ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

執刀医ではなく麻酔科医の仕事がゲームになった!? 『Dr.麻酔科医』

この頃のチャンピオンソフトのパッケージは、カセットテープを2周りほど大きくした箱でした。表面にはイラスト、裏面はロード方法と簡単な説明が書かれているだけなので、ゲーム画面がどのようなものかはまったく分かりません。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、チャンピオンソフトから1983年に発売されたタイトルの『Dr.麻酔科医』を紹介します。

 チャンピオンソフトと言えば、初期の頃は社長自ら何本もゲームを作り発売し、後にはアリスソフトのブランドを立ち上げてアダルトゲームを発売するようになる会社ですが、その初期の頃にリリースされた作品の一つが今回取り上げた『Dr.麻酔科医』です。

タイトル画面は、極めてシンプルなものとなっています。これはPC-8001mkII版のものですが、他機種版でも似たような感じです。
こちらが当時の広告です。俗に言うアダルトソフトっぽいものは「アタックひろこちゃん」のみと、アリスソフトからしか知らない人が見ると驚きのラインアップかもしれません。

 主人公は手術する執刀医ではなく麻酔担当の麻酔科医という、なかなか珍しい立ち位置になっています。プレイヤーは麻酔科医として、患者の血圧や体温などをチェックしながら麻酔を浅く、あるいは深くするなど調節し、手術成功を目指します。パッケージには「手術中の患者の血圧、体温、麻酔レベル、出血量、心電図を見ながら無事手術を完了できるか……」とのキャッチコピーと共に、ちょっと濃いめのイラストが掲載されていました。

 当時のゲームなので、リアルなグラフィックが描かれるわけでもなく、ましてや緊迫感を煽るBGMもありませんでした。表示されるのは、どことなく牧歌的なCGと、ちょっと笑ってしまう先生と患者の会話だったりします。真面目な作品を期待していたら怒るかもしれませんが、今プレイするならこのくらいの気の抜けた感じがぴったりでした(笑)。とはいえ、心電図の音だけはBEEP音で響くので、一人でプレイしているとなかなか盛り上がります。

手術開始前には、患者との会話が表示されます。執刀医はグラフィックで描かれてますが、右の患者はアスキーキャラクターで表現されています。
実際のゲーム画面です。画面中央部分でお腹(っぽく見えるところ)が開腹されていくので、それに合わせて適切な処置を行っていきます。が、ちょっと油断するとすぐゲームオーバーに……。

 プレイヤーが操作するのは、アドレナリン静注(静脈注射)とヒーター、クーラーのスイッチ、麻酔レベルの調整、心臓マッサージ、そして1度しか選択出来ない5リットルの輸血となっています。手術は切開→患部を開く→病巣を探す→病巣切除→患部を閉じる→縫い合わせという順番で進んでいき、その間に199回メッセージが表示されます。このメッセージをすべて乗り切れば手術は無事終了となるのですが、ゲームはリアルタイムで進んでいくため、そう簡単にはいきません。

 表示される各種情報を見て、血圧が変動したらアドレナリンを静注したり、体温が変わったらクーラーやヒーターのスイッチをこまめに操作するなど、ゲームは思ったより忙しく進行します。さらに、元々のプログラムがオールBASICで書かれていることと、PC-8001mkII版やPC-8801版ではキーの入力判定にINPではなくINKEY$を使用しているため、なかなか操作が反映されず結果的に患者を何人も亡き者にしてしまうことも……。

一度失敗しても、ナースさんがすぐに次の患者さんを連れてきてくれます(笑)。しかし、その手術にも失敗してしまうとプログラムは終了となります。ただし、“run”すればすぐにゲーム再開出来る親切さも(?)。

 冗談のような患者のグラフィックスやおおざっぱなシステムなど、今見ると完成度としてはどうかと思う部分もありますが、当時はそれなりに楽しめたのは間違いないです。これからプレイするのであれば、10人くらい集めてプロジェクタなどに映し出して遊べば、非常に盛り上がることを保証します。

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