ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

まさに“前代未聞麻薬的爽快遊技”な傑作『ドラゴンスレイヤー』

この時期に発売された作品としては珍しく、かなり大きなパッケージを採用しています。この状態ではどの機種用か分からないのが惜しいですが、これはFM-7用テープ版です。そのため、LEVELは2.0となっています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、誰もが知る名作『ドラゴンスレイヤー』となります。発売は1985年。

 まだまだ日本ファルコムが麻雀ソフトやシューティング、シミュレーションなどの多岐にわたるジャンルのソフトを発売していた1985年、前年に『ぱのらま島』を世に送り出した木屋善夫氏が手がけ、後に「ドラゴンスレイヤー」シリーズとなる最初の1作目として誕生したのが『ドラゴンスレイヤー』です。広告では、キャッチコピーとして「前代未聞麻薬的爽快遊技」が使われていました。

当時の日本ファルコムの広告です。このページに掲載されている他のタイトルを知らない、という人もいるのではないでしょうか?
テープ版では、ディスク版のようなタイトルロゴは表示されません。代わりに、すぐこれらのデモ画面が表示されます。「DRAGON SLAYER IS UNLIKE ANY OTHER GAME」とあることからもわかるように、確かに当時のどのゲームとも違っていました。

 プレイヤーは主人公を操作し、マップ内のどこかにいるドラゴンを倒して4つの王冠を自宅に持ち帰ればクリアになります。マップ内には敵が湧いてくる墓石や、ステージを構成する壁、そして敵やアイテムなどが散りばめられているのですが、これらをどのように利用するかで、数多に渡る攻略法が存在しました。

 ただし、基本的なゲームの進め方としては十字架を装備して剣を探しつつコインを集め、剣が見つかったら装備してパワーストーンを家に持ち帰りながら敵と戦い経験値を稼ぎ、鍵を装備して宝箱を開けていき主人公を強化。ある程度まで強くなったらドラゴンと戦う、という感じです。

まずは敵に遭遇しても攻撃を仕掛けられないよう十字架を装備し、剣を探す旅に出かけます。ダメージは受けないものの、敵は主人公を囲むように移動してくるので、剣を見つける前に包囲されてしまうとやり直しに……。

 実際に遊んでみると分かるのですが、まずは十字架を取って剣を探すまで、次に剣を装備して集めたコインを自宅に持ち帰りHPを増やすまで、そしてパワーストーンをある程度回収して敵に負けなくなるまでと、序盤は3段階の壁を越える必要があります。ここまでのクリア方法が分かれば、あっという間にのめり込んでしまうのは間違いありません。

 実際にパワーストーンを回収する段階になると、指輪を装備して黙々と墓石の周りに壁を移動して敵を封じ込めたり、鍵を装備して大量の宝箱を開けて悦に浸っていると指輪をゴーストに奪われ、泣きながらマップ中を探し回るなど、とにかく夢中になってしまうのです。

剣を取り、パワーストーンをいくつか自宅に持ち帰ってSTRENGTHの値がある程度アップしてしまえば、いよいよ鍵や指輪を装備して遠出することになります。経験値が1000に達すると魔法が使えるようになるので、冒険が幾分から苦になります。

 この、序盤をクリアしてからドラゴンと戦うまでの道のりが複数あるため、何度もプレイ出来るのが楽しみの一つと言えるのではないでしょうか。例えば墓石を塞ぐにしても、壁を囲うだけでなく墓石の上で敵を凍らせたり、敵へのアタック方法も直接攻撃の他に壁を蹴って当てて倒すというように、非常に自由度が高く作られています。

 数々の苦労を乗り越えてドラゴンを倒すと4つの王冠が出現するのですが、それは現れた瞬間にどこかへと持ち去られてしまうため、後半は王冠を探す旅が始まります。しかし、仮に見つけたとしても自宅まで持ち帰らなければ意味が無く、更に自宅付近は敵の巣窟になっているため、ここでもプレイヤーの手腕が問われることとなるでしょう。

 こうして4つの王冠を持ち帰れば1面クリアとなり、マップが違う次のステージへと進みます。『ザナドゥ』以降からプレイし始めた人であれば、王冠(クラウン)を集めてからドラゴンを倒すのが定番に感じられるかもしれませんが、実は1作目は順番が逆になっていました。

 『ドラゴンスレイヤー』は、今でも遊ぶ環境が複数用意されているので、興味を持った人はぜひプレイしてみてください。

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