ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

デモシーンやBGMに心を震わせた、日本テレネット初期の名作「ファイナルゾーン」

リアルな感じで描かれた5人のメンバーが、パッケージの表面になっています。他機種版では、ゲーム中に登場するアニメ調の絵柄を用いたイラストが使われています

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、各種デモ画面や素晴らしいBGM、フォーメーションを取り入れたアクションなどが特徴だった「ファイナルゾーン」を取り上げます。

 1985年に「アメリカントラック」を発売し、その知名度を徐々に上げてきた日本テレネットの次なる作品として予告されていたタイトルに「アルバトロス」「ファイナルゾーン」がありました。どちらも1985年末に発売されているようですが、その中から今回は「ファイナルゾーン」を取り上げました。

PC-8801mkIISR版が発売される直前、1985年10月に発売された11月号の雑誌広告には「アルバトロス」との見開きで、キャラクターがリアルなバージョンのものが掲載されています。後のロゴとは違って、配色が地味なのも目を惹きます

 アーケードゲームに詳しい人であれば、カプコンがリリースした「戦場の狼」のようなゲーム、と言えばすぐに理解してもらえるかと思います。基本は上方向への任意縦スクロールアクションゲームで、プレイヤーは1~3人のキャラクターを操作して各ステージの最終エリアまでたどり着き、そこに出現する敵を30人倒せば1面クリアとなります。道中は、さまざまな武器を持った敵軍がワラワラと現れるので、こちらも武器を使用して反撃します。しかし、武器には弾数制限があるため、エリアのどこかに隠されている武器や弾薬を回収しなければなりません。

 また、敵の攻撃を受けるとパワー(HP)が減少してしまうので、それも見つけてゲットしたいところです。これらアイテムはPC-8801mkIISR版では見えないため、何度もプレイして探し出す必要がありますが、後に発売されたX1版などでは配置場所が最初から見えているそうなので、これから遊ぶのであればそちらでのプレイがベターかもしれません。

プレイヤーは主人公(たち)を操作し、スーパーウェポンGN-16Bを破壊するのが目的です。オープニングでは、そのあたりのストーリーが語られます

 どのステージも、2または3キャラクターでフォーメーションを組んで進むと道中の障害物に引っかかってしまい上手に進めないことが多かったため、気づくとメインキャラであるボウイ隊長のみで出撃することがほとんどでした。そのためか、作戦会議で誰が出撃するかを決めるシーンでの「今回のポイント-マンは、オレ一人でやる。」というセリフは、誰しもが何度も聞いたのではないでしょうか。とはいえ、各ミッションにシナリオを持たせたことで、単なるアクションゲームからドラマ仕立てのアクションゲームへと進化させたことは、当時としては斬新だったと思います。

ここが、有名な(?)作戦会議のシーンです。誰が出撃するのかを選ぶ場面でメインキャラのボウイ隊長のみを選ぶと、あのセリフが表示されます
各面共に上へ上へと進んでいくのですが、道中に出現する敵は前方からだけでなく真横からも弾を撃ってきます。被弾直後の無敵時間は無いため、場所やタイミングが悪いとダメージを受けっぱなしになってしまうことも……

 ちなみにオープニングデモが横長なのは、フルスクリーンで横スクロールさせるのが難しかったためだそうです。また、パワーが少なくなったときに流れるピンチの曲ですが、メインのBGMから音楽のリズムを維持してメロディラインだけをうまく載せ替える作業をしているそうで、どちらもサブプログラマの方が行っていたとのことです。

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