ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

マシン語使用で抜群のスピード感を提供、ドットイートゲーム『ばぐごん』

この頃のパッケージとしてはお馴染みの、カセットテープのケースに収納されています。同梱されている化粧紙には画面写真が印刷されているので、どのようなゲームなのか一目で分かるのがありがたかったです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、コンピュータランド北海道から発売されたPC-6001用ソフト『ばぐごん』を取り上げました。

 1982年というと、パソコンゲームとしてはアクションやシューティング、テーブルゲームにパズル、そしてシミュレーションゲームがほとんどで、RPGやアドベンチャーはまだまだという時代でした。この頃に求められたのは、ゲームセンターで稼働しているゲームを自宅のパソコンで遊びたい! というもので、それを実現すべくさまざまなソフトハウスが「インベーダー」や「ギャラクシーウォーズ」などの有名ゲーム“っぽい”作品を作って、市場へとデビューさせています。当時のパソコンは非力なので、アーケードゲームを完全移植できるほどではありませんでした。それでも雰囲気が出ていれば、何となく満足したものです。

初めて広告が掲載されたのは、1982年5月25日に発売された『月刊I/O』1982年6月号でした。PC-6001が登場したのが1981年11月なので、『ばぐごん』などは約半年の間に作られたと思われます。後に、X1に移植され『スーパー・バグゴン』として再登場します。

 ゲームセンターで稼働していたゲームの移植は、速度さえ気にしなければBASICでも何とかなるものも多かったですが、やはりそれでは満足しない人も大勢いるもの。そんなユーザーにも楽しんでもらうべく、市販ソフトは主にマシン語を使ってプログラムが組まれたことで、スピードの問題を解決していました。この時期、そのようにして多数のタイトルをリリースしていたのはハドソンソフトや富士音響マイコンセンターRAM、九十九電機などがありましたが、今回取り上げた『ばぐごん』を発売していたコンピュータランド北海道も、そのうちの1つです。

ロード後にRUNすると、ゲーム説明画面が表示されてからジョイスティックの使用有無を聞かれます。無い場合は、カーソルキーで自機を移動させることができますので問題ありません。

 コンピュータランド北海道は、1982年の5月の時点で「PC-8001用に30タイトル以上、PC-6001用には40作品以上(広告より)」をリリースしていて、そのどれもが「マシン語使用で抜群のスード(スピードの誤植?)達成」と謳っていました。さらに「魔法の杖<セブンステッキ>をたずさえ、コンピュータランド北海道のミラクル頭脳集団<謎の七面鳥>---セブンターキーが日本中のゲームキラーに挑戦状!!」と、当時のゲーマーに向けて挑発的な見出しで煽っています。

 広告を眺めると、どこかで見たような感じの画面がずらりと並んでいたのですが、当時としてはこれを見て「ゲーセンで稼働している“あの”ゲームっぽいのが遊べるの!?」となったので、むしろ夢が膨らむばかりでした。しかも、価格は2,500円から3,000円ということもあって、一度に数本ほど注文したという人もいたのではないでしょうか。なお、ゲームの難易度は「「激難」難易度Aクラス」と書かれていました。

ゲーム開始直後やミス後は、モンスターが巣の中にいるためエネルギーカプセルを食べるチャンスです。しばらくすると、巣の下にボーナスターゲットが表示されるので、余裕があれば食べておきましょう。1面2面はさくらんぼ、3面はパイナップル、4面はバナナで、先の面に行くほど得点もアップします。

 今回紹介する『ばぐごん』も、そんなタイトルのうちの1本。広告には「パックマンの敵は“赤べえ”だ。エネルギーカプセルを次々食べて突撃!! しかし最後に勝つにはスーパーカプセルを手に入れなければ……。が、そうこうするうちに迫る赤べえ」と書かれていて、読むと『パックマン』タイプのドットイートゲームだということが分かります。

 プレイヤーは、パックマンと思われる自機を操作し、画面内に表示されているエネルギーカプセル(ゲーム内ではエサ)をすべて食べるのが目的でした。迷路内にはおばけ(モンスター)が4匹登場して、パックマンの行く手を邪魔します。捕まると自機を1機失ってしまうので、ピンチになったときは上下左右の4カ所にあるスーパーカプセル(ゲーム内ではパワーエサ)をパクリ。すると敵がイジケるので、その間は食べて反撃することができます。敵は1匹目が200点、2匹目400点、3匹目800点、4匹目は1600点が入りますので、ハイスコアを狙うチャンス! 一定のプレイ時間が経過すると、モンスターの巣の下にボーナスターゲットが現れます。取るとボーナス得点が入り、そうして10000点を超えると自機が1機増えますが、全部失うとゲームオーバーとなりました。

ピンチになったら、4カ所あるスーパーカプセルを食べて反撃開始。食べられたおばけは、一定時間経過後に再び復活します。ちなみに、ワープトンネルに入っても、おばけの速度は落ちません。

 基本的には『パックマン』と同じルールですが、おばけのアルゴリズムがまったく違うので、初めてプレイしたときには新鮮に感じるかもしれません。また、迷路の角でスムーズに曲がるのが難しく引っかかってしまうため、それでミスをするというパターンが多く、慣れるまでは油断禁物です。しかし、エネルギーカプセルを一気に食べられればかなり爽快で、操作が上手にできるようになると非常に面白く遊べました。

 スーパーカプセルを取るとおばけがいじけるのですが、その際の行動がパックマンから逃げるのではなく迷路の通路や角を行ったり来たりするため、移動先で待ち構えているという消極的な行動では“おいしい”思いはできません。とにかく、積極的に追いかけて食べまくることが大事でした。ただし、深追いしすぎるとイジケ状態から戻ったタイミングで触れてしまうこともあるので、その見極めが重要になるのは本家と同じです。

おばけに捕まると、本家と同じくパックマンが小さくなっていき消滅する演出が入る凝りようも。ゲームオーバーになると再挑戦するか止めるかを聞かれますが、nと入力するとBASICに戻ります。その時は、再びRUNすることでゲームに復帰できました。

 この時期に多く見かけた『パックマン』類似タイトルではあるものの、処理速度が非常に早く快適に遊べるのは、さすがセブンターキーの手がけたゲームだなと感心してしまいました。当時はそれなりの数が出回ったと思われるのですが、現在ではあまり見かけることがないため、遊ぶのは難しいかもしれません。持っている人を見かけたら、ぜひ一度プレイさせてもらってください。

どのような感じかを、動画を撮影してみました。PC-6001mkIISRにデジタルRGB-VGA変換コネクタ(15色非対応)を接続してXRGB-3につなぎ、そこからHDMI出力した映像をHDMIキャプチャ機で撮影しました。キャラの絵や音楽がなかなか似ていますが、本来は似ているとマズかったかもしれません(笑)。

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