ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

光栄の歴史三部作シリーズ、その一翼を担った『蒼き狼と白き牝鹿』

ジンギス汗が描かれたパッケージが有名です。ジンギスカンについての表記はいくつかありますが、本作では「ジンギス汗」表記となっています

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1985年に光栄から発売された歴史三部作シリーズの一つ『蒼き狼と白き牝鹿』を紹介します。

 光栄と言えば、シミュレーションゲームに定評のあるソフトハウスでしたが、当時“歴史三部作シリーズ”として発売されたうちの1タイトルが『蒼き狼と白き牝鹿』です。今回取り上げたのは1985年に発売された初期作で、その後にリニューアルされ87年に『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』として再発売されているため、そちらの方がプレイした記憶が残っている人は多いかもしれません。

広告によれば、最初に発売されたのはPC-9801版とFM-16β版だったようです。その後、歴史三部作シリーズとして『信長の野望』『三国志』とともに誌面を飾りました。同時期にはストロベリーポルノシリーズも、ADULTの囲み枠内で紹介されています

 本作は3部構成になっていて、第1部はテムジンがモンゴル平原を統一するまで、第2部はジンギス汗と改名し史実では実現できなかったアジア大陸全土統一達成まで、そして第3部がヨーロッパ大陸統一までとなっています。プレイヤーは20歳になったばかりのテムジンとして、世界統一を目指すことになります。

 マニュアルには「(前略)ロールプレイングゲームとマネジメントゲームの要素を取り入れ、歴史大河シミュレーションゲームとなった(後略)」と書かれていて、『信長の野望』や『三国志』とは違う路線であることがそれとなく表明されています。

タイトル文字のみの『三国志』や、タイトル文字と兜が描かれた『信長の野望』よりも、賑やかなタイトル画面になっています

 ゲームシステムも他2作とは若干異なり、『信長の野望』は1季節ごとに、『三国志』は各領地ごとに1回、それぞれコマンドを入力しますが、『蒼き狼と白き牝鹿』はそれらとは違う、1季節に3回のコマンドを入力するのが目新しい点でした。さらに、コマンドを実行する際には能力値を消費するため、武将だけでなくテムジン自身も鍛えていかなければいけません。当時プレイしたときには何をすれば良いのかまったく分からず、ものの一日で投げ出してしまった記憶がありますが……。

最初は、モンゴル平原の統一を目指します。兵士や自分を鍛えつつ富国強兵に励み、余力が出来たところで敵国に攻め入り領土拡大を目指しましょう
モンゴル平原統一を果たすと、舞台はアジア大陸へと移ります。ここを統一できれば、最後に待つのはヨーロッパ大陸の覇者です

 戦闘は、『信長の野望』がHEXを、『三国志』が四角を、それぞれ互い違いに配置したような感じのシステムを採用したのに対し、『蒼き狼と白き牝鹿』は地形を4×4の16マスに区切った形で表示し、そこに敵味方が設定された形になっています。プレイヤーユニットを移動させ、相手のユニットに重ねると自動で戦闘が行われるほか、道以外の場所を使用して移動すると兵士が脱落して減ってしまうなど、本作ならではのシステムもありました。

 しかし、『蒼き狼と白き牝鹿』といえば、やはり“オルド”なのかもしれません。この当時、光栄は“ストロベリーポルノシリーズ”と題したアダルトゲームを発売していたので、“そっち方面”を期待していた人もいたと思いますが、実際にコマンドを実行すると女性のCGが描かれた後に、テントの頂上部分がそこへ向かって飛んでいくというアニメーションが描かれる、というシンプルなものでした。むしろ今となっては、その後に表示される「ホントウニ、オツカレサマデシタ」との文字のほうが、より“らしさ”を感じさせるような気がします(笑)。

戦争は、4×4のマス目にて行われます。自部隊のマス目以外はマスクされているので、相手がどのような戦力なのかは遭遇するまでわかりません
オルドコマンドを実行すると、テントの先端が描かれた女性CGへ向かって飛んでいくという、察してくださいアニメーションが見られます(笑)

 10作品以上がリリースされている『信長の野望』シリーズや『三国志』シリーズと違い、『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズは現在、4作品が発売されただけとなっています。しかし、その規模は3作品の中で一番壮大なので、シミュレーション好きな人はぜひプレイしてみてください。現在は、Steamにて気軽に購入することもできます。

ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧