ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

その移植度の高さに驚愕した「沙羅曼蛇(サラマンダ)」

発売元がシャープだったため、シャープのその他のパッケージと同じデザインを採用しています。そのため、ほかのゲームソフトと比べると地味な見た目になっています

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、シャープから発売されたX68000用タイトル「沙羅曼蛇」です。

 ゲームセンターで稼働していたタイトルが家庭で遊べるとなったとき、当時は移植度合いがどの程度なのか? は重要な項目でした。見た目は同じか? アルゴリズムは移植できているか? など、ゲーマーにとっては気にする部分が多々ありました。もちろん、そんなことを考えずに移植版をプレイしていた人も数多くいましたが、移植度を論じる人の声は大きかった記憶があります。そんな時代に登場したパーソナルワークステーション・X68000は『グラディウス』が付属していたこともあり、まさにアーケードゲームを完全移植するにはピッタリのハードに感じられました。

タイトル画面は、まさにアーケード版そのままです。コインを投入するというアクションがきちんと再現されているのも、またたまらない魅力です

 そのX68000用タイトルとして、アーケード版が市場に登場してから2年後に発売されたのが『沙羅曼蛇』です。開発をしたのはコナミではなく、『グラディウス』と同じくSPSでした。新作紹介として雑誌に掲載された写真を見たときは、その完全移植具合に驚いたものです。電源投入後のクロスハッチ、タイトル画面での“PLEASE DEPOSIT COIN”の表記、パワーアップを説明するデモ画面、そして各面のハイライトシーンなどなど。スクリーンショットだけであればゲームセンターで見たものとほぼ同じで、いやが上にも期待は高まるというものでした。

「沙羅曼蛇」をはじめとしたシャープから販売されていたゲームソフトは、X68000シリーズのの広告ページに小さく掲載されているだけでした。これは1988年10月号の「マイコンBASICマガジン」に掲載された広告ですが、「沙羅曼蛇」は9月発売予定と書かれています

 筆者はソフト発売から3年後、X68000XVIを入手したタイミングで『沙羅曼蛇』を購入し遊んだのですが、その移植度には驚愕したものです。若干アーケード版と違う部分がありはしましたが、ソフト発売時点で一番オリジナルに近かったのは間違いないでしょう。特に、3面のプロミネンスがスムーズに動くシーンには、非常に感動したものです。16MHzでプレイしたため、当時いくつかの雑誌に書かれていた処理落ちとも、ほぼ無縁でした。しかし、初プレイが10MHzの機種だったならば、もしかすると作品に対する印象はまったく変わっていたかもしれません。

当時、非常に印象の強かったステージ3のプロミネンスです。1周目は下段左で3/4ステージを過ごし、途中上へ移動して再び下へと動けばプロミネンスをかわせます。ノリの良いBGMと相まって、テンションが上がる場面です
ステージ4最後のブルーボールも、アーケード版と同じ安全地帯が使えました。誰かがクリアした後であれば、こんな苦労はしなくて済むのですが(笑)

 今回、久しぶりにプレイしてみたのですが、特に問題無く1周クリアすることはできました。そこで、改めて10MHzでの動きを体験しようとしたところ、27年間の付き合いだったブラウン管ディスプレイ・CZ-607Dが突然映らなくなってしまったため、そちらでの検証は出来ず仕舞いに……。これに関しては、心の傷が癒えた頃に別のモニタを用意して確かめてみようと思っています。

 『沙羅曼蛇』後にも、さまざまなソフトハウスからアーケードタイトルの移植作品が登場していますが、移植の得意なところとそうではないソフトハウス、その差が少しずつ開いていった時期がこのあたりなのかもしれません。

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