ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

人間の心理を突いたマップに悩まされる人が続出したアクションRPG「ゼリアード」

砂に埋もれたフェリシカ王国と、その元凶である魔王が描かれたパッケージイラストとなっています。パッケージの背中には、魔王も登場しています

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、ゲームアーツから1987年に発売されたアクションRPG「ゼリアード」を取り上げました。

当時の広告を見ると、ゲームアーツとしては若干地味な印象を受けます。この後は、『ヴェイグス』や『ファイアーホーク』などのアクションゲームを発売することになります

 『テグザー』で一躍名を馳せたゲームアーツはその後、『シルフィード』や『ぎゅわんぶらあ自己中心派』などのヒット作を次々と生み出していきましたが、それらのジャンルはアクションやシューティング、テーブルなどでした。この時期、各社がこぞってRPGを発売していたにもかかわらず、ゲームアーツからは発売されていなかったのが不思議でしたが、1987年も押し迫った12月に満を持して発売されたのが『ゼリアード』です。

タイトル画面の前後にはストーリーのデモが入りますが、そこでは魔王やフェリーサ姫、民の声などのセリフの一部を実際に喋ります。

 過去に封印された魔王が復活し、フェリシカ王国を砂で覆い、王女であるフェリーサ姫を石に変えてしまいます。王国の地下には邪悪な8つの世界を作られてしまい、国王もなすすべがなくなったそのときに現れたのが、主人公のデューク・ガーランドでした。プレイヤーはデューク・ガーランドを操作し、魔王を倒してフェリーサ姫を石化から解き、フェリシカ王国を救うのが目的となります。

街では、住人から話を聞いてヒントをもらったり、経験値が溜まったときにはレベルアップさせてくれるお店に入るなど、さまざまな事を行います。なお、サウンドボードIIを搭載しているか、またはFA/MA以降の機種であれば、サウンドボードIIに対応した楽曲を楽しむことができました

 ゲームシステムはアーケードゲーム『ドラゴンバスター』ライクにできていて、ジャンプもボタンではなくテンキーの8で行うなど、基本操作もほぼ同じです。スペースキーを押すと剣を振りますが、通常は横切りで、敵の位置によっては上から下への振り下ろしとなります。ちなみに、テンキーの8と2を同時に押しながら剣を振れば、いつでも振り下ろし攻撃が出せます。

 ジャンプしてからテンキーの2を押してスペースまたは、落下中にテンキーの2を押しつつスペースキーで、下に剣を突き出した状態となります。この攻撃では敵に倍のダメージを与えることができるので、耐久力のある硬い敵に有効と言えるでしょう。なお、テンキーの2を押すとしゃがむだけでなく、盾を装備していれば構えて敵の攻撃を防げます。ただし、盾には耐久度がありますので、過度に使うと壊れてしまう点には注意です。耐久力が落ちたときは、武器屋での修理が必要となります。

最初のダンジョン内には、動物をモチーフとした敵が数多く登場します。敵キャラだけでなく主人公の動きも非常に滑らかで、ぎこちなさを感じることはありません
これが、下突きです。この状態で敵に重なれば、通常の2倍のダメージを与えることができます。これを使いこなせるかどうかで、難易度も大きく変わってくるでしょう

 本作の特長といえるのが、敵ごとに個性付けされた挙動と、プレイヤーを悩ませるダンジョンの作りでしょう。敵キャラはプレイヤーに向かってくるだけでなく、こちらが近づくと逃げたり、上方から狙いすまして降ってくる相手など、実にさまざまでした。もちろん、この時代には定番となったデカキャラも登場しますが、それらは文字通り飛んだり跳ねたり、ゼラチン状のキューブならぶよぶよしているなど、滑らかなアニメーションでプレイヤーを襲ってきます(笑)。

 ダンジョンは、ゲーム開始直後はそんなことはないのですが、先へと進むにつれてなぜか迷ってしまうような構造になっているのも、本作の醍醐味でしょう。人間の心理を巧みに突いた計算されたマップとなっているため、行きたい場所が見えてもそこへなぜかたどり着けないなど、とにかく苦しめられた記憶が残っています。ある意味、パズルゲームを解きながらアクションRPGをプレイしているという感覚でした。

 当時の雑誌には『ゼリアード』を特集した攻略記事が数多く掲載されていましたが、それらのお世話にならずにクリアした人は、本当に凄いと思います。

ディスクは、ピクチャーレーベルを採用しています。広告によると、使用しているのはメモレックス社製高品質ディスクとのことなので、保存状態が酷くなければカビの心配はないかもしれません(?)

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