ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」

この時期のコンパックタイトル標準と言える、カセットケースがそのままパッケージになっているパターンでした。中には、ロード方法などが書かれています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、コンパックから発売された『スクランブル』を取り上げてみました。

当時のカセットテープサービスは、取り扱い一覧タイトルを表にして掲載していました。広告っぽさはありませんが、これを見るとどんなタイトルがどの機種にリリースされていたのかが分かります。今となっては、歴史を知る貴重な資料でしょう。

 1980年前後、アーケードゲームが盛り上がり始めると、ゲームセンターにはさまざまな種類のユニークなゲームが並ぶようになります。そうなると、ゲーセンで稼働しているタイトルを自宅パソコンで再現し遊びたくなるものですが、そのような欲求から生まれた中の1本が、今回取り上げた『スクランブル』です。アーケード版はコナミ(当時)が縦画面横スクロールシューティングゲームとしてリリースしていましたが、パソコン版は横画面構成になっていました。掲載されたのは、工学社から発売されていた月刊誌『I/O』の82年1月号で、作者は『ドア・ドア』や『ニュートロン』でお馴染みの中村光一氏です。この時代はまだ、アーケード版のゲームをパソコンへと移植しても、そのままの名前を付けて発売することが普通でしたが、本作は後に『アタッカー』と改名されました。

タイトル画面にはアーケード版と同じく“HOW FAR CAN YOU INVADE OUR SCRAMBLE SYSTEM?”と書かれていて、ゲーム名である『スクランブル』がここから来ているのが分かります。スコアテーブルやハイスコア一覧なども、アーケード版そのままです。

 ゲームルールはアーケード版とほぼ同じで、自機のジェットをテンキーで操作し、出現する敵や地上物をマシンガンまたはボムを撃って破壊し先へと進んでいきます。自機にはFUELが設定されていて、時間経過と共に減り、0になると落下していき地面に激突するとミスです。途中に出現するFUELタンクを破壊すれば、FUEL補給が可能です。こうして用意された6つのステージをクリアすると1周終了となり、FUEL消費が早くなる2周目へと突入します。

1STエリアは、最初だけあって簡単です。しかし、ミサイルが自機を虎視眈々と狙っていますので、先手を取って破壊したいところです。画面の色が違うのは、数秒おきに画面全体のカラーが変化するためです。

 アーケード版と同じく自機は中央より前には移動できないので、エリア5THなどはテクニカルな操作が要求されます。若干異なるのは、敵の中心部分を撃たないと破壊できないという部分と、ミサイルが必ず自機を狙ってくることくらいでした。
 カセットテープでの販売も行われていましたが、雑誌に掲載されていたダンプリストを苦労して入力すれば、今はやりの“実質無料”で遊べたため、テンキー部分の周囲にある記号入力キーをA-Fに変更するプログラムを実行させ、右手のみでマシン語を打ち込んだものでした。しかし掲載リストにバグがあったため、2月号と3月号も購入して訂正部分を入力しないと動かなかったというのは良い思い出です(笑)。

2NDは、空中をUFOが飛んでいるため体当たりされる危険性があります。地面に設置されているミサイルは飛んできませんので、UFOとFUELを逃さず破壊することを心がけて進みましょう。

 1981年にアーケードデビューしたばかりのタイトルを、1年かからず移植してしまうという腕にも驚きますが、その高い再現度にも当時は興奮したものでした。160×100ドットで8色表示という、アーケードゲームと比べものにならないスペックのPC-8001で『スクランブル』が遊べてしまったので、これ以降も中村氏の作品には期待を抱くことになります。実際、この後に『リバーパトロール』をPC-8001へと移植した『リバーレスキュー』を発表、こちらも高い完成度を誇り大ヒットさせていました。

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