ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

日本妖怪編と西洋妖怪編どちらで楽しむ?ボーステックの『妖怪探偵ちまちま』

パッケージイラストには、ゲームに登場する日本妖怪と西洋妖怪が描かれています。大きな目玉のキャラクターが主人公、妖怪探偵ちまちまです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、ボーステックから発売されたアクションゲーム『妖怪探偵ちまちま』です。

 1980年代前半は、さまざまなソフトハウスがユーザーから作品を募る“プログラムコンテスト”を開催していました。ボーステックも1984年に第1回プログラムコンテストを行い、そこで最優秀作品に選ばれたのが、今回取り上げた『妖怪探偵ちまちま』になります。作者は“ALEX BROS”さんで、ジャンルはリアルタイム(ストーリー)ゲームとされていました。オープニングストーリーは、以下のようになっています。

第一回プログラムコンテストは賞金総額300万円で行われ、100万円がもらえる最優秀賞に選ばれたのが、SMC-777版として応募された『妖怪探偵ちまちま』でした。

 さる某日、じぞう森で撮影をしていたわれわれのアイドル小百合嬢が、妖怪一味に誘拐されてしまうという事件が起きた。今回の君の任務だが、彼ら族を退治して、小百合嬢を救出してもらうことにある。我々の掴んだ情報は、彼女がじぞう森九万目あたりに誘拐されているということのみで、彼らの目的及び人員構成など彼らに関することは一切分かっていない。いつものように君のために必殺武器を用意した。この武器は赤い火の玉の形をしてはいるが、コンピュータ内蔵の小型爆弾だ。気をつけて扱ってくれ。下手をするとその武器で自分自身が死ぬことになりかねないからな……。

 プレイヤーは妖怪探偵“ちまちま”を操り、墓場に出没する妖怪をすべて倒すのが目的です。各面共に妖怪の出現数は決まっていて、全部片付けられればステージクリアとなり、難易度が少しアップして次の面へと進むシステムでした。

日本妖怪編のタイトル画面とステージは、このような感じです。妖怪が出現する墓石が日本式になっていて、出現する妖怪もろくろ首などの日本妖怪でした。

 ちまちまはスペースキーで火の玉が発射でき、もう一度スペースキーを押すと爆風を起こして爆発します。妖怪は、その爆風に巻き込むか、火の玉を心の臓の位置に当てることで倒せました。爆風で倒すという点は、以前に紹介した『爆弾男』と同じですが、あちらとは違い本作では任意のタイミングで爆発させることができます。それにも関わらず、なぜか敵が主人公に近づいてきた時にばかり火の玉を爆発させてしまい、敵もろとも自滅することが何度もありました(笑)。他人のプレイを見ていると“そんなタイミングで爆発させるなんてアホだろ”と思うのですが、自分でプレイすると同じように自爆してしまうことがあるのだから、非常に不思議なものです。

こちらは、西洋妖怪編のタイトル画面とステージです。墓石が十字架の付いたオブジェに変わっているほか、フランケンシュタインといった西洋妖怪が現れます。

 その火の玉は、一度爆発させると次に撃てるようになるまでにタイムラグがあるので、その間は逃げるしかありません。むしろ、爆発させない限りはずっと画面内にとどまるので、妖怪の心の臓に当てまくって倒すというテクニックを駆使する方が確実でした。後に発売されたX1版は、そのようなことをしなくても先に進めるので、もしかするとPC-88版のバランス調整がイマイチなのかもしれません。

火の玉は、主人公と同時にテンキーで操作できます。そのため、火の玉だけを見て動かしていると、主人公があらぬ方向に進んで敵に体当たりしている……なんてことも。なお、主人公のちまちまは火の玉に当たっても大丈夫なので、それを上手に使うのもテクニックの一つです。

 登場する敵は、ゲーム開始前に日本妖怪か西洋妖怪のどちらかを選ぶことができます。各面ごとの思考ルーチンは日本妖怪西洋妖怪どちらも同じで、ステージ構成やグラフィックが異なるのみでした。ただし、別の妖怪でプレイしたい場合はリセットして選び直す必要があります。テープ版の場合は、最初から日本妖怪テープと西洋妖怪テープに分かれているので、それをロードし直すところからやらなければなりませんが……。

 慣れると1面は簡単にクリア出来るのですが、2面からは敵がプレイヤーの押下したキーに反応して動くため(主人公キャラが右に動けば敵キャラすべてが右に動く)、それを逆手に取った作戦で攻めないと、あっという間にゲームオーバーになってしまいます。

爆風は、通路なら上下または左右に、十字路の中央では四方に広がります。同時に複数の妖怪を巻き込むと、点数が100→200→300→……とアップ! しかし、一歩間違えれば、自爆してしまうことも……。

 なお、本作は応募された機種がSMC-777版だったため、一番早い発売がSMC-777版となっていて、その後PC-8801版、12月22日にX1版という順番でリリースされました。PC-88版は描画が遅いため厳しいプレイを強いられますので、環境が許すならX1版やFM版などで遊ぶことを強くオススメします。

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