ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ロッキード疑獄を題材にしたアドベンチャー『日本の首領(ドン) 首相の犯罪』

パッケージには国会議事堂と、エアバスとおぼしき航空機のイラストが描かれています。「疑獄アドベンチャーゲーム」というジャンル表記が目立ちますが、タイトルロゴの下には簡単なストーリーも書かれていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1983年10月12日のロッキード裁判判決に合わせて発売された疑獄アドベンチャーゲームで、当時のロッキード疑獄を題材にした「首相の犯罪」です。

広告を見ると、このときのメインは本作だったようで、ページの2/3を使用してイラストを掲載していました。他にも同タイミングでの新作として『ホシは誰だ 王妃の首飾り』や『西部87分署』『探偵物語Part3』『ゴルゴ13シリーズPart3・視覚外標的』『温泉みみず芸者』『DISK FILCOM 福地泡介のサラリーマン実戦麻雀』が登場しています。

 1976年、世界的な大規模汚職事件であるロッキード事件が発生します。同年7月27日には、“田中角栄首相が就任からわずか一カ月余の1972年8月に、丸紅の檜山廣元会長から全日空のトライスター購入に尽力するよう頼まれ、報酬として5億円を受け取った”ということで逮捕されました。これ以降、事件の真相を巡ってさまざまな事実が明るみになっていくわけですが、今回取り上げた『日本の首領 首相の犯罪』では、このロッキード事件をモチーフにしたアドベンチャーゲームをプレイすることとなります。

 パッケージには「その時日本中の目が1人の男へ集中した。果たしてその時、首相は犯罪を犯したか?戦後未曾有の疑獄事件を、あなたは検察官として追及する。シロかクロかはあなたの腕次第。相手は元首相、大物を追い込んでいく疑獄アドベンチャーゲーム」と堅めに書かれているのですが、マニュアルにはもっと軽いノリでゲーム中に登場する会社名や人物などを踏まえて、物語が以下のように掲載されていました。

タイトル画面では、「首相の犯罪」ではなく「日本のドン」と描かれます。その後にストーリーが表示されるのですが、ここに登場する名詞が尋問中に鍵を握ることとなります。その尋問相手となる重要参考人は、全部で6名。

 コッキード社のコーチャン氏が重大な発言を行いました。タナカが角紅の社長ヒヤマに5億円のワイロと引き替えにエアバス売り込みに協力してくれと頼まれ「よっしゃよっしゃ」と答えたらしいのです。そして角紅のイトウ専務とタナカの秘書エノモトがイギリス大使館裏、ホテルの駐車場、電話ボックスなどで計4回にわたり、お金をダンボールに入れて受け渡しが行われたようです。あなたは有能な検察官です。まず、重要参考人を呼ぶか、タナカ邸を家宅捜査するか選んでください。重要参考人には、タナカ、秘書のエノモト、その夫人、角紅専務イトウ、エノモトの運転手カサハラ、イトウの運転手マツオカの6人です。

 プレイヤーは与えられた10日間という時間内で関係者を尋問したり家宅捜査を行い、その後の裁判で元首相をクロにするのが目的です。尋問を1人、または家宅捜査を1回行うと1日が終了となるのですが、尋問もし放題というわけではなく、回数を重ねすぎると弁護士によって「健康状態が良くないので帰らせてもらう」と告げられ強制的に1日が終わってしまうことも。さらには、政界の大物を相手にしていることもあってか途中でさまざまな圧力がかかり、捜査が不可能な日も出てくることがあります。そうなると貴重な1日が無駄に過ぎていってしまうことになるのですが……

尋問相手であるタナカ(1枚目)や秘書のエノモト、角紅専務のイトウ(2枚目)などのグラフィックは、非常に渋く描かれています。痛いところを突かれると1度目は顔を赤くして怒り、2度目は顔色を青くして観念する(いずれもエノモトフジン)というのが、なかなか面白い演出でした。

 肝心の尋問方法は簡単で、PF1(PC-8801シリーズなどであればF1)には“を知っていますか”、PF2には“を運びましたか”、PF3には“に行きましたか”があらかじめ設定されているので、それらを押した後に、名詞を入力するだけです。例えば、PF1を押すと“を知っていますか”と表示されてカーソルがその前に位置するので、タナカと打ち込んでリターンキーを押せばコマンド「タナカを知っていますか」となりました。

 これで、相手がシラを切ってきたら言葉を換えて再び尋問するのですが、正解のワードだった場合は対象者の表情が赤で描き変えられ真っ赤な表情になります。図星を突かれて怒っているということなので、もう一押しすることができれば今度は真っ青になり、尋問成功! あとは、PF4の“証拠品を提出しなさい”で証拠品の情報を聞くか証拠品をゲットすれば、その重要参考人は用済みとなるのでした。これを繰り返して証拠を集め、最終的にはタナカを尋問して大事な話を聞き出す必要があります。しかし、さすがは大物だけあって、そう簡単には口を割りません。果たして、突破口はどこに!?

尋問に成功すれば、証拠品の情報を聞き出せます。持っている人間が特定できたときは、その人物を落として、証拠品をゲットしましょう。

 尋問で証拠を十分につかんだと確信したら、続いて家宅捜査に入ります。ここではタナカ邸を舞台に17部屋をしらみつぶしに調査して、タナカを追求するのに必要となるダンボールやカネ、ニッキといった証拠品を捜しださなければなりません。しかし、ここでも圧力がかかる場合があり、捜査本部からの呼び出しがあると捜査は中断、帰宅を余儀なくされます。

家宅捜査では、タナカ邸の内部にメスを入れていきます。時間は限られているだけでなく、捜査への圧力がかかると何もできずに退却しなければならない事態に陥ることも。一度家宅捜査に入ってしまうと尋問パートには戻れませんので、尋問でしっかりと証拠を引き出しておきたいところです。

 捜査するには上面図から調べたい部屋をカーソルキーの左右で選び、リターンキーを押すだけ。そこが空室だった場合は“使われていない”と表示され、再び部屋を選ぶか、家宅捜査終了のどちらかを選択するのですが、“アタリ”だった場合は家具が描かれます。続けて、“どこを探しますか?”と表示されるので、対象とする物体名を入力してリターンキーを押すと探索が行われ、何も無ければ“他を探しなさい”と冷たく言われてしまいますが、証拠品が見つかった場合はグラフィックが表示され、証拠品獲得となるのでした。

捜査中には、このような妨害工作もおきます。まさに、大物政治家を相手に戦っている感じが味わえるというもの。

 そして捜査期間が終了すると、舞台は裁判所へと移ります。ここでは尋問した人物達の供述調書を提出していくのですが、本作には得点の概念も設けられており、核心を突く尋問であったり証拠品を見つける、供述調書を提出するとポイントが大幅にアップ、タナカをクロにする道へと一歩近づきます。有罪にするには最低でも1900点は必要とマニュアルに書かれているのですが、実際にそこまでたどり着くのはなかなか難しく、何度かプレイしたものの到達することはできませんでした。

最後に行われるのが裁判パート。ここでは尋問で落とした相手は供述調書を提出できるので、それで得点を稼いでいきます。捜査妨害で供述調書が盗まれてしまった証人に対しては、この場で反対尋問を行うことができるので、それで証拠を固めましょう。果たして、最後の判決はシロとクロどちらに?

 本作は、プレイするたびに相手を追い詰めるためのキーワードやタナカ邸の部屋が変化するため、「前回はこの手順で相手を落とせた」「前はココとココに証拠品があったから、そこを調べればすぐに有罪にできるでしょ」とはいかないため、毎回地道な捜査が要求されます。また、そこへ至るまでの道のりも険しいので、思った以上に遊びごたえのある1本でした。今では現物を入手するハードルが非常に高いですが、プレイ出来る機会があればぜひ一度遊んでみてください。

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