ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』

パッケージイラストはセル画を落とし込んだものを使っています。塗りの陰影やキャラクターのデザインから、当時っぽさが伝わってきます

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、当時ファンクラブの会報にて1986年に発売されたタイトル『試験に出るうる星やつら』です。

 1980年代に人気のあったアニメの一つに、「うる星やつら」がありました。その勢いはファンクラブができ定期的に会報が届けられるほどで、会員数も相当にのぼったものと思われます。

 その「うる星やつらファンクラブ」がリニューアルし、新たに「キティ・アニメーション・サークル」となりますが、そこから出ていた会報にて発売されたのが『試験に出るうる星やつら』でした。当方も会員だったため、当時いち早く申し込み、到着を楽しみに待っていた記憶があります。ちなみに、それ以外の販路は現在確認できていませんが、もしかすると他でも購入できたかもしれません。

収録されていたディスクは、カラーのものが使われていました。また、マニュアル「学習の手引」には、クイズに登場するキャラクター全員が掲載されていますので、これを見れば多少は正答率が上がるかもしれません!?

 ゲームのルールは簡単で、クイズゲームなので出題されるクイズに答えていくだけです。とはいっても、ファンクラブで発売されるゲームですので、問題自体が恐ろしく難しいものになっていました。

 「コミックス×巻の裏表紙に描かれているキャラクターは?」という、原作コミックスを全巻持っているのは当たり前の質問に始まり、各キャラクターの相関関係、アニメの1場面で発言されたセリフを誰が言ったのかなど、簡単・難しいの範疇を超えた難問奇問がプレイヤーに襲いかかります。

 そんなクイズは、Yes-No/五択/穴埋め/数値/キャラクターと5ジャンルが用意されていて、各ジャンルごとに240問が収録されていました。選択式クイズは時間制限がありますが、それ以外は答えを入力するまで待ってくれます。

これが、クイズの画面です。最初は左の写真のように青で覆い隠されていますが、正答することで少しずつマスクされた部分が剥がれモノクロCGが見えてきます。最終的にどんなCGが描かれているのか? それにワクワクしたものです。

 クイズに正解すると、画面上部のマスクされている3/4の領域が1/40ずつ取り除かれ、その下に描かれたCGをわずかにのぞき見ることができます。クイズは40問で1セットになっていて、この40問すべてに正答しなければ、せっかく現れたCGは着色されることなく消えてしまうのでした。つまり、もう一度高難易度の40問に挑み、全問正解するという至難の業を遂げなければならないのです。収録されたCGは52枚にものぼり、その完成度も非常に高いものでした。

クイズは40問が1セットになっていて、全問正解すれば同じセットを選択することができるようになります。しかし、その全問正解するまでが遠いわけですが……

 PC-8801mkIISR以降の機種であれば、プレイ中には非常に再現度の高いアニメのオープニングやエンディングテーマ曲、さらには劇場版未収録BGMなどが流れます。こちらも、全部で24曲が入っているという、ボリュームとしてはかなり贅沢なものといえます。

タイトルとゲームオーバー画面を見ても分かるように、当時としてはCGのクオリティは高かったです。このようなグラフィックが50枚以上も収録されていたので、ファンにとってはたまらないソフトでした

 とはいえ、「うる星やつら」全盛時代の当時ですら、“全問クリアした!”という投稿などを見かけたことはありませんでした。インターネットがなかった時代なので検索ができず、書籍やらアニメをすべて手元に揃えてから挑戦しても鬼難易度だったことを鑑みれば、全国にクリアした人がどれだけいたか……というレベルなのかもしれません。

 残念ながら当方もクリアすることはできませんでしたので、未だに未練がましく当時のユーザーディスクを保存し、インターネット全盛の今なら全問正解できるかも、という夢を抱えながらリベンジのチャンスをうかがっています(笑)。

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