ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
敵のトリッキーな動きに今でも熱くなれる『激戦!南太平洋』
2023年2月14日 07:05
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1983年にエニックスから発売されたPC-8001用ゲーム『激戦!南太平洋』です。
エニックスは1982年に「第1回 ゲームホビープログラムコンテスト」を開催し、入賞した作品などを商品化しました。その後、「全国のマイコンファンより第2作目をとのご要望が殺到(マニュアルより)」したことで、その作者たちに第2弾を依頼することになります。そうして誕生したのが、「エニックス・ニューゲームシリーズ」の作品でした。例えば、『森田のバトルフィールド』の森田和郎氏は『アルフォス』を、『マリちゃん危機一髪」の槇村ただし氏は『女子寮パニック』を、それぞれリリースします。
このとき、『地底のモンスター』で入選した作者の長谷川修氏が誕生させたゲームが、今回取り上げた『激戦!南太平洋』でした。ストーリーは以下のような設定です。
真珠湾奇襲攻撃で火ぶたが切られた太平洋戦争も、日本への本土上陸が間近に迫っていた。日本軍最後の砦というべきここI島では、壮絶な戦いが繰り広げられていた。しかし、少数の部隊を除いて、日本軍はほぼ壊滅状態に陥った。その知らせを聞いた日本軍総司令部は、I島奪還作戦を発表。全勢力を南太平洋へと集結させる。アメリカ軍にほぼ占領されたI島へは、闇夜に紛れて輸送機が救援物資を投下し、それを小型ボートに乗った日本兵が受け取るという作戦が採られた。しかし、アメリカ軍は哨戒機を飛ばせてボートに集中攻撃を加えると、ボートは次々と海の藻屑に……
しかし、救援物資の中には食料品はもちろんのこと、敵陣へ攻め込むために必要なタンクを組み立てる部品も入っていた。一台でも多くのタンクを造り、S山に要塞を構える敵陣へ最後の総攻撃をかけろ! ジャングルを突き進むタンクの勇姿は、残り少ない日本兵に最後の勇気を奮い起こさせる。突撃あるのみ!! 壮絶なる南太平洋での戦いが、確実に歴史の流れを変えるだろう。
ゲームは、海上戦と陸上戦の2パターンで構成されています。最初の海上戦では、プレイヤーはボートを操り、輸送機(ランブセア・タンカー)が落とす荷物“+”を、敵(ゾークスナイパー)の攻撃を避け、かつ撃ち落としながら集めて島に届けるのが目的でした。荷物を2つ、3つ、4つ届けるたびにファンファーレが鳴り、敵の攻撃が激しさを増します。見事に9個集めることができれば、その時点で残ったボート(シャーマスレスキュー)の数が、そのままタンクの数として引き継がれました。
敵のヘリは1機10点で荷物を届けると50点となり、得点が500点を越えるごとにボートが1隻増えます。ボートからは真上だけでなく左上、右上にも撃てますが、敵弾は斜め方向にしか降ってきませんので、それを見極めて移動する必要がありました。なお、ボートに乗っている水色の人に当たるとミスとなりますが、ボート部分にはどれだけ敵弾を受けても壊れることはありません。
輸送機が落とす荷物は、タイミング良く受け止められれば1つとしてカウントされますが、失敗して海に落ちたときは、真上まで移動してテンキーの5を押しっぱなしにし船上まで引き上げる必要があります。途中でキーを離したり移動してしまうと、その荷物は泡となって海の藻屑に……。また、引き上げた荷物は残念ながら価値が半分になってしまいました。
荷物を受け止めたら、そのまま画面左端の陸地まで移動すると弾薬が満タンに補給され、受け取った証として最下段右端の丸の部分が1つ(海から引き上げた場合は半分)緑で塗られます。これを繰り返して、最終的に荷物を9個集めれば陸上戦に! もし、途中でボートが全滅しても陸上戦になりますが、その際に与えられるタンクは1台だけになってしまいました。
2パターン目の陸上戦では、プレイヤーはタンクを操作することになります。今回は砲撃の方向を上下するための操作が加わるため、海上戦と比べても難易度が上がりました。頭上からは敵が襲ってくるので、先に撃ち落とすか敵弾を左右に動いて逃げなければなりません。敵を破壊すると破片が飛び散り、これを地面に敷設されている地雷群に当てれば地雷を無効化できました。ただし、地形は山あり谷ありと険しく、そのたびに砲撃の射線も変わるため、一筋縄ではいきません。さらに、タンクの燃料は急激に減っていくので、タイミングを見計らって補給する必要も。
画面後ろを飛んでる輸送機の色が、水色から黄色、そして赤に変わるとオイルを落としてくれますので、これを画面左端に戦車を移動させて受け止めれば補給完了です。そんな敵の猛攻をかいくぐり、4ラウンドあるステージを越え、最深部の要塞を破壊することはできるでしょうか。
1983年のPC-8001用ゲームとしては固定画面が多かった中、本作はスクロールして進んでいくというところがアーケードゲームっぽく、非常に熱くなったのを覚えています。全体的な難易度も少々高めで、今プレイしても手こずるほど。1パターン目の海上戦では、補給物資となる荷物を受け取らないと弾薬切れになってしまい、荷物を陸に運ぶまでは逃げ回るしか無いというのも演出としては秀逸でした。
この時期のエニックスのタイトルは、有名作品以外は出回り数がそれほど多くないようで、現在では見かけることがあまりありません。それでも、本作はPC-8001向けのゲームの中でもずば抜けて面白いので、何かの機会にぜひプレイしてみてください。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
- デカキャラが衝撃的だった「ザナドゥ」
- RPGが一気に身近なものに感じられた「ハイドライド」
- “スペースキーに重し”がキーワード!? 「夢幻の心臓II」
- PC-8801mkIISRの人気を不動のものにした「テグザー」
- ボクたちの堀井雄二さん作品といえば、コレ!「ポートピア連続殺人事件」
- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
- “ボンドソフト”の名前を一躍有名にした名作「タイムシークレット」
- 日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」
- MSX用のベストゲームとして挙げる人も多い「グラディウス2」
- コンピュータRPGの原点とも言える「ウィザードリィ シナリオ#1」
- 光栄の歴史シミュレーションシリーズ、その柱となる1本にして今も新作が続く「三國志」
- ザインソフトの名前を広く知らしめた「トリトーン」
- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
- スクウェアとサンライズがタッグを組んだ「クルーズチェイサー ブラスティー」
- 可愛らしい絵柄とは裏腹に歯ごたえあるアクションゲームだった「メルヘン・ヴェール」
- 全世界で大ヒットを記録した歯ごたえあるアクションパズルゲーム「ロードランナー」
- テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」
- これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」
- X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」
- シンプルな画面に隠された謎に夢中になった「MYSTERY HOUSE」
- ポニカの強み、版権ものタイトルの1本として登場した「南極物語」
- 今も続く「A列車で行こう」シリーズの元祖がここにある
- 木村明広氏の美麗なビジュアルシーンが印象的なRPG「エメラルドドラゴン」
- シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」
- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
- 敵をよけつつ岩を運ぶアクションパズルの名作 デービーソフトの「フラッピー」
- 初期アドベンチャーゲームの傑作にして、今も語り継がれる「デゼニランド」
- 巨大なスケールと隠された謎の多さに驚かされた名作第2弾「ハイドライド2」
- シリーズ1作目にして高い完成度を誇った光栄の「信長の野望」
- あの名作シューティングがついにPC-88シリーズにも移植された!「ゼビウス」
- デカキャラとの戦いが3Dアクションで展開された呉ソフトウェア工房の「アルゴー」
- モンスターヒット作があらゆる面でパワーアップして帰ってきた!「ザナドゥ シナリオII」
- 「テグザー」に続く、ゲームアーツの傑作タイトル「シルフィード」
- 中村光一氏の大ヒット作にして、数多くの機種へと移植された名作「ドア・ドア」
- コンテストグランプリを受賞した、シミュレーションRPGの先駆けとも言える「ボコスカウォーズ」
- “集まれ!”“散れ!“の吹き出しがユニークだった「大脱走」
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- シンプルなルールと熱い攻防、ノリの良いBGMが揃った秀作「魔城伝説」
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- 100部屋全部をひっくるめてのパズルゲーム「ザ・キャッスル」
- 人間の心理を突いたマップに悩まされる人が続出したアクションRPG「ゼリアード」
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- 描画速度の速さに驚いた日本ファルコムの『デーモンズリング』
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- 家族4人+1匹でドラゴンに立ち向かう『ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー』
- コンテストで最優秀賞を獲得、マジカル ズゥのアドベンチャー『黄金の墓』
- 幾千通りものシナリオを体験できた『ティル・ナ・ノーグ <ダーナの末裔>』
- 現在も続く「大戦略」シリーズの始まり『現代大戦略』
- 驚くほど滑らかに縦スクロール、名作シューティングゲーム『NOBO』
- PC-8001とは思えない滑らかな動きに驚かされた『FAN FUN』
- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
- アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』
- あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』
- あの名作シリーズの3作目『ウィザードリィ #3 - Legacy of Llylgamyn』
- 魔城伝説シリーズの第2弾はアクションRPGとして登場! 『魔城伝説II ガリウスの迷宮』
- 当時としては驚くほどリアルなピンボールが遊べた『スーパーピンボール』
- 前作から大幅にパワーアップして舞台は全国に! 『信長の野望 全・国・版』
- 当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』
- 「あべしっ!」「ひでぶっ!」あの名台詞がゲーム中にも登場!~1986年発売『北斗の拳』~
- ギルに助け出されたカイがパソコンでも大活躍!『ザ・リターン・オブ・イシター』
- アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」
- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
- ファルコムタイトルの中でも、群を抜いてレア度の高い1本『バードランド』
- より戦略性が増した「大戦略II」、生産タイプが増え、同時攻撃や間接攻撃も可能に!
- アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』
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- 3機の合体シーンが印象的だった超メカシューティング『ヴォルガード』
- ファルコムのFM-7向け初アドベンチャーゲーム『異次元からの脱出』
- 「死体蹴り」の元祖といえばこのゲーム! 『エグゾアII ウォーロイド』
- 主役はマリオ、でも中身はハドソンオリジナルの「パンチボールマリオブラザーズ」
- みんな使った!日本を代表するワードプロセッサソフト『一太郎Ver3/Ver.4』
- サイバーパンクな雰囲気に飲み込まれ、そしてエンディングに驚かされた『ザ・スクリーマー』
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- 『SAVIOR(セイバー)』その滑らかなアニメーションは僕らの心を掴んで離さなかった……
- デジタイザで取り込まれた美しい映像に、心躍らせた作品 ~1984年発売 『英雄伝説サーガ』~
- 剣と魔法と煌めく世界観が眩しいRPGだった『ソーサリアン』
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