ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

「死体蹴り」の元祖といえばこのゲーム! 『エグゾアII ウォーロイド』

近未来的なビル街を足場に2体のロボット、エグゾアとアースが戦っているシーンが描かれています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、対戦格闘ゲームなどでお馴染みの「死体蹴り」の元祖、『EXOAII WARROID(エグゾアII ウォーロイド)』です。発売は1984年。

 死体蹴りという単語は対戦格闘ゲームが語源とも言われていますが、個人的には今回取り上げたこちらのタイトルが元祖だと思っています。その作品の名は『EXOAII WARROID(エグゾアII ウォーロイド)』。1プレイヤー側はエグゾアを、2プレイヤー側はアースと呼ばれるウォーロイドを操り、ビーム砲とキックで戦う固定画面のハイスピードアクションバトルゲームです。

第2回アスキーソフトウェアコンテストの受賞作品が取り上げられている広告ですが、『ウォーロイド』が一番大きくスペースを割いていました。

 タイトルに“エグゾア2”とあるように、前作『エグゾア』の続編となります。『エグゾア』は8方向にスクロールする画面で、出現する敵を次々と倒していく、アーケード版『タイムパイロット』のようなゲームでした。今作『ウォーロイド』では、1対1で戦う対戦もののアクションゲームになっています。ストーリーは、以下のようになっていました。

 西暦1999年、わずかな誤解が元で始まった異星文明エグゾアの地球支配に対し、国連宇宙軍は月へ逃げ細々と抵抗を続けていた。そして2年後、最後の地球奪還作戦が開始され、その囮として国連軍の最新兵器FX1-BSは単独で地球へ向かった。そして今、数々の難関をくぐり抜け地球に降り立ったFX1-BSが見たものは、2年前の爆撃によって時空の混乱した地上と、至る所をうろついているエグゾア軍のウォーロイドだった。変形してウォーロイドになれるFX1-BSは、囮として出来るだけ長く生き延びて多くの敵を倒すことが目的だ。もう後戻りは許されない!

ここでパラメータをどのように割り振るかで、戦い方も変わってきます。

 プレイヤーはエグゾア側(エグゾア)または地球側(アース)のウォーロイドを操り、勝利を収めるべく戦いを繰り広げます。ウォーロイドは最初に200のエネルギーを持っていて、ビームを撃つと1消費し、相手のビームにヒットしたり蹴りを喰らうとダメージを受けてそれぞれエネルギーが減少します。

ステージには、取るとエネルギーが増えるアイテムだけでなく、触れるとダメージを受けてしまう爆弾も配置されています。移動は慎重に……。

 基本的なルールはこれだけなのですが、本作をよりおもしろくしているのが、プレイ開始時のパラメータ割り振りです。ジャンプ、キック、ビーム、スピードの4項目にどう振るかで、自分だけの個性豊かなウォーロイドで戦うことができました。

 キックパラメータを最大にして接近戦で決めるか、ビームパラメータを上げて遠距離から撃ちまくって勝負を決めるか、スピードパラメータをアップさせて蝶のように舞い蜂のように刺す、といった作戦が自由に取れたのです。なお、ウォーロイドが装備しているビーム砲は16方向のみに撃てるので、死角をうまく見つけて相手を狙い、確実にダメージを与えるのが勝利への近道でした。

ステージのバリエーションは複数ありますが、共通なのは四隅に移動しないことです。また、しゃがむことも重要になります。

 エネルギーが0以下になってしまったウォーロイドはその機能を停止し、横たわってしまいます。そして爆発するまでの約3秒ほどの間、買った側は相手に好き放題できるのです! このときは相手のウォーロイドを蹴りまくるのがお約束で、それを称して当時「死体蹴り」と呼んでいました。残念ながら、インターネットの無かった時代ですので、全国的にそうだったのかは不明です。しかし、筆者たちがプレイしていた時から「死体蹴り」と呼んでいたので、対戦格闘ゲームで「死体蹴り」という単語を聞くようになってから、あの単語も随分メジャーになったな……と思ったものでした。

左が元祖の死体蹴りで、文字通り動けなくなったウォーロイドを蹴り上げています。右は、機能停止したウォーロイドに追い撃ちのビームを当てているところです。やられた方にとっては、屈辱の一瞬。

 ちなみに、当時死体蹴りをしすぎた後に、リアルファイトに発展したという話を聞いたこともあったり……。幸いにも、筆者は実力が似たような友人との対戦だったため、ほぼ互角の勝敗数で終わっていたからか、危ない目に発展することはありませんでした(笑)。

 元祖死体蹴りが楽しめる『ウォーロイド』は、X1とMSXで発売されていました。入手しやすいのはMSX版だと思いますが、ぜひともX1版で遊んで欲しいものです。

ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧