ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

優しきキツネが活躍する動物中心のアドベンチャーゲーム『は~りぃふぉっくす 雪の魔王編』

PC-6001mkII版は、他機種と同じく紙パッケージになっていました。描かれているのは、主人公の子ギツネを抱えたヒロイン・マリさんです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、前作で母ギツネから命を救われた子ギツネのストーリーが語られる、アニメチックアドベンチャーゲーム『は~りぃふぉっくす 雪の魔王編』のPC-6001mkII版です。

広告では、1985年12月号掲載時に“12月発売”となり、翌年1月号では“好評発売中”となっていました。どちらもパッケージイラストを使用していて、背景に実写を使用しています。1986年1月に発売された2月号の広告では、背景もイラストになっています。

 1984年に発売された前作『は~りぃふぉっくす』は、登場するキャラクターがほぼ動物という部分や、動物視点で話が進むメルヘンアドベンチャーといったところなどが受けてヒット作となりました。その翌年となる1985年末に発売されたのが、今回取り上げた『は~りぃふぉっくす 雪の魔王編』です。1985年11月18日に発売された月刊誌『I/O』の12月号に、PC-6001mkII版とMSX版が「12月発売予定!」との発売予告広告が掲載されて、翌月の12月18日に発売された1月号広告にて「好評発売中」となったことを考えると、発売されたのは1985年12月で間違いないでしょう。そんな本作のストーリーは、以下のようになっています。

パッケージですが、PC-9801版のみプラスチックのオーソドックスなケースに入っていますが、それ以外は紙パッケージとなっています。また、先着5000本に同梱された“は~りぃふぉっくすノート”も、一緒に撮影してみました。

 長い長い冬がロムスの森を襲った。寒さにうち震え、次々と倒れていく動物たち。そして、その中にあの母ギツネもいた。その日は朝からひどい吹雪だった。昼を過ぎても止む気配はなく、それどころかいっそう強くなるばかりであった。親子はここ一週間ばかり何も食べていなかったため、吹雪の中へ狩りに出掛けた。道中、子ギツネは母ギツネを見失ってしまう。子ギツネは必死で捜しまわり、やっと母をみつけた。しかし時すでに遅く、母ギツネは息絶えていた。寒い寒い夜のことだった。

 子ギツネは、やり場のない悲しみを一人の少女への思いに託す。少女の名はマリ。1年前、母を追い雪の中に倒れた子ギツネを祖父ジークの所へ運び、優しく看護してくれた、あの少女。あの少女に逢いたい。雪の止んだある日、子ギツネは降り積もった雪の中をシタンの町へ向け走り出す。

テープ版では途中から再開したいときには、このような画面の指示に従ってテープを所定の位置に進めておく必要があります。テープには音声で「テープナンバー ××」というアナウンスが入っていますので、その位置のテープカウンターをメモっておいて、そこまで早送りしてからロードしました。面倒かつ時間があるなら、最初からテープを回しっぱなしにしておくという手もあります。

 プレイヤーは子ギツネとなり、マリに会うのが目的なのですが……シタンの町に到着して話を聞いてみると、マリは生け贄として雪の魔王の元に連れ去られてしまったのがわかります。つまり、最終的な目的は雪の魔王からマリを救い出すこと。それを目指して、子ギツネであるプレイヤーは冒険していきます。

シタンの町での1シーンですが、PC-6001mkII版では上(北)へ行ける矢印がありますが、他機種(下の写真はPC-9801版です)では矢印が表示されず、移動することができません。本作を堪能したい場合は、PC-6001mkII版ともう1機種の、2本を遊ぶのがオススメです。

 システムはオーソドックスなコマンド入力式を採用していて、書式は日本語で“動詞”+“名詞”または反対の“名詞”+“動詞”でした。さらに、通常の英字モードであればローマ字方式で入力することができるほか、カナモードにすればカタカナでの入力も可能です。

移動はカーソルキーで行えますので、描画速度は速くないものの“まえ”や“きた”といった単語を入力する必要がないため非常に楽です。随所に動物が登場しますが、主人公も動物なので会話をすることを忘れずに。きちんと挨拶をして、名前を聞いてから「はなす (名前)」とすると良いです。

 まずは、シタンの町を歩き回り情報を手に入れるのですが、他機種とは違いPC-6001mkII版は何もしなくてもシタンの町を出ることが可能です。他の機種でのシタンの町はほぼ4×4のマップになっていて、バロの山に移動するには何らかの方法で知ることができる呪文を唱えなければなりませんが、PC-6001mkII版はポロトの湖まで一気に行けました。それゆえに、攻略方法も多少変わってきます。

 本作の主人公はキツネなので、他の動物との会話ができるのが大きな特徴です。逆に人間と話したいと思っても、キツネのままでは会話になりません。そこで大事になってくるのが、コマンドの「ばける」です。子ギツネはゲーム開始時点で「ばける」のに必要となる葉っぱを3枚持っていますので、人と会話したいときは「ばける」コマンドで葉っぱを消費する必要がありました。シタンの町では、サトミという少女と話すのに使用しますので、残り2枚の使い道が重要になってくるでしょう。

キッドの村へたどり着くと、寒々しかった景色も一変します。ここには、動物だけでなく猟師やマリちゃん?も登場するので、プレイヤーの腕(思考力)が試されるでしょう。

 ただし、他機種では「はなす」しまくることが重要なのですが、PC-6001mkII版は一度「はなす」をすればすべての情報が聞けるので、行き詰まったときには「はなす」以外の方法を模索しなければなりません。

 何とかして湖を脱出できれば、次の舞台は緑豊富なキッドの森です。ここには動物だけでなく、人間のハンターや、なぜかマリさんも?この先も冒険はまだまだ続きますので、知恵を絞って問題を解決していくしかありません。

他機種では、この黒キツネに出会ってしまうと襲われてゲームオーバーになることもありますが、PC-6001mkII版では素通りできます。サルからはリンゴがもらえますが、「はなす」を繰り返すだけで良い他の機種と比べて、PC-6001mkII版は一捻りが必要に。

 ちなみにPC-8001やFM-7、MZ-1500などの機種を、それらのハードに対応した現代の液晶モニタで使用するために、DIN8ピン→VGA変換ケーブルで接続している人は多いと思います。PC-6001mkIIも同じケーブルでモニタにつなげられますが、試してみたところ本作は15色を使用している都合上、ほとんどのグラフィックが“色数が物足りない状態”で描かれてしまいました。挙動としては正しいので、本来のカラーで見たい場合は当時の対応しているブラウン管モニタを入手するか、または特別な変換ケーブルを手に入れることで問題は解消されます。

左は流用ケーブルを使用した場合の画面、右は対応機器を使ったときのグラフィックです。このくらいの差が出てしまうので、実機で遊ぶときは専用ディスプレイかPC-6001mkIIの15色モードに対応した特別な変換装置を準備したいものです。

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