ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

マルチな才能を持つ赤松健氏のパソコンゲームデビュー作『パラディン』

茶色いパッケージは当時としても珍しいですが、タイトル以外には対応機種と、小さめのイラストが1枚掲載されているだけでした。機種名の下に小さく「PC-88から声が出ます」とも。裏面には、画面写真が2枚とストーリーが書かれています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1985年12月にボーステックより発売されたアクションRPG『パラディン』です。

ボーステックはこの時期、大作となる『レリクス』がメインだったということもあり、広告では1/3のスペースでしか取り上げられていませんでした。それでも、“ユーザー開発ソフト第一弾!”とのキャッチコピーが付けられていることからわかるように、なおざりにしていたわけではなかったようです。

 2022年、参議院議員選挙で見事に当選を果たし、現在は国会議員として活動している赤松健先生。それ以前は、『魔法先生ネギま!』や『ラブひな』などのマンガを手がけ、アニメ化もされたことなどでも有名です。しかし、それよりも更にさかのぼると、プログラマとしても名を馳せていました。その作品が、ボーステックから発売されたサイドビュー視点で展開されるアクションRPG『パラディン』でした。本作には、以下のようなプロローグが用意されています。

 パラディンの世界へようこそ。これは遠い未来のお話。その頃の地球は魔法文明で栄え、人々は平和に暮らしていた。世界を1つの国にまとめ上げたのは、エレクスという偉大な聖騎士。しかしある日、自らを神と名乗ってエレクスに対抗するものが現れる。かつて幸せに満ちていた世界は、破壊と殺戮の地獄と化してしまう。エレクスは神と戦うべく準備をしていたが、魔物の奇襲に遭い、娘ユリウス姫と共に神の元へ連れ去られてしまう。そこで彼は恐ろしい三首の竜に、ユリウス姫は何かの動物に、それぞれ変えられてしまう。エレクスの忠実な部下であった主人公は修行を重ね、聖騎士となる。そしてついに単身、神の国へと乗り込む。すべてはあなたの手にかかっている……。

タイトル画面には、ストーリーがぎっちりと書かれています。ロゴの下に、“PROGRAMMED BY KEN AKAMATSU”の文字が見えます。

 プレイヤーは主人公の聖騎士(パラディン)を操作し、敵を倒しながら経験値を積み、装備品を揃え、神を倒してユリウス姫を助けるのが目的です。タイトル画面でスペースキーを押すとゲームスタートとなるのですが、ステージ数が表示される画面でGRAPHまたはGキーを押すと始まり、SやLを押せばセーブロードができるというところがユニークでした。セーブロードのスロットは、ファンクションキーの1から5まで割り当てられているので、合計5カ所でのデータやりとりが可能です。

各ステージの最初には、必ずこの画面が表示されます。ここでセーブやロードを行えますので、先に進んだ際には忘れずに保存しておきましょう。

 ステージには魔物がうろついている場合がほとんどで、すべての敵のHPは画面最下段に表示されていました。主人公は、CAPSキーを押すと剣を出し、戻すと盾を構えます。イメージとしては、『ハイドライド』のATTACKとDEFENCEが一番近いでしょう。これを使いこなし、現れる魔物を倒して経験値を稼ぎつつお金を貯め、装備品を充実させながら先へと進んでいきます。ちなみに、戦闘は『ドルアーガの塔』と同じく、すれ違うことで行われました。一度だけではダメな敵も多いので、何度もすれちがいを繰り返すことも。

ステージは固定画面で、その中を魔物がうろうろしています。コウモリはふらふらと飛んで、剣を持った戦士は主人公を追いかけてくるもののはしごは移動しないなど敵にも個性があり、戦うときはそれを見極めるのも大事になります。敵は倒されると、その場に十字架となって残ります。

 初めてプレイするとサクサクと先に進めてしまうのですが、数ステージ攻略したところで強敵に出会いゲームオーバーになってしまうでしょう。序盤はとにかくお金を稼いで、ステージ2にある商店街で良い防具を買いそろえるのが先決です。装備さえ調えてしまえば、少し先に出現する剣を持った敵にもガード状態で戦えば勝てるため、安心して先へと進めるようになりました。敵は1体倒すごとに経験値が1入り、これが256になるとレベルが1つ上がって0に戻ります。すると、それまでダメージを与えられなかった敵も倒せるようになるので、こうして地道に攻略していくことを覚えれば、クリアも見えてくるかもしれません。

SHIFTキーを押すと、画面下に装備品一覧と持ち物が表示されます。このくらいの装備が揃うまで大人しくコウモリだけを相手にして、傷ついたら商店街の病院で回復してもらうことを繰り返すのが最初のコツです。

 ゲームが進行していくとM.P.(マジックポイント)が増え、魔術が使えるようになります。ただし、魔術ごとに異なるマジックパワーを消費するので、その量が無ければ発動させることはできません。また、ドラゴン族や“あの世のもの”には魔術が通じないというところも、気をつけておかなければならないところでしょう。

いくつかのステージは商店街になっていて、装備品や薬を買ったり、傷を治すことができます。さらには、博打屋も。ここのルーレットで当てれば所持金を増やすこともできますが、外れる確率のほうが高いです(笑)。装備品は、何はともあれ防具を優先的に揃えましょう。

 途中には、いくつかの装備品が隠されています。そのうちの、幻の三大聖剣でなければ倒せない相手もいるとの話が……どこに隠されているかは、商店街で“J”と書かれたお店に入り、情報を聞き出すなどする必要があります。ここでもお金が入り用となるので、とにかく安全に戦える場所で金と経験値を稼ぎ、地道に進んでいくことがエンディングへの近道でした。

ゲームをクリアするうえで大事なことは、商店街の“J”と書かれたお店に入り情報料を提供することで聞き出すことができます。タダでは教えてもらえませんので、あしからず。

 赤松先生は、本作を高校2年の1学期から作り始め、夏休みが終わるまでに仕上げたそうです。その足でボーステックに持ち込むととんとん拍子で話が進み、印税契約にまでたどり着いたとのことでした。残念ながら本数はあまり出なかったと本人が語っていたそうで、現在ほとんど見かけないのを見ると、それも頷けます。

パッケージの中には発泡スチロールのケースとフロッピーディスクが1枚、そしてマニュアルが入っています。今回はパッケージとマニュアルを友人から拝借しましたが、なんと赤松先生のサインが入っていました。
実機での起動後、BEEP音でしゃべるシーンと、序盤の装備を調えるまでの様子を動画で撮影してみました。音声がうまく聞き取れないときは、最初のみボリュームを上げてみてください。しゃべってるセリフは「はっはっは、私は神だ。逆らうものは皆死ぬのだ。ユリウス姫は助けられるかな? それではまた会おう」です。

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