ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

100部屋全部をひっくるめてのパズルゲーム「ザ・キャッスル」

パッケージのイラストを担当しているのは、漫画家・イラストレーターのめるへんめーかーさんです。幻想的なイラストが、ゲームの雰囲気を表しています

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回はアスキーから発売され、人気を博したアクションパズルゲームの『ザ・キャッスル』を紹介します。

シンプルなタイトル画面が表示された後に、クレジット表記となります。チェリーソフトと下に見えますが、ゲーム中にこのチェリーを取ると……

 「恋する王子の100の冒険」とのキャッチコピーがうたれた、ファンタジー色いっぱいのストーリーで展開される本作は、プレイヤーが王子を操作し100の部屋に挑み、マルガリータ姫を助け出すのが目的のアクションパズルです。パッケージには、“ファンタジックベンチャー”というジャンルが書かれていました。

広告では、悩みそうな部屋を選んで解説してくれる親切なバージョンも。解法を見ると“ああ、なるほど”となるのですが、当時これを自力で考えるのは、かなり骨が折れる作業でした

 プレイヤーは王子をテンキーで操作しながら先へと進むのですが、ジャンプでは空中に浮いたまま数マス進むことができるほか、空中で方向転換することもできるなど若干クセのある動きをしますが、慣れればかなり自在に操れるようになります。オブジェクトで敵を潰したり、重ねて足場を作るなどして仕掛けをかわし先へ進み、妖精の助けなどを借りつつ救出に向かいます。

 本作の難しいところは“1部屋ごとの仕掛け”ではなく“100部屋全部をひっくるめてのパズル”になっているところでしょう。Aの部屋にある鍵を取り、遥か先にあるCの部屋で使うという感じなのですが、部屋同士も左右だけでなくエレベータで上下にも繋がっているので、その道順も考えなければなりません。鍵も色に対応した扉しか開けることができず、さらに鍵の総数も決まっているため、誤った場所で消費してしまうと肝心の扉を開けられなくなる、というハマリの事態に陥ってしまうことも。

これは、1部屋目と2部屋目です。ゲームが始まり最初に入る1部屋目の上部には、今後の助けとなる地図がありますが、それを回収するには2部屋目の下から2段目より移動してこなければなりません
地図の前を塞いでいるドアの鍵は、2部屋目を右に移動した3部屋目にあります。このように、先の部屋から鍵を回収して前の部屋の扉を開けるといった城全体を通してのパズル要素が収められているため、全体的な難易度はかなり高めです

 このような難しい、そして先の長いパズルゲームの場合は、パスワードや外部記憶装置で進行状況をセーブすることが出来る場合が多いですが、もちろん「ザ・キャッスル」でもそれは可能です。ただし、データセーブの際には主人公である王子の命が1つ失われてしまうため、命を捨ててでもセーブするか、危険を冒して先へ進むかの選択を迫られます。ゲームスタート時には王子の命は4つあり、1万点ごともしくは命の水を取るごとにエクステンドしますが、数に限りがあることには変わりありません。しかも、間違えた場所で鍵を使った状態に気づかずセーブしてしまうと、そのデータでは絶対にクリアできないというハマりも待っています。そういう意味では、パズルゲームの中でもかなり手強い部類だったのではないでしょうか。

 ちなみに、地図を所持した状態で妖精を助けると姫の居場所を教えてくれますが、その際には妖精のムフフ絵が表示されますので、興味のある方は頑張って挑戦してみてください(笑)。

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