ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

奇妙なプロテクトが話題になったRPG『サイキックウォー』

主人公と、共に旅するアンドロイド、というキャラクター選択は前作と同じなのですが、作画がより今風になりました。パッケージ裏には、簡単なストーリーと登場するキャラクター紹介などが載っています。

 パソコンゲームも少しずつ歴史を重ねていくと、1作目が好評だったので続編を……というタイトルが出始めてきます。『ドラゴンスレイヤーII』や『ハイドライドII』、『夢幻の心臓II』などが有名ですが、そのようなタイトルのうちの1本となったのが、今回取り上げた工画堂スタジオの『サイキックウォー』となります。

 タイトルロゴを見るとわかりますが、PSYCHICとWARの間に「COSMIC SOLDIER 2」と入っていて、前作の続編という立場をアピールしていました。ただし、ストーリーは繋がっているもののシナリオは本作だけで完結しているので、前作をプレイしていなくても遊ぶのに支障はありません。用意された物語は、要約すると以下のような感じになっています。

リリース月となった5月から、各パソコン雑誌に広告が掲載されはじめました。その後もPC-98やFM77AV、MSX2に移植されるまで宣伝は続いています。前作の広告と同じく、ゲームに関するちょっとしたヒントが書かれていることもありました。

 星歴3530年に帝国軍と同盟側との間で始まった第1次星間戦争は、アンドロイドとソルジャーの活躍により、100年にわたる帝国の支配に終止符が打たれた。しかし、帝国軍はその後に同盟側の超能力者達が使うサイキック・パワーを人工的に作り出すことに成功、これをサイコアーマーへ搭載し、まもなく実戦配備できる段階へと達していた。これを受けて、同盟側では今後の方針が話し合われたものの、全面戦争では不利になるため別の手段を模索すべきと結論づけられる。そこに、諜報部員から一つの情報がもたらされた。帝国軍の戦略宇宙本部といった軍事力の中枢が集まる、人工惑星の存在が明らかになったというのだ。同盟側は、人工惑星に存在する敵基地の爆破計画を立て、何人かのサイキック・ソルジャーを工作員として敵星系に送り込むのだった。

 敵星系の外縁に、星域間通商のための中立ステーションが存在していた。そこに今、1人のサイキック・ソルジャーが美女と共に降り立つ。彼女は、かつて同盟を勝利に導いたアンドロイドの改良された姿だったのだ。2人に託されたのは、帝国が全面戦争に打って出る前での人工惑星にある敵基地爆破。永く語り継がれることとなる、銀河超能力戦記の幕が、今開く! 戦え、サイキック・ソルジャーよ。帝国を破滅させるその日まで……。

画面レイアウトは前作っぽさを残しつつも、3Dで表示されるダンジョンは2回りほど大きく表示され、同行するアンドロイドは美人度が200%アップという感じになりました。今作でももちろん、アンドロイドのパワーアップが用意されています。

 プレイヤーは主人公のサイキック・ソルジャーとしてアンドロイドと共に行動し、最終的に敵基地を爆破させるのが目的です。システムは少々クセのある前作から変わり、敵を倒して経験値を稼ぎ、一定以上になるとレベルアップするというオーソドックスなものになりました。

 今作も、ゲームスタート時点では前作同様1人パーティなので、そのままでは敵に勝つことはできません。まずは中立ステーション内を歩き回り、攻撃してこないキャラクターを探します。無事に出会えたらF3キーを押して会話メニューを表示後、“なかまに する”を選ぶとパーティに加えることができました。この画面ではほかにも、スペースキーで攻撃、リターンキーでシールド、F5キーで1歩後ろにテレポート(逃げる)が出来ますが、マニュアルを読まなかったりゴニョゴニョして入手した人は、どう操作をしたら良いのか分からずにゲームオーバーを繰り返して、そのまま投げ出してしまった人もいたのではないでしょうか?

まずは仲間を集めて、パーティメンバーを4人に揃えます。攻撃しないキャラに出会ったときはF3を押してメニューを表示し、“なかまに する”を選ぶと味方になってくれました。“じょうほうを きく”なら、そのキャラは情報を伝えた後にフェードアウトします。なお戦いで減少したサイキック・パワーは、歩いていると自動的に回復するので、回復薬などをケチりたい時は歩き回りましょう(笑)。

 他キャラクターとのエンカウントシーンでは、相手が攻撃してこなかった場合は会話が成立するものの、敵のときは何の前触れもなく攻撃してくるので、プレイヤー側には早急な対処が求められました。とはいえ、エンカウント時は敵か味方かは分かりません。そこで、画面が切り替わったときは超反応でリターンキーを押しシールドを展開するのが定石となっていました。ただし、シールドのサイキックを持つミントンといったキャラを仲間にしておく必要があります。

 敵とのエンカウント時にシールドを張らないままでいると、攻撃を受けてあっという間に味方パーティのサイキック・パワーが減少していき、0になるとゲームオーバーに……。これに対抗すべく、プレイヤー側もスペースキーを押してサイキック・ビームを発射するのですが、ここのアニメーションが非常に格好良く、ビームが押し返されたりする演出などが入るのでなかなかに盛り上がります。とりあえず、どんな仲間でも良いので頭数を揃えれば中立ステーションで負けることはなくなるので、まずは味方を3人集めるのが最優先でした。この後は、移動先で強いキャラを見つけてはパーティメンバーを入れ替えていくことで戦力の底上げを図り、最終目的地を目指してストーリーを進めていくことになります。

エンカウント時、敵の場合は即座にサイキック・ビームを放ってきますので、こちらはサイキック・パワーを消費してシールドを張って防御するか、サイキック・ビームを放って反撃します。シールドでガードしていれば敵が勝手にサイキック・パワーを消耗させていくので、それでどんどん減らしていくか、味方がサイキック・ビームで攻撃するか、いずれかの方法で敵のサイキック・パワーを0にすれば勝利です。途中で降参してくる相手もいますので、その時に攻撃を止めて話せばレアな情報を聞き出せることも!?

 マップ自体はそれほど広くないものの、マッピングしつつ隅から隅まで移動しないと大事なアイテムなどを取りこぼしてしまうことがあるので、そういう意味では歯ごたえのある難易度に仕上がっていました。それでも、前作から比べると格段に遊びやすくなっているので、現在でも取っつきやすいのではないかと思われます。今ならプロジェクトEGGなどでもプレイができますので、興味を持った方はぜひ帝国壊滅まで頑張ってみてください。

各地のステーションでは、お宝が隠されていたり仲間のサイキック戦士たちが手助けしてくれたりします。少々面倒でもマッピングをしっかり行わないと、大事なアイテムを見逃してしまうことも……。

 余談ですが、本作は一部の人にとっては、その奇妙なプロテクトが話題になったかと思います。通常、フロッピーディスクに存在する穴は、インデックスホールと呼ばれる一つだけ。しかし本作のディスクには、よく見ると読み取り部分にも非常に小さな穴が2つ空いています。これによって、いわゆる「アインシュタイン」などのハードウェアバックアップツールではバックアップすることができない仕組みとなっていました。こういったプロテクトやバックアップツールに関しては、また別の機会にまとめたいと思います。

小さいため見づらいのですが、これがフロッピーディスクの盤面に開けられている穴です。針で開けたような感じの極小サイズですが、これがコピープロテクトとなっていました。

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