ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

パソコン版もあった“あの”ゴルフゲーム『任天堂のゴルフ』

パッケージに描かれているのは、マリオに似たキャラクターです。裏面にも登場していますが他のポーズなどは一切なく、すべて表面のイラストを縮小コピーしたものとなっていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、ファミリーコンピュータ版から移植された『任天堂のゴルフ』PC-8001mkIISR版です。

マニュアルには、パッケージに描かれているマリオっぽいキャラではなく、まったく別のイラストで、ちょっとした解説が描かれていました。

 1983年、任天堂は家庭用ゲーム機としてファミリーコンピュータを世に送り出します。同時に、オリジナルのゲームも各種登場しますが、その中にはパソコンへと移植された作品もありました。その中から以前は『バルーンファイト』を取り上げましたが、今回ピックアップしたタイトルは『任天堂のゴルフ』です。PC-8801、FM-7、X1、PC-6001mkIIなどにリリースされましたが、最後発で発売されたのがPC-8001mkIISR対応版でした。

 タイトル画面から選べるモードは3種類あって、1つ目が一人プレイ専用のストロークモード、2つ目は二人プレイ用のストロークモードです。この2つは18ホールを一人または二人で回り、最終的にスコアの少ない方が勝利となりました。

タイトル画面が表示されると、PC-8001mkIISRらしくFM音源でのBGMが流れます。なお、ゲーム名は『任天堂のゴルフ』ですが、なぜかゲームのタイトルは『GOLF』のみ。ここでモードを選択すると、ゲームが始まります。ちなみに、ラウンドが終了したときも豪華なねぎらいのBGMが鳴ります。オープニングとエンディングの曲は、本家よりも豪華です(笑)。

 3つ目のモードは二人でのマッチプレイで、各ホールごとにスコアの良いプレイヤーが勝者となり、18ホールを回りきらなくても勝利が確定した時点でゲーム終了となります。

 これら3つの中から遊びたいモードを選べば、いよいよゲームスタートに。画面に表示されているのは、右半分がコース全体図、左半分の上側にはプレイしているモードやホールの情報、そして風向きや強さ、打数、スコアなどでした。そして、画面左下にプレイヤーキャラの立ち姿が描かれます。

画面構成などは、先に発売されたファミリーコンピュータ版の『ゴルフ』とほぼ同じです。ショット時に選べるのはクラブの種類と打つ方向(16方向から)なので、慎重に選択しましょう。それにしても、トリッキーなコースが多いカントリークラブです。

 まずはボールを打つ前に、クラブとショットする方向(プレイヤーの向き)を選びましょう。用意されているクラブは、1W(ドライバー)、3W、4W、1I、3I、4I、5I、6I、7I、8I、9I、PW(ピッチングウェッジ)、SW(サンドウェッジ)、PT(パター)の14本で、方向は16包囲から選択できました。

 それが決まれば、いよいよティショットに。最下段には、現在選んでいるクラブの情報と、パワーメーターが描かれています。スペースキーを一度押すとプレイヤーキャラがバックスイングを始め、同時に▲マークが左へと移動。続いて2回目のスペースキーを押すことで、ショットの強さが決まりました。威力は左に行くほど強くなりますが、▲マークは端に到達すると右へと戻ってしまいますので、最高パワーを狙うのは至難の業です。

 最後に3回目のスペースキーを押せば、ついにショット!このとき、パワーメーターの白いライン中央で押せばストレートとなりボールは真っ直ぐ飛びますが、白いラインの左で押せばボールが右に曲がるスライスショットになり、右であればフックショットとなりました。また、白いラインから離れるほど曲がる角度が大きくなるので、大きく湾曲したホールでは、どの位置でスペースキーを押すのかも重要になります。なお、1W(ドライバー)でのショットのみ、最大パワーと白いラインの中央でそれぞれスペースキーを押すことができれば、280m飛ぶスーパーショットとなりました。

ショットすると、画面右側に描かれたホール上をボールが飛んでいきます。木々のある場所に止まればOBになるのはもちろん、湖に入ってしまえばウォーターハザードになるので、どちらも注意が必要です。慣れるまでは、どのクラブがどのくらい飛ぶのか? という部分が把握しづらいので、なかなか良いスコアにはなりません。

 ティショットを打ち終わると、ボールが到達した地点から2打目のショットとなります。今時のゴルフゲームであれば、残りの距離が表示されたり、それに合わせたクラブが自動で選択されたりするのですが、この時代のタイトルなのでそのようなサービス仕様はありません(笑)。マニュアルにはクラブごとに目安の飛距離が書かれているので、それを参考にプレイヤーが自ら計算して、残りの距離を割り出して次のクラブを選ばなければなりませんでした。

 こうして何とかグリーンへとオンさせることができれば、これまでホール全体が描かれていた部分がグリーン上のグラフィックへとチェンジ。グリーン上には芝目を示す“<”といった記号が表示され、その方向にボールが流れることが示されるので、そのあたりを計算に入れながらパッティングに挑むことになります。グリーン上ではクラブが自動的にパターに設定され、パワーメーターもスペースキーを1度押すと▲マークが動き出し、もう一度押せば打つ強さが決まってショットされるというように変わりました。

グリーンにオンすると、このような画面に替わります。“>”が芝目を表していて、間隔が密になるほどキツい芝目ということになります。上りラインであれば若干強めに打っても大丈夫ですが、下りではラインを読み間違えると大変な事に!? なお、バーディ以上のスコアを取ると、ギャラリーから歓声(?)が湧きます。

 グリーン上では現実と同じく、下りより上りラインのほうが攻めやすいので、なるべくカップの下側にボールをオンさせたいところです。しかし、グリーンに乗るまでは芝目も見る事ができないため、何度かプレイしてあらかじめ調べておき、マニュアルなどににメモしておくのが好スコアをたたき出すコツかもしれません。

 こうして18ホールを回っていくのですが、現在プレイすると残りの距離などがわからないため、かなり手強い難易度になっています。もっとも、今となってはそれがかえって新鮮に感じられるので、何人かで集まったときに大勢でワイワイとプレイすると面白いかもしれません。

「ときどき貸してあげるから、ね。」のキャッチコピーで、『任天堂のTENNIS』『任天堂のPINBALL』と一緒に宣伝されていました。広告で確認すると、本作は1985年3月から4月にかけて各機種版が発売されたようです。

ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧