7を狙うしかありません。

 パソコン版の特徴といえるのが、LIFE制と面クリア制になっている点でしょう。アーケード版のように延々とプレイすることはできず、25ライン以上を消した時点でステージクリアとなり、消し方(1ライン消しは100点、2ライン消しは300……)によって点数が追加されてステージが1つアップした面へと進みました。このとき、フィールドの一定以上のレベルにテトリミノがある場合、ラウンド数に応じた数だけ最下段から数ライン分のテトリミノが消去されて次のステージがスタートします。各ラウンドのステージ9で25ラインを消すことが出来れば全面クリアとなり、ご褒美としてソビエト連邦らしい建物画面が表示された後、同じラウンドのステージ0からプレイ再開となります。

ステージをクリアまたはミスすると、スコアテーブルが表示されます。ミスの場合はライフが1つ減り、フィールドが初期化されて同じステージをプレイしますが、クリア時は少しだけ速度がアップして次のステージが始まります。ゲームオーバー時に、ある程度のスコアをゲットしているとネームエントリーができます。一人で遊んでいるとむなしくなるので、大勢の人とプレイして楽しみたいものです。

 テトリミノが上まで積み上がり、次に出現するテトリミノと重なってしまうとミスとなり、LIFEが1つ減ってしまいます。その後、プレイフィールドが初期化されて再スタートしますが、3回ミスするとゲームオーバーとなってしまうので注意しましょう。

 回転がスペースキーではなくテンキーの5のため、左右移動しつつ回さなければならないという事態になると、どうしても操作ミスが起きてしまうのが厳しい部分でした。これを回避するにはジョイスティックなどを使えば良いわけですが、対応していたのはPC-98版/X1版/X68000版/MSX2版だったため、それ以外の機種のユーザーは大変だったのではないかと思います。

各ラウンドのステージ9をクリアすると、このようなご褒美のグラフィックを拝むことができます。その後、同じラウンドのステージ0に戻り再スタートとなります。

 また、PC-88版はクリア後に“スピードアップ!”などと喋ったり、PC-88VA版はステレオで音楽が鳴るといった、この時期にしては珍しく各機種ごとの差異も目立つ作品になっていました。

ソビエト連邦生まれのゲームということもあってか、発売直前の広告では赤地を使用しているのが印象的です。右は発売直後の広告ですが、テトリミノをかじっているユニークなものになっています。

 ご多分に漏れず筆者も『テトリス』にハマった一人で、アーケード版はスコアもレベルもラインもカウンターストップできるくらいには上手になりました。しかし、“私はこれで会社を辞めました”ならぬ、“私は『テトリス』で受験に失敗しました”というくらい毎日ゲームセンターへ通い、挙げ句の果てには目を閉じてもテトリミノが降ってくるまで遊んだおかげで、その後はいろんな意味で大変な目に遭いつつも、落ちモノパズルゲームが得意ジャンルになったので後悔はしていません(笑)。

【PC-8801FE2で「テトリス」をプレイ】
PC-8801FE2にて、電源オンからソフト起動、ステージ9ラウンド5をクリアするまでを動画で撮影してみました。テトリミノの左右移動は、テンキーの4または6を連打して行っています。BGMも入っていますが、音量が低いので聞く時にはご注意ください。プレイするとわかるのですが、かなり大変です。

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