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正しくない場所にもピースを置けてしまう『ジグソーアドベンチャー』

ほぼ5インチディスクサイズ大のパッケージに、ディスクとマニュアルが収められています。今回取り上げたのは3部作シリーズの第2弾「タイムスリップ」で、ストーンヘンジが印刷されています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、システムソフトから1983年に発売されたジグソーパズル+アドベンチャーの『ジグソーアドベンチャー』となります。

 1983年は、パソコン業界にとっては多数の新機種が登場した年であり、アドベンチャーゲームのブームが始まるタイミングでもありました。この年にはハドソンソフトから『デゼニランド』が発売されていたり、エニックスからは『ポートピア殺人事件』、T&E SOFTから『惑星メフィウス』がリリースされるなど、有名な作品も姿を見せていました。

1983年の11月や12月に発売された雑誌に広告が掲載されていました。この時期のシステムソフトといえば、『ミコとアケミのジャングルアドベンチャー」が一番有名で、それに続いて『ミオのミステリーアドベンチャー』のネームバリューがあったと思います。そのため、『ジグソーアドベンチャー』や『アリババ』は、かなりマイナーな作品かもしれません。

 そんな1983年の11月に、『ミオのミステリーアドベンチャー』や『ミコとアケミのジャングルアドベンチャー』などと同時に広告が掲載されたのが、今回取り上げた『ジグソーアドベンチャー』です。中身はジグソーパズルではあるのですが、“アドベンチャー”と付いているのは「このジグソーゲームは1面の完成図がパッケージの絵なのですが、2面と3面は完成図が用意されていません。別に手抜きをしているわけでは無く、試行錯誤の面白さ(つまりアドベンチャーゲームの要素)を加えようとしたわけです(マニュアルより)」という理由からでした。

 また、用意された3面共に共通のモチーフが用意されていて、それができあがったイラストのヒントになっています……が、ジグソーパズルは完成図が無ければ難易度は飛躍的に上がってしまうため、2面と3面の完成図カラー写真2枚を同梱した“ヒント集”が、200円分の切手をシステムソフトに申し込むことで手元に届き、見ることができました。

ロードが終わると、説明の画面が表示されました。この時代には珍しいアイコン方式を採用していたためか、マニュアルにもアイコンについて「聞き慣れない言葉かもしれませんが、新しいコンピュータ用語で、視界的にその機能が分かるようにしたカーソルの一種です」との解説が書かれていました。

 本編はジグソーパズルなので、複雑なルールはありません。1つの面は横20×縦8、160ピースで構成されています。画面下には8つのピースが並んでいて、ページを切り換えるごとに次の8ピースが表示されました。プレイヤーはF・1でページめくり/F・5でページ戻しを行い、目的のピースを見つけたらF・4を押してピースを選んでからスペースキーを押して、置き場所を決めた後に再びスペースを押せば、そこへピースを配置することができます。

 こうして、すべてのピースが埋まったらF・10を押して“チェック”すると、正解ならば完成してパスワードが表示されます。次からは、このパスワードを入力することで2面または3面から始めることができるのですが、未完成だったり間違っている場合は“間違い”というメッセージが無慈悲に表示されるので、もう一度やり直すことに。

説明画面で何かキーを押せば、早速1面スタートです。最初は真っ黒の画面しか表示されていませんが、そこへピースを置いていきます。セオリー通りに、四隅に配置するピースを探し、それをはめていくのが最初のステップです。右上には経過時間が表示されていますが、ピースが埋まっていくと見えなくなってしまいます(笑)。

 なお、このパスワードは「個々の商品によってまったく違い、たとえ当社にお問い合わせになっても、こちらでも知るすべがありませんのでお答えできません(マニュアルより)」というものなので、苦労して完成させたら絶対に分からなくならない場所へパスワードをメモしておく必要がありました。これをなくしてしまうと、もう一度最初からプレイし直すことに……。現代であれば、写真を撮影しておけば済む話なので、便利になったものです(笑)。

ピースを置く手順ですが、F・4を押して手のアイコンにしたらピースを選択してスペースを押し、続いて追いたい場所へアイコンを移動させてからスペースを再び押すことで配置できます。ただし、周辺部なのに、その辺に対して平らな辺がないピースを置くことはできません。

 本作の難しいところは、一般的なジグソーパズルは一つのピースが置ける場所は1カ所だけと決まっているのですが、このゲームでは“隣り合うピースの切り口の形が合うならば置けてしまう”というところです。このため、絵柄が微妙に違っていても凸凹がかみ合っていれば配置できてしまうので、間違えているのに気づかず先へと進んでしまい、後半戦になってから「あれ? なぜか合うピースが無くなっている……」という事態に陥ってしまうのでした。これは、当てずっぽうで片っ端からピースをはめ込んでいけば完成してしまうコンピュータジグソーパズルを逆手に取ったルールとして上手くできているのですが、実際はピースの絵柄が微妙だったり、そもそも1面以外は完成図がないためにピースを置ける場所の想像すらつかないという状況なので、これがとんでもなく難易度を上昇させていると言えたのではないでしょうか。

ピースを置こうとしたときに、1枚目の写真のようにエラーが表示されると間違いだと一発で分かるので助かるのですが、本作では凸凹さえ合っていれば置けてしまうので、間違いと分かったら2-4枚目の写真のようにF・3を押してペンチのアイコンで取り除きます。

 ただし、それを回避すべくいくつかのシステムが用意されていました。一つはパレット変更で、プレイヤーがピースに割り当てられたカラーを任意に変更出来るというものです。今回の写真では、本来であれば青の部分を、見やすさのために緑に変更してプレイしました。完成図のイメージからは少々離れてしまいますが、それでも青のままでプレイするよりも把握しやすいので、非常に助かります。

 もう一つが、セーブとロードでした。現実のジグソーパズルでも、ピース数が多いときは途中状態のままそっと保存したりしますが、本作でも進めた状態をセーブしておくことができて、後日にロードすれば続きからプレイすることが可能です。

ピースが見づらい場合は、色を変更することもできます。背景が黒なので、青色を使ったピースは凸凹が判別しづらいかもしれません。そんなときは、黄色や緑といった明るい色にすると作業が捗ります。1枚目が通常の色で、2枚目が変更した画面です。

 久しぶりに半日ほどプレイしたのですが、“正しくない場所にもピースを置けてしまう”という仕様のため、結局は1面すら完成させることができませんでした。正しいと思って置いたピースが、作業が進むうちに間違えていることに気づいて外すと、それに絡むピースも間違えているので雪崩式に外しまくり、また外周以外をやり直すハメに……という感じで、この当時としても、そして今でも手強い難易度となっています。

 流通した数は少ないようで今ではほぼ見かけることはありませんが、ジグソーパズル好きの人にはぜひとも挑戦してもらいたい難しさでした。

どうしても分からなくなった場合は、HELPキーを押すと各面ごとにヒントを見ることができます。それでも1面から難しいですが……

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