ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

あの「ゼビウス」っぽいゲームをPC-8801でも遊べた!~1983年発売「アルフォス」~

外箱は、エニックスお馴染みの紙パッケージになっています。イラストに登場しているのは、実際にゲーム中に遭遇する敵キャラクターです

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、「森田のバトルフィールド」や「森田将棋」などでお馴染みの森田和郎氏が手がけた、「ゼビウス」ライクゲーム「アルフォス」です。

 1983年、ゲームセンターに「ゼビウス」が登場すると大人気となり、これを自宅でも遊びたいと考える人が大勢出てきます。しかし当時のパソコンには、アーケードゲームが当たり前に持っていた機能を備えているハードはほとんど無く、「ゼビウス」を再現するには高い壁が立ちはだかっていました。そんな時代に現れたのが、「ゼビウス」ではなく「ゼビウス」っぽいゲームの数々です。その中でも、飛び抜けて良く出来ていたのが「アルフォス」でした。

当時の広告を見ると「女子寮パニック」「ポートピア連続殺人事件」などと同じ時期に発売されていたのがわかります。本作はPC-8801シリーズ用のテープ版・ディスク版にくわえて、PASOPIA7用のテープ版も用意されていました

 本作を世に送り出したのは、エニックスが実施した「第1回ゲームホビープログラムコンテスト」にて最優秀プログラム賞を受賞した「森田のバトルフィールド」の作者、森田和郎氏です。パッケージ裏に書かれたキャッチコピーでは「スーパーエキサイティングゲーム」「パソコンの限界を超越したスクロールゲーム」などと謳われていました。「アルフォス」自体はコンテスト応募作品ではなく、「全国のマイコンファンより第2作目をとのご要望が殺到し、今回の作品発表となりました」とマニュアルにあるように、ユーザーとエニックス側からの要望で作られたというのがわかります。そんな本作には、ゼビウスほどではありませんが、壮大なストーリーが用意されています。

タイトル画面では、製作に参加したスタッフの一覧が表示され、しばらく待つと操作方法が紹介されます

 ---穏やかだった太平洋上にある日、巨大な大陸が突然現れる。伝説だったはずの地底国アトランティスは、単なる伝説ではなかったのだ。早速、国連に調査本部が設けられるが、そこに正体不明の送り主からのメッセージが届く。「我々はアルフォス、我々はアルフォス。我々は、地球を征服するだろう」と。選択されたのは、先制攻撃。世界中で一番優秀な戦闘機“ニーモニック号”に乗り込み、敵陣を攻撃するのだ---

前方より出現する空中敵と地上物を破壊して進み、海が見えるところまでたどり着くと1エリアクリアとなります。操作はすべてテンキーで行いますが、当時のマイコン・パソコンユーザーならば今も余裕でプレイ出来ることでしょう(?)

 プレイヤーはニーモニック号を操作し、途中に出現する敵を空中物なら量子砲で、地上物は中間子爆弾を用いて攻撃・破壊していきます。今回取り上げたのはPC-8801用ですが、この時期のPC-88対応ソフトはグラフィックの描画が遅く、何をプレイしていても待たされる感じがありました。しかし「アルフォス」は、それまでのゲームと比べると明らかに滑らかさが違っていました。スクロールは非常にスムースで、敵や自機もサクサク動という事実に当時、天才プログラマは実在するのか……と感嘆したものです。登場キャラクターも多彩で、見た目のカラーリングの地味さに反し、非常に個性豊かになっています。色使いが派手ではないのはゲームを高速に動かす工夫のためなのですが、当時はそんなこととは知らず「面白いけど見た目が地味で残念」と思っていたものでした。

「ゼビウス」のバキュラのような敵や、ソルのように地上のどこかに隠されている隠れキャラも設定されています。ここまで似ていれば、肝心の「ゼビウス」がしばらくPC-8801で発売されなくても満足できました

 タイトル画面やゲーム画面など至る所に見られる“(C)namco”の表記ですが、パッケージ裏の表記によると当時のナムコに怒られたからというわけではなく、「森田氏が開発したこのアルフォスはゼビウス((C)ナムコ)に似ていましたので発売にあたり(株)ナムコの了解を得ました。(株)エニックス」とあるように、エニックス側があらかじめ配慮したからと思われます。

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