ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

大いなる進化を遂げて帰ってきた『タイニーゼビウスmkII』

(1/12 23:00更新)動画を追加
パッケージには青を背景としたナスカの地上絵が描かれていて、『タイニーゼビウス』と比べてスタイリッシュな印象を受けます。パッケージ上部のロゴは『XEVIOUS』のみで、そのカゲの部分に“タイニーゼビウスマークII”、パッケージ右下に“TINY XEVIOUS mkII”と記されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、PC-6001ユーザーを狂喜乱舞させた、あの『タイニーゼビウス』の進化版ともいえる『タイニーゼビウスmkII』です。

 1983年に発売された『タイニーゼビウス』はマイコン・パソコン界隈で大きな反響を呼び、ソフトは爆発的なヒットを飛ばすこととなります。しかし、本作のプログラマである松島氏にとって『タイニーゼビウス』は「けっして満足いくものではなかったのです(オールアバウトナムコより)」とのことで制作を続け、翌年1984年11月20日に発売されたのが今回取り上げた『タイニーゼビウスmkII』でした。前作『タイニーゼビウス』はPC-6001シリーズが対応機種でしたが、『タイニーゼビウスmkII』ではPC-6001は外され、PC-6001mkIIとPC-6001mkIISR、PC-6601、PC-6601SRがプレイ出来るハードとなっています。なお、同日にはFM-7シリーズ対応版の『ゼビウス』も発売されました。

タイトル画面ではパックマンやアカベイ、ニャームコ、リブルラブルといったナムコの人気キャラクターたちが特別出演(?)しています。ちなみにロード中の画面には、簡単な操作方法も表示されます。

 今作の特徴は、なんといってもマップがオリジナル版とほぼ同じになったことと、キャラクターもアーケード版に近づいたことが挙げられると思います。静止画での見た目だけでは他機種版より劣るように感じるかもしれませんが、初めてプレイした時には「これがPC-6001mkIIでの動き!? 信じられない!」と非常に驚嘆したものでした。しかも、登場キャラクターはアーケード版ライクで、マップも脳内にこびりついている見慣れたパターン、さらにはスクロールもとんでもなくスムーズと、とにかく驚かされっぱなし。しかも、16エリアを一括ロードしてオンメモリで処理しているという部分にも感心させられました。

タイトル画面でスペースキーを押すと、緑一色の画面に変わります。ここでカーソルキーの上下を操作するとステージ表示が変化するので、好きなエリアを選んでもう一度スペースキーを押すとゲームスタートとなります。

 プレイヤーはソルバルウをカーソルキーまたはジョイスティックで操作し、スペースキーまたはジョイスティックのボタンでザッパーとブラスターを発射して敵を倒しながら、16エリア制覇を目指します。ルールはアーケード版と同じですが、マップ上にパックマンが登場したり、オリジナル版には存在しなかった敵キャラクターが出現するところが若干の違いでした。また、タイトル画面やハイスコアランキング表示時にもパックマンやアカベーが出演するなど、本家にはない演出も盛り込まれています。ほかにも、例えばエリア9でシオナイトがソルバルウに張り付いている時にも敵が出現するといった、ちょっとしたパターン違いもありました。

エリア3ではバキュラが、エリア4ならアンドアジェネシスが当たり前のように登場します。アーケード版をプレイしたことがある人も、このグラフィックならば違和感をそれほど感じないかと思います。

 本作でのありがたい要素としては、以前“見づらい”と言われていた敵弾の色を、ロード完了時に3種類から選択できるようになったこと、プレイスタート時に開始ステージを任意に選べるようになった部分、そしてプレイ中の速度変更が挙げられるかと思います。特にスタートステージを選べるというのは、ゼビウスの16エリア目を見てみたい! 体験したい! と思っていた人などには重宝されたことでしょう。

ソルやスペシャルも、もちろん出現します。地上絵の演出もあるので、砂漠地帯が茶色一色の寂しいシーンということにはなりません。

 もちろん、ナスカの地上絵は表示されますし、デザインがオリジナル版に非常に近くなったアンドアジェネシスも当たり前のように浮遊します。8本ソルやスペシャル、エリア16の猛攻など、アーケード版をプレイした人でも違和感無く遊べる仕上がりになっているところは、今でも驚かされるばかりです。他機種版をプレイした人にもぜひ経験して欲しいですが、ソフトを入手する難易度が高いので難しいかもしれません。それでも、一度は遊んでおくことをオススメしたいです。

当時は発売日が書かれた広告が掲載されましたが、それを見ると同日にFM-7版もリリースされたのが分かります。

 ちなみに本作は、A面にPC-6001mkII/PC-6601用、B面にPC-6001mkIISR/PC-6601SR用のデータが収録されています。自分が所有している機種に合わせて、ロードする面を選んでデータレコーダへセッティングするのですが、今回試しにPC-6001mkIIを使用してA面B面どちらもロードさせてみたところ、問題無く実行できてしまいました。下記動画の一つ目がA面、二つ目がB面のロード風景で、どちらもBASICのモードは4、ページは2を選んでいます。画面の左側2/3のプレイフィールドは同一で、右側のスコアや残機、ロゴなどが表示される部分が変わるのが違いでした。

【タイニーゼビウスmkII A面/B面のロードの比較】
上の動画が『タイニーゼビウスmkII for PC-6001mkII/6601』と書かれたA面をロードした時のもの、下の動画が『タイニーゼビウスmkII for PC-6001mkIISR/6601SR』と記されたB面をロードした時のロード風景です。途中の無音部分は4倍速で、それ以外は画面に書かれた速度で早送りした以外は手を加えていませんが、PC-6001mkIIでもA面B面どちらでも遊べるのが分かると思います。
【タイニーゼビウスmkII for PC-6001mkII/6601のプレイ動画】
エリア4のプレイ動画です。再現度の高い敵やマップ、パターン、そしてスムーズなスクロールが見て取れるかと思います。1984年に対応機種を持っていた人は、最大限の賛辞を送りながらプレイしたのではないでしょうか。

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