ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

主役はマリオ、でも中身はハドソンオリジナルの「パンチボールマリオブラザーズ」

パッケージにはパンチボールを持つマリオの他、お馴染みの敵キャラクターたちが描かれています。こちらは大きめの紙パッケージですが、『マリオブラザーズスペシャル』は一回り小さいプラスチックのパッケージでした。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、ハドソンソフトから発売されていた『パンチボールマリオブラザーズ』です。

 『マリオブラザーズ』といえば、下から床を突き上げた勢いで敵をひっくり返して蹴り飛ばし、すべての敵を倒せばPHASEクリアというゲーム、と憶えているかと思います。アーケード版はそうなのですが、当時のパソコン版では、それをそのまま移植した作品は発売されませんでした。代わりに、ちょっとしたアレンジを施した「マリオブラザーズ」シリーズが登場しています。そのうちの1本は以前に紹介した『マリオブラザーズスペシャル』ですが、もう一本が1984年10月5日に4機種分のテープ版とディスク版が発売された『パンチボールマリオブラザーズ』です。ストーリーは、このような感じでした。

「面白すぎて、ボク、恐い。」のキャッチコピーで売り出されたハドソンソフトのソフト3本です。この広告から、『パンチボールマリオブラザーズ』のPC-6001mkII&PC-6601版、PC-8801版、FM-7版、X1版の発売日が、1984年10月5日というのがわかります。

 いつの頃だろうか、人類が道具を持つようになったのは……はじめは動物の骨、石のかけらを利用した単純なものだったが、今や高度な文明を築いている。だが一方では、未だ石を利用しているだけの人々もいるのだ。彼らは強力なジャンプ力と、石の玉を持っているだけである。それをうまく利用し、彼らの身を守って欲しい。ここに、そういった人々のうち2人を紹介しよう。そう、彼らの名前はマリオとルイージ。彼らが高度な文明を身につけるのはいつになるのだろうか。

 と、なかなかユニークな設定の元でマリオとルイージは働かされるわけですが(笑)、プレイヤーは1P側がマリオ、2P側はルイージを操作し、ボール(石の玉)で各面の敵を全滅させるのが目的となります。ボールの操作には少々癖があり、マリオやルイージが移動している時にスペースキーを押すとジャンプするのですが、止まっている時はボールを投げるというシステムでした。ボールがカメやカニ、ハエに一度でも当たるとひっくり返るので、そこを蹴飛ばせば倒したことになり最上段にコインが出現、ゲットすれば1600ポイントスコアアップ!

 ただし、主人公たちはボールを1つしか持っていませんので、使い終わったら必ず回収しないと攻撃の手段を失ってしまいます。

タイトル画面です。『マリオブラザーズ』にかなり近く、1P2PのゲームABが選べるメニューは、どことなくファミコン版を思い起こさせます。

 PHASE3の後は、8、13、18……と、5面ごとにボーナスステージとなります。ここでは敵が出現せず、画面内にある大量のコインを取ればボーナス得点が入るほか、すべて回収出来ればスペシャルボーナスもプラスされました。

出現する敵をボールでひっくり返し、蹴飛ばすと倒すことができます。敵は何匹登場するか分からないので、その出現ポイント近くにいると不意打ちをくらい、やられてしまう可能性が高くなります。

 ゲームはAとBが用意されていて、Bゲームではボールが転がる距離が短くなるだけでなく、一定時間が経過すると出現するファイアーボールが登場するまでの間が短くなっています。相当の猛者と自覚するプレイヤー以外お断りの難易度なので、最初はゲームAから遊ぶのが無難でしょう。とはいえ、ラウンドが進むと床が動いたり凍った床になって滑ったりするので、華麗なテンキー捌きが必要になってきます。惜しいのは、ジャンプとボール投げ操作がどちらもスペースキーというところでした。もしこれが別々のキーに割り振られていれば、もっとストレスなく自由に遊べたかもしれません。

床が移動するステージも登場するなど、先へ進むほど難しくなります。PHASE3以降、5面おきに現れるボーナスステージだけが、心安らぐひとときです。

 今回、記事で使用したPC-8001mkII版ですが、元々PC-8001mkIIにはBEEP音源しか搭載されていないため、プレイ開始前などのBGMはBEEP音で再生されます。ただし当方が所持しているPC-8001mkIIのように、GSX-8800といった音源ボードを搭載しているとPSGによる豪華な(?)BGMが鳴るため、それだけで面白さが3割増しになるように感じられました(笑)。

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