ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

マイコンソフトのX1版「マッピー」、盗品奪取の大冒険アクション!

パッケージには、ニャームコ屋敷とニャームコ、ミューキーズ、そして正義感溢れる我らがポリス・マッピーが描かれています。なお、縦長パッケージはテープ版のみで、X1D版(3インチ仕様)とX1turbo版(5インチ仕様)では箱が正方形に近くなったため、スペースの都合上パッケージイラストにニャームコ屋敷は描かれていません。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、マイコンソフトから発売された『MAPPY』より、最初に登場したX1版となります。

 1984年から、マイコンソフトは数々のナムコタイトルをパソコンへと移植します。その中には大ヒットとなった『ゼビウス』や、ハイレベルな出来に度肝を抜かれたX68000用『源平討魔伝』などがありましたが、月刊『マイコン』1984年6月号にて“namcoオリジナルゲームシリーズ第1弾”としてプログラムリストが公開されたのが、同年1月に発売されたX1版の『MAPPY』です。この時期のパソコン向けタイトルとしては、固定画面の『パックマン』『ギャラクシアン』『ディグダグ』、そして縦スクロールする『ゼビウス』がラインアップとしてありましたが、横スクロールする作品としては初でした。そのためか、パッケージにも“マシン語 超ロングスクロールGAME”と書かれています。

『マイコンBASIC Magazine』1984年1月号に付属の『スーパーソフトマガジン』1月号に、画面写真などが初掲載されました。また、1984年6月号の『マイコン』には、右側の写真のようにプログラムリストも載っています。

 パッケージ内には、ロード方法と遊び方が書かれた紙が1枚収録されているだけで、ストーリーはパッケージ裏面に記されていました(ちなみに、ストーリー部分の見出しはなぜか「“ニャムコ”屋敷から盗品を取り返せ!」と書かれていて、ニャームコ屋敷ではありません)。それは、以下のようになっています。

アーケードゲームの移植時にはオープニングデモなどは端折られがちですが、本作ではしっかりと盛り込まれています。その後のSE“キュンキュンキュンキュン”も、もちろん流れます。

 正義感溢れる元気なポリス、マッピー! いたずらもののニャームコたちを追いかけて、やって来ましたニャームコ屋敷! 中には、ニャームコたちが盗んできた品物がどっさり。「みんな取り返すぞ!」と意気込んで入ってはみたものの、屋敷の中はどうも勝手が違う。階段がなくて、あるのはトランポリンだけ。盗品探してピョンピョン行ったり来たり、追いかけっこ。がんばれ、マッピー!

ニャームコ屋敷は、アーケード版と違って5階建てになっています。あちこちに見えるのが盗品で、同じ種類のものを続けて回収すれば倍率が上がるので、ハイスコア獲得には欠かせません。

 基本的なルールはアーケード版と同じで、プレイヤーはマッピーを操作して、ニャームコ屋敷にある5種類(ラジカセ/テレビ/マイコン/モナリザ/金庫)×2・合計10個の盗品を取り返せばステージクリアです。自由に動けるのは左右のみで、上下移動をするときはトランポリンを使い、上昇中に任意のフロアで降りなければなりません。なお、トランポリンは一度飛び跳ねるごとに10pts加算され、色が緑色から青→黄→赤と変わり、赤のトランポリンに降りると破れてミスになります。各フロアでは、マッピーが向いている一番近い方向のドアをスペースキーまたはジョイパッドのボタンで開閉することができ、タイミング次第ではニャームコやミューキーズに当てて気絶(50pts)させることも。また、一部の扉はパワードアとなっていて、開けるとマイクロウェーブが出現! ニャームコやミューキーズを画面外に押し出してボーナス点が加算されるという仕組みでした。ラウンドが進むと、トランポリン通路のてっぺんにベルが出現するニャームコ屋敷が登場し、敵に当てて気絶させることもできるようになります。

ピンチになったときやミューキーズたちが固まっている時には、パワードアを開けてマイクロウェーブ発射! 触れたニャームコ達を画面外に運び出してくれるだけでなく、ボーナス点もゲット出来ます。

 1984年1月に発売されたX1版を手がけたのは、Harvest ビデオゲーム研究班の内田一弘さんでした。アーケード版の縦長画面を横長パソコン画面へと移植したため、フロアの階層が5階(アーケード版は6階)になっています。それでも、ゲーム中に流れる陽気なBGMを聞きながらプレイ出来たため、ゲームセンターの雰囲気を味わうには十二分でした。

ラウンド3、7、11……は、配置された風船を割っていくボーナスステージになります。最後に登場するEARNINGSは“もうけ”の意味で、パーフェクトなら5000点が加算され10000点ゲットとなります。

 コードやグラフィックデータは、ソースをそのまま持ってきたのではなく目コピのため、敵のアルゴリズムや一部挙動がアーケード版と違っていたりしました。また、当時やりこんだ人や、『マイコンBASIC Magazine』1983年11月号付録の『スーパーソフトマガジン』を持っている人ならば、ボーナスステージでの風船の配置がアーケード版とは違っているのにも気づいたかもしれません。それでも、自宅のパソコンで『MAPPY』が遊べるとあって、人気を博したとのことでした。

ニャームコ屋敷は、先のラウンドに進むと屋根裏が歩けるようになったり、トランポリン通路にベルが登場します。これらを利用して、より先のラウンドまで攻略しましょう。

 それを受けてかX1用として後に、さまざまな部分に改良を加えた『MAPPYニューバージョン』が改めて発売されますが、そちらはまた別の機会に解説することにします。

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