ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

思考ルーチンの強さで有名になった『プロフェッショナル麻雀悟空』

タイトルにあるように、悟空の顔が大きく描かれたパッケージになっています。表面は左半分で、裏面に右半分の顔が描かれていて、中紙を取り出して見開きにすると、ゲームを起動したときに表示されるタイトル画面と同じイラストになりました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、数ある麻雀ソフトのなかでもイカサマナシを公言して、当時その思考ルーチンの強さで有名になったシャノアールの『プロフェッショナル麻雀』を取り上げました。本作は数多くの機種で発売されていますが、本記事で使用したのはMSX2版となります。

「こいつに勝てたら自慢していい。」とのキャッチコピーの元、見開きでパッケージイラストを使った広告が掲載為れていました。隣の写真は同梱されていた紙で、サインを書かれている株式会社シャノアールの代表取締役・田口昭次さんは、その昔に九十九電機から発売されていた『ウルトラ四人麻雀』を手がけていた人物です。

 マイコン・パソコンが登場すると、さまざまなゲームがリリースされるようになります。1980年代前後に多かったのは、アクションやシューティング、パズル、テーブルゲームなどでした。それらのうちテーブルゲームは、本来は一緒にプレイする相手がいないと遊べないのですが、マイコンやパソコンにそれをさせることで手軽に対局できるようになったため、数多くのソフトが流通することとなります。将棋やオセロ、花札、ポーカーなどが代表例ですが、なかでも麻雀は通常4人揃わないと遊べないものが、コンピュータの登場により一人でもできるようになったため、多数のソフトハウスから登場しました。

ゲームモードは実戦の他、プレイヤーの記録を見る記録室、勝抜戦でのルールを自由に決められるルール設定、効果音のオンオフやデータの初期化などを行う初期設定がありました。

 麻雀ソフトでは、カギとなるのがコンピュータの思考ルーチンです。ここをどのように工夫するかは制作者の腕次第なのですが、プレイヤーに牌が見えないのを良いことにイカサマが簡単にできてしまう、ということもあり、初期の頃は適当な思考ルーチンのものも多かったように思えました。

 そんな時代に、イカサマを一切行わないことを公言して登場した麻雀ソフトのうちの1本が、今回取り上げた『プロフェッショナル麻雀悟空』です。パッケージ内には“ユーザーの皆様へ”と題した紙が同梱されていて、そこには「イカサマを一切しておりません」や「コンピュータを信用できない人は遠慮無くご意見をください」と、代表取締役である田口昭次さんの名前入りで書かれていました。

実戦モードを選ぶと段位戦、勝抜戦、そして研究が選択できます。研究では、相手の手牌をオープンにしてどのような打ち方をしているのかを見たりできます。

 麻雀ソフトなのでこれといったストーリーはなく、プレイヤーは悟空、悟浄、八戒の3スロットから1カ所を選んで、プレイを進めていくことになります。ゲームが進行すると、選んだスロットに段位や最高得点などのデータが記録、蓄積されていくことになるのでした。

 基本的には、実戦モードにある“段位戦”、“勝抜戦”、“研究”からモードを選んでプレイするのですが、このうちの“研究”では相手の手牌を覗いたり同じ配牌でのプレイし直し、さらには師匠に教えを請うといったことが可能です。これらを駆使することで、プレイヤーの雀力がアップしていくことでしょう。

段位戦では、初級を選ぶと9級からスタートします。とはいえ、しっかりと相手の手を考えつつ打っていかないと、そう簡単に昇級することはできません。実際にプレイしてみると分かりますが、みえみえのリーチに振り込んでくるような下手な打ち手はいませんでした。

 ゲームのメインとなるのは、“段位戦”です。コンピュータが自動的に選んだ相手と打ち、半荘の回数と平均点が条件を満たせば昇級や昇段となりました。相手はそれぞれにある程度の個性を持った打ち方をしてくるので、プレイヤーにもそれなりの腕が求められます。とはいえイカサマをするようなことは一切無いので、相手の捨て牌をシッカリと読むことができれば、ピンチの場面も切り抜けることができる……はず?

 もう一つの“勝抜戦”では、半荘の順位によって得点が加算されていくゲームとなっていて、1位か2位であれば確実に勝ち抜きとなるのですが、4位の場合や2回連続で3位となると失格となってしまいます。なお段位戦も勝抜戦も、対局中に痛い手を振り込んでしまったからリセット、などということをすると失格となるようになっていますので、正々堂々と戦う必要があるのでした。

勝抜戦の場合は、とにかく勝ち続けることが求められます。トップ目になったら無理せず軽い手で場を進めたり、最下位であれば逆転の手作りを虎視眈々と狙うなど、こちらもプレイヤーの技量が求められます。とはいえ、和がるのが大変なわけで、結局ボロ負けすることが多いわけですが……。

 プレイヤーの対戦相手となるのは虎力大仙や牛魔王といった、西遊記に登場するお馴染みの面々である24キャラクターです。全員、名前負けしない打ち方をしてくるので、対局すると人間と卓を囲んでいる感覚を味わうことができました。24人のキャラクターは初級12人、上級12人と分かれているので、研究モードではプレイヤーの実力に合わせての対局も楽しめます。

勝抜戦では、三連刻や四連刻(スーレンコー)、二盃口(リャンペーコー)を二飜にするか三飜にするか、南場ノーテン親流れあり無しはどうするかなど、ルールを自由に変更することができました。

 麻雀は、ルールが難しく思えたり、慣れないと点数計算が大変などという部分がありますが、本作はマニュアルの半分弱に当たる18ページを使用して“麻雀とは?”という項目に割き、ルールや和がり役などを事細かく解説していました。これなら、麻雀初心者でも安心してプレイできるというものです。

マニュアルには、“麻雀とは?”という項目で、しっかりとルールなどが説明されています。これをじっくり読めば、初心者脱出も楽勝!?

 この時代の麻雀ゲームの場合、最初からテンパイになるように配牌しておき、頃合いを見計らってリーチして和がったり、まるで仕込まれたかのように最初からいきなり良い手が入っていたりすることがあるのも多いですが、本作はイカサマナシのためにそういったこととは無縁に対局を楽しむことができました。プレイした感じでは、ツキの流れというものも無かったように思えたので、そのへんは実際に卓を囲んでのプレイとは少々異なってくるかもしれません。それでも、インチキをしない麻雀ソフトで実力アップを図りたい要望を持つプレイヤーには、好意的に受け止められたことでしょう。

ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧