ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ダーウィンの進化論が“何となく分かった”気になれる(?)シューティング『ダーウィン4078』

ゲーム画面やイラストではなく、この当時としては未来を感じさせるCGが描かれていました。裏面にも画面はなく、開発を担当したハドソンと、販売を担ったパナソフトの名前と連絡先のみが記されています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、データイーストがゲームセンターでリリースした『ダーウィン4078』のMSX2移植版です。

 1980年代、自分を含めたゲームセンターに通っていたユーザーは、熱中してプレイしているタイトルが自宅で遊べるようにならないものか……そんなことをよく考えたのではないでしょうか。そういった要望に応えるべく、各ソフトハウスはさまざまなタイトルをアーケードから移植しました。今回取り上げた『ダーウィン4078』もそのうちの1本で、アーケード版はデータイーストがリリースしていましたが、MSX2版はハドソンソフトが移植を手がけています。

特定の敵を倒すと“E”が出現します。これを取ると、スペースハリアーがさまざまな形態へと進化していきます。アーケード版ではかなりの弾数が飛ぶのですが、MSX2版は機体によっては2発で弾切れになるので、連射を使わない方が良いかもしれません。

 タイトルに、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの名前が入っていることからも分かるように、ゲーム中には自機が進化するのはもちろん、退化や、時には突然変異を起こすこともあります。マニュアルには“ゲーム構成”という遊び方説明の他に“進化・退化・突然変異”という項目も用意されていて、こんな文言が書かれていました。

 進化という言葉の意味をご存じですか? 進化とは「サルからヒトへ」というようにより発達した生き物に変わっていくこと。また退化とは、簡単に言うとそれとは逆に原始的な生き物に変わっていくことです。生物の場合にはこの現象が何千年、何万年の時間をかけて行われるのですが、“ダーウィン4078”のスペースハリアーはエネルギー生命体EVOLを採ることにより進化し、敵弾を受けることにより退化します。

 敵の軍団を効果的に撃破しハイスコアをマークするためには、効率よくEVOLを採ってなるべく早くスペースハリアーを最強の形に進化させなければなりません。そして、この“ダーウィン4078”のオモシロサを一際高めるポイントが“突然変異”。これは本来、ある条件によって生物が全く別の形になってしまうことを指すのですが、スペースハリアーもある条件を満たしてやると突然変異を起こします。このスペースハリアーの特徴を活かして、一刻も早く敵の軍団を撃破し宇宙に平和を取り戻せるか? それは君の腕と頭脳にかかっているのです。

地上の敵は前方だけでなく左右からも出現するので、見つけ次第撃破しましょう。地上攻撃用ミサイルには照準は付いていませんので、慣れて覚えるしかありません。一部の敵は、ショットを撃ち込み弱らせてから触れると、自機前方に装備することができます。この状態であれば、地上攻撃範囲が広くなり楽に撃破できました。

 『ダーウィン4078』は縦画面縦スクロールのシューティングゲームですが、MSX2版は家庭用のテレビに合わせて、横画面縦スクロールになっていました。プレイヤーは自機スペースハリアーを操作して、空中と地上に現れる敵をそれぞれ攻撃しつつ倒しながら先へと進んでいきます。特定の敵を破壊するとエネルギー生命体EVOLが“E”というパワーアップアイテムとして出現、回収するとスペースハリアーは進化・変形するのでした。

 自機は一部の例外を除いて被弾しても即ミスにはならず、原初形であるビスターに退化してしまいますが、EVOLを取りまくればリカバリも効きます。退化中は無敵なので、敵を体当たりで倒すこともできました。進化しているほど退化の時間(=無敵時間)も長くなるものの、ビスター形態は当たり判定が小さい代わりに攻撃力も低いため、盛り返すには苦労することも。

EVOLを取りまくると、最終的にはギャシャルルへと進化します。高い攻撃力が魅力ですが、当たり判定も大きくなってしまうのが玉に瑕です。

 一定時間EVOLを取らないと、スペースハリアーは1段階退化してしまいます。使い勝手の良い機体から悪い機体に変形することもあり、そうなると厳しい戦いを強いられてしまうのでした。なお、一部の敵弾や敵本体に体当たりしてしまうとミスとなり、残機がなくなるとゲームオーバーです。

 敵を倒して出現したEVOLを取り、バンバンパワーアップさせて最終形態になれば、威力のある攻撃で敵を出現即破壊することができるため爽快感を味わえました。ただし、普通に進化させてしまうと自機が大きくなり、当たり判定も広がるため難しくなります。そこで有効活用したいのが、突然変異でした。これは特定の敵で被弾したり、ある条件を満たしてからEVOLを取ることで、スペースハリアーを突然変異させることができます。特に、第7進化形態ドゥドクから突然変異してのミーサ→マルトゥ→シースそしてディームへの進化は、ゲームを攻略していく上では欠かせないものでした。

突然変異のディームは、左右の羽には当たり判定がないので敵弾を避けやすいです。クースまで進化後、時間経過でズガウに退化させた後にEVOLを取れば、ディームへの突然変異コースに入れます。

 ディームは被弾すると退化するのではなく、ブラックディームへと突然変異します。この機体は特別で、被弾してもミスになることはなく、さらには自機の分身を前方へ大量に飛ばす攻撃方法で、ほぼ無敵の強さを誇りました。ただし、敵と接触したり特定の敵弾に当たるとミスになってしまうほか、一定時間EVOLを取らないと初期状態のビスターに退化してしまいます。まさに、諸刃の剣ともいえる究極の形態でした。

 MSX2版も基本的なところは同じですが、地上などの背景が描きこまれているほか、自機の細かいアニメーションなどもうまく再現されています。ただし、自機や敵機が単色で味気なかったり、全体的な難易度はアーケード版より若干簡単になっているもののボスが強敵になっているなど、ゲームセンターで遊んだ人にとっては少々物足りなさを感じる移植度でした。それでも、このタイミングで『ダーウィン4078』を家庭でプレイ出来たのはMSX2ユーザーだけでしたので、そういう意味では鼻高々だったのは間違いないでしょう。

ディームで被弾すると、真っ黒なブラックディームへと突然変異します。ほとんどの敵弾に当たらなくなるだけでなく、他の機体とは一線を画す大量のショット(自機の分身)をばらまくため、敵を即座に倒せるのが強み。ただし、退化するとビスターになってしまうのがツラいところです。

 現在では、あまり見かけることはなくなりましたが、当時夢中になってプレイしたという人や、アーケード版が得意という人は、この機会にぜひプレイしてみてください。

マニュアルには、スペースハリアーの進化・退化表も掲載されていました。機体名称がアーケード版とは一部異なります(アーケード版:ピスター/MSX2版:ビスターなど)ので、記事ではマニュアルに記載された名前を使用しています。
実際にどのような感じなのかを、STAGE1クリアまでを動画で撮影してみました。

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