ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

謎の老婆が登場するMSX2版『悪魔城ドラキュラ』

パッケージには、ムチを持った後ろ姿のシモンと悪魔城、そして魔王ドラキュラが描かれていました。タイトルロゴの下には、メガロムのマークも見えます。このイラストと似たようなグラフィックが、オープニングデモの最後に表示されました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、コナミが発売した記念すべき初のMSX2専用タイトルとなった、名作『悪魔城ドラキュラ』を取り上げました。

マニュアルのストーリー部分では“ベルモンド”と書かれていますが、登場キャラクター紹介ページには“プレイヤーは、ベルモント一族の血を受け継ぐ青年シモンだ”と書かれていました。

 1985年にMSX2規格が発表されると、各メーカーからMSX2パソコンが発売されるようになります。MSX(1)と比べてMSX2は表現力が大幅にアップしたこともあり、数多くのソフトハウスがさまざまなタイトルを投入していきました。もちろん、MSXソフト界隈を代表する会社だったコナミも例外ではなく、続々とMSX2専用の作品をリリースすることになります。その第1弾として1986年10月30日に登場したのが、今でも高い人気を誇る『悪魔城ドラキュラ』でした。ストーリーは、以下のようになっています。

 ゲルマン民族大移動の衝撃によって古代都市が衰滅した後のヨーロッパでは、一般に12~13世紀に中世都市が成立した。そんな中で、比較的早く、10世紀後半に興ったトランシルバニア国では、いわゆるゲルマン社会の影響を強く受けたゲルマン都市であった。トランシルバニア国には、古くから「英雄クリストファー伝説」なるものが語り伝えられた。百年に一度、邪悪な人々の黒ミサによってこの世に復活するという魔王ドラキュラを古城カルパートの塔に封じ込めた勇者の伝説であった。

 魔王ドラキュラがカルパートの塔に封じ込められて百年目にあたる年がやってきた。イースターの夜、天空を暗雲がおおい、雷光が闇を引きさいたその時、悪は復活した。都市は悪霊と邪教徒たちによって荒廃していった。この危機を救うため、英雄クリストファー・ベルモンドの血を受け継ぐ青年シモンは、父の不思議なムチを手に今立ち上がり、悪魔の巣くう古城へと向かった。

最初のステージ1から、強敵が襲ってきます。近づくと襲ってくる黒ひょうにダメージを受けないよう進みたいですが、油断すると移動しているだけのゾンビにダメージを受けてしまうことも。また、耐久力のあるファイターや蛇行して飛んでくるメデューサのような敵も、非常に戦いづらい相手です。特に足場が移動するシーンでは、何度も煮え湯を飲まされることに……。

 プレイヤーは青年シモンを操作して悪魔城へと乗り込み、魔王ドラキュラを倒すのが目的です。シモンにはHPが設定されていて、敵の吐く弾に触れたり敵と接触するとダメージを受けてHPが減り、0になると一人失うことに。プレイヤーの初期設定人数は3人でゲーム中でのエクステンドが皆無なので、非常に慎重な戦いを要求されます。

 城内は全部で18のステージに分かれていて、3ステージごとに魔物の部屋があります。各ステージをクリアするには、どこかに隠されたホワイトキーを捜し出し、閉じられている扉を開けなければなりません。城内はちょっとした迷路のような構造になっていて、場所によっては上下や左右が繋がっていたりすることもあるので、脳内地図が苦手な人はマッピングするのが無難でしょう。『悪魔城ドラキュラ』のMSX2版は画面切換方式を採用しているので、方眼紙を使えば簡単にマッピングできます。

燭台からは、さまざまなアイテムが出現します。ただし、老婆との会話でハートの数を増やされてしまう黒いバイブルと、ダメージを受けてしまうスライムには要注意。

 通路に飾られている燭台を破壊すると、アイテムが出現することがありました。中でも、最初から装備しているムチよりも強いネメシスの鎖が出てくる可能性があるので、すべて漏らさず壊しておきたいものです。ただし先のステージに進むと、敵であるスライムが現れてダメージを受けることもあるので、一筋縄ではいきません。

この老婆を武器で攻撃すると色が変わり、赤色になるとアイテムを提示してきます。老婆が要求するもの(通常はハート)を支払うことで交渉が成立し、アイテムをゲット出来ました。

 城の中には、所々に青い宝箱が置かれています。通路などで見つけられるイエローキーを持っていれば、カギを開けて中身を取り出すことができました。見つけられるアイテムとしては、敵が一定時間出現しない銀の十字架や敵に当たったときのダメージを16回まで半減してくれる盾、ボスを含めた敵を一定時間止める砂時計、敵に投げてダメージを与える聖水、移動速度アップのブーツなどがあります。このうち、砂時計と聖水は使用するごとにハートを5つ消費するので、乱発するとせっかく溜めたハートがあっという間に枯渇する事態になってしまうことも。

 このハートは、敵を倒したり壁に掛かっている燭台を破壊する、宝箱を開けることなどでゲット出来ました。探索に際しての時間制限はありませんので、通路で粘ってハートをMAXの99個まで溜めることも可能です。

聖水や砂時計は、使用するとハートを5つ消費します。老婆との交渉時にはお金の代わりとして機能しましたが、アイテム使用時には燃料として使われるので、いくつあっても多すぎることはありません。

 MSX2版の特徴として、城内の通路や壁の中に出現する謎の老婆の存在があります。この老婆をムチなどの武器を使ってしばくと、最初は白だった色が変化していき、さまざまなメリットやデメリットをもたらしてくれました。なかでも赤色になると、武器や道具をハート数十個と引き替えに提案するのですが、このときにハートのストックが十分であれば、スペースキーを押すと譲ってくれます。いらないものだった場合はシフトキーを押せば、取引はキャンセルとなりました。ある意味、簡易的なショップといえるかもしれません。

3ステージごとに出現する強力な魔物は、シモンと同じくHPが設定されています。何度も攻撃して相手のHPを0にすれば、次のステージへと進めました。
「今夜は恐怖で眠れまい。」とのキャッチコピーで、リリース月の翌月となる12月号に各雑誌へと掲載されました。しかし、その次の月には早くも新作『キングコング2』が登場したため、広告はそちらに入れ替わってしまいます。

 こうして城内を探索し、3の倍数となるステージ最後の扉を開けると、強力な魔物が出現する部屋での戦いとなります。相手はトリッキーな攻撃をしてくるだけでなく、HPも高いため倒すには苦労しますが、見事勝利を収める事ができれば次のステージへGO! ただし、それまでに回収したアイテムはハート以外リセットされてしまうので、再び集め直す必要があります。

 こうして18エリア・カルパートの塔の奥に潜む魔王ドラキュラを倒すことができれば、ついに真の支配者が出現! 勝つことができれば、トランシルバニアに本当の平和が訪れるのです。筆者は当時クリアしてエンディングを見ているのですが、久しぶりにプレイしてみたところ非常に難しく、ステージ3をクリアするのがやっとという結果に。しかし、シリーズお馴染みの素晴らしいBGMを聞きながら遊べば、今でも盛り上がるというものです。現在はプロジェクトEGGにてプレイすることが可能ですので、ぜひみなさんもドラキュラ退治に勤しんでみてください。

【悪魔城ドラキュラ for MSX2 (1986)】

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