ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

難易度 五つ星のファンタジーアドベンチャー『ドリームランド』

先に発売されているPC-8801版は大きな紙パッケージですが、後に発売されたPC-8001mkII版ではビニールパッケージを採用しています。メルヘンチックなキャラクターたちが描かれていますが、彼らに会えるのはゲーム後半です。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、マイクロキャビンのアドベンチャーゲーム『ドリームランド』です。

 『ミステリーハウス』で、日本にアドベンチャーゲームブームのきっかけを作ったソフトハウス・マイクロキャビンですが、矢継ぎ早に『ミステリーハウスII』『ダイヤモンドアドベンチャー』『宝ビルアドベンチャー』など、数々の作品をリリースしていきます。その後、ファンタジーアドベンチャーとして新路線で登場したのが『ドリームランド』でした。

最初に発売されたMZ-80B/2000用FD版は12,800円でしたが、後に登場したカセット版は4,800円とお買い得価格になりました。その分、長いロード時間が待っていますが……。

 この時期のタイトルということで、プロローグは非常に簡素に書かれています。「ある晴れた日に、あなたは木かげでねそべりながら本を読んでいました。春の日差しは気持ちよく、やがてうとうとと夢の中へおちこんで、夢の中をさまよい歩きはじめました。夢の出口をさがさなければ目ざめることができません。はやく出口をさがして目をさまして下さい」(以上、原文ママ)。

 プレイヤーの目的は、夢の中の世界で出口を探し、夢から目覚めることです。第一部は夢の街編、第二部が夢の島編という構成になっていて、ここを越えると最終目的地である夢の国へと物語は展開していきます。この時代のゲームらしく、画面はライン&ペイント方式で描かれます。塗りつぶしは中間色も使われるため綺麗なのですが、そこに力を注いでしまったためか、全体的に描画が遅いのがプレイしていて厳しいところでした。

ゲーム画面はこのような感じで表示されます。画面中央に小さく描かれるのですが、それでも描画速度はイマイチです。
当時のパソコンは漢字ROMを標準で搭載していない機種も多かったですが、『ドリームランド』は漢字ROMが内蔵されていないハードでも、一部メッセージは漢字で表示されていました。

 ゲームはコマンド入力方式で、通常は動詞+名詞(LOOK DOOR)または動詞+名詞+名詞(TIE ROPE CLOCK)と入力します。コマンド入力式の難点は、本編の謎解きよりも反応する単語を探すことがメインとなってしまうことなのですが、本作は更にその上をいってました。それが、形容詞を入力するというトリッキーなシーンを用意していることです。

 マニュアルには「このGAMEは夢の中の出来事ですので現実には不可能なことが可能になっていますので、このことを頭の中に入れておいて下さい。 例)TALK CAT」とあるのですが、例にあるような“猫と話せる”というわかりやすいものだけでなく、夢の中なので自分の強さすら変えられるという設定がなかなかでした。それを実現するために、とあるシーンで入力するコマンドが「I AM STRONG」という規格外のもの。一応ヒントらしきものはあるのですが、従来のアドベンチャーゲームにはない入力方法なので、これを素で思いつくのは非常に高いハードルでした。

道ばたにある鍵の自動販売機と、木の上で“お腹が空いた”と話すネコ。まずは、この2つをどうにかすることが課題となります。

 それ以外の理不尽な仕掛けは、発売された時代を鑑みると少ないので、純粋に頭を悩ませればクリアできるようになっています。ただし、パッケージに書かれているように「難易度・・・☆☆☆☆☆」と最高難易度を誇っているので、そう簡単にはエンディングを見せてくれません。今でも手強い部類に入ると思いますので、自信のある人は何かの機会にぜひ挑戦してみてください。

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