ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

当時としては驚くほどリアルなピンボールが遊べた『スーパーピンボール』

カセットテープケースを一回り大きくしたサイズのパッケージに、テープと説明書が入っています。パッケージに描かれた、ピンボールとはあまり関係がなさそうなピエロのイラストが目を引きます。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、月刊誌「ASCII」に掲載され、後にアスキーから発売された『スーパーピンボール」を取り上げました。

 盤面を転がる金属の玉をフリッパーと呼ばれる装置で打ち返し、盤面上に設置されたターゲットに当てて得点を重ねていく「ピンボール」には、昔も今も大勢のファンがいます。これをパソコンの中で再現して遊ぶことはできないか?

 という試みはマイコン時代から行われていましたが、その初期代表作と言えるのがアスキーから発売された『スーパーピンボール』です。プログラムは、全国大学生協連合会主催「第1回ソフトウェアコンテスト」にて優秀作となり、月刊誌「ASCII」1983年11月号に掲載され、同年12月にパッケージ版として発売されました。そのプログラマは、松岡章一さんです。

記事掲載版のプログラムと、製品版のプログラムではいくつか異なっています。特に、掲載版ではパラメータを変更することができないので、タイトル画面が違っています。左が記事掲載版、右が製品版のタイトル画面です。

 ちなみに、この当時はプログラムの全リストが書籍に掲載され、さらに市販品として発売されることも珍しくありませんでした。面倒な入力とバグ取りを行う気力があれば無料(書籍代のみ)で、それがイヤなら市販品を買うという、ユニークな時代だったと言えるかもしれません。

リターンキーでボールをプランジャーから打ち出したあとは、落ちないようにフリッパーで打ち返します。ボールはドットなのですが、その挙動は非常にリアルです。

 プレイヤーは、右下から打ち出されるボールを左右のフリッパーを使って打ち返し、高得点獲得を目指します。デジタルピンボール・デジピンと呼ばれるパソコンでのピンボールゲームは、実機の移植ではなくオリジナル盤面の場合、ギミックを攻略していく楽しさとボールの挙動が注目点になります。『スーパーピンボール』では、盤面に配置されたターゲットはシンプルでわかりやすく、ボールの挙動も壁をすり抜けたりするといったインチキな動きをほとんどしていませんでした。当時、デジピンの種類はそれほど多くなかったこともあり、夢中になって遊んだ記憶があります。ちなみに、実機のピンボールでは物理的に台を揺らすことができますが、本作の場合はフリッパーをバタバタさせることで、同じ効果が得られるようになっていました。

左下のスポットにボールを入れられれば、ボーナス得点がゲット出来ます。また、左上のレーンにボールを通せば、一定時間ボールが落ちにくくなるセンタースポットが現れます。これらを上手に利用して、高得点を目指しましょう。

 ピンボールの基本は、両方のフリッパーを別々に動かすことと、ターゲットを確実に狙ってボールを打つことでしょう。さらに、ギミック同士の連携(Aターゲットを全部倒してからBターゲットに当てるとボーナスをゲットなど)が分かるようになると、ハイスコアを更新出来るためドンドン面白くなっていきます。

 なお、本作ではスコアを20万点以上ゲットするとパスワードが表示されますが、タイトル画面から“P”を入力し、そこで入力することでパラメータ変更モードへと入る事ができます。ここでは、ボーナス得点、反射とフリッパーの強さ、全体の速度、重力、ボールの数を変えることができるので、自分だけの設定でプレイが可能です。

タイトル画面でPを入力するとパスワードを求められ、正解すればパラメータをエディットできる画面に入れます。各種ボーナス得点も変更出来るので、自分好みの台を作って遊びましょう。

 PC-8001向けに数多くの名作を生み出した芸夢狂人さんが、夢中になってプレイした『スーパーピンボール』、運良く掲載誌や現物を入手出来たときは、ぜひ実機や「PasocomMini PC-8001」などで遊んでみてください。

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