ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
シンキングラビットの大ヒットパズルゲーム『倉庫番』
2022年3月8日 00:00
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、シンキングラビットから発売された名作パズルゲーム『倉庫番』を取り上げます。
1980年代初頭、アクションやテーブルゲームなどがパソコンゲームの主戦場だった頃、同じく盛り上がりを見せていたジャンルにパズルゲームがありました。コンピュータ上で行うことでミスをしても最初からやり直すことが容易というメリットや、ルール次第ではステージ数を無数に増やすことができるという特徴があったことから、いくつもの名作が生まれます。そのうちの1タイトルが、シンキングラビットが1982年に発売した『倉庫番』でした。これが同社の処女作ですが、今回取り上げたのは翌83年にリリースされたPC-8001mkII用となります。ストーリーは、以下のようになっていました。
あなたは、大きな倉庫会社でアルバイトをすることになりました! 仕事は、20もある倉庫を片付けることです。上手く片付けてください。ただし、荷物が大きいので、一つずつ押すことしかできません。何回か失敗すると、クビになってしまいます! 気をつけてください。なお、11番目の倉庫から非常に難しくなります。気長に頑張ってください。Good-Luck
プレイヤーは、描き出されたレンガ造りの倉庫の平面図を見ながら主人公の人物を操作して、置かれているすべての荷物を“・”印の場所に移動させなければなりません。荷物は1つだけなら押すことができるのですが、2つ並んだ状態になると動かすことはできず、さらに引っ張ることも不可能なため、荷物を片付けるにはプレイヤーの思考力が試されます。
無事に荷物を倉庫に片付けることに成功した時、あるいは荷物を動かすことが出来なくなった場合にF1キーを押すと配置判定が行われ、片付いている時は次の面に進むかどうかを、失敗と判断されたらやり直すかどうかをそれぞれ聞かれますので、イエスかノーで答えました。あまりに失敗が多すぎると、「お前なんてクビだ!」というメッセージが表示されたりしますが、その際でもリトライすれば問題ありません(笑)。
こうして、用意された全20面を解ければクリアとなるのですが、本作のキャッチコピー「あなたは1カ月以内にできますか?」の通り、後半になると非常に手強い難易度のステージが揃っていました。中には、ステージ中盤までは問題無く進められるものの、最後の1つだけが入らないという面もあるなど、よく考えられた荷物の散らかし具合になっていた倉庫も。
なお、見事に20面をクリアした人を対象としたキャンペーンも開催されていました。それは、一番難しいオリジナルの問題を考案して採用されれば、『倉庫番PART II』で使用されるというものです。賞金や賞品も用意されていて、ステージが起用された人の中から1名には最優秀作品原稿料として10万円、また10名には優秀作品原稿料1万円が、そして採用者全員にはもれなく『倉庫番PART II』がプレゼントされるというものでした。
プログラム自体はBASICで記述されているため、簡単に中身を覗くことができるだけでなく、全面クリアしても倉庫の状態を記したDATA文の仕組みさえ分かれば、プレイヤーが自由にステージを追加することができます。このDATA文を解析して、オリジナルのステージを試行錯誤した人も、当時のプレイヤーの中にはいたのではないでしょうか。
本作にて市場へとデビューしたソフトハウス・シンキングラビットですが、当時の雑誌には「シンキングラビットはちょっと変わっていて、家業のレコード店を経営する今林さん夫妻を中心に、5人のメンバーが設立した会社だ」と書かれていて、『倉庫番』を作った今林さんはレコード店を経営しながらのソフトハウス運営だったのがわかります。
なお、倉庫番はシリーズ生誕40年を迎えるのですが、公式ホームページもありますので、懐かしいと思ったらぜひアクセスしてみてください。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
- デカキャラが衝撃的だった「ザナドゥ」
- RPGが一気に身近なものに感じられた「ハイドライド」
- “スペースキーに重し”がキーワード!? 「夢幻の心臓II」
- PC-8801mkIISRの人気を不動のものにした「テグザー」
- ボクたちの堀井雄二さん作品といえば、コレ!「ポートピア連続殺人事件」
- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
- “ボンドソフト”の名前を一躍有名にした名作「タイムシークレット」
- 日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」
- MSX用のベストゲームとして挙げる人も多い「グラディウス2」
- コンピュータRPGの原点とも言える「ウィザードリィ シナリオ#1」
- 光栄の歴史シミュレーションシリーズ、その柱となる1本にして今も新作が続く「三國志」
- ザインソフトの名前を広く知らしめた「トリトーン」
- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
- スクウェアとサンライズがタッグを組んだ「クルーズチェイサー ブラスティー」
- 可愛らしい絵柄とは裏腹に歯ごたえあるアクションゲームだった「メルヘン・ヴェール」
- 全世界で大ヒットを記録した歯ごたえあるアクションパズルゲーム「ロードランナー」
- テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」
- これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」
- X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」
- シンプルな画面に隠された謎に夢中になった「MYSTERY HOUSE」
- ポニカの強み、版権ものタイトルの1本として登場した「南極物語」
- 今も続く「A列車で行こう」シリーズの元祖がここにある
- 木村明広氏の美麗なビジュアルシーンが印象的なRPG「エメラルドドラゴン」
- シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」
- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
- 敵をよけつつ岩を運ぶアクションパズルの名作 デービーソフトの「フラッピー」
- 初期アドベンチャーゲームの傑作にして、今も語り継がれる「デゼニランド」
- 巨大なスケールと隠された謎の多さに驚かされた名作第2弾「ハイドライド2」
- シリーズ1作目にして高い完成度を誇った光栄の「信長の野望」
- あの名作シューティングがついにPC-88シリーズにも移植された!「ゼビウス」
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- 「テグザー」に続く、ゲームアーツの傑作タイトル「シルフィード」
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- 幾千通りものシナリオを体験できた『ティル・ナ・ノーグ <ダーナの末裔>』
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- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
- アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』
- あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』
- あの名作シリーズの3作目『ウィザードリィ #3 - Legacy of Llylgamyn』
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- 当時としては驚くほどリアルなピンボールが遊べた『スーパーピンボール』
- 前作から大幅にパワーアップして舞台は全国に! 『信長の野望 全・国・版』
- 当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』
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- ギルに助け出されたカイがパソコンでも大活躍!『ザ・リターン・オブ・イシター』
- アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」
- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
- ファルコムタイトルの中でも、群を抜いてレア度の高い1本『バードランド』
- より戦略性が増した「大戦略II」、生産タイプが増え、同時攻撃や間接攻撃も可能に!
- アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』
- スクウェアの『アルファ』、ほぼ全シーンでアニメーション処理が導入されたADV
- ボクらのマリオ!ハドソンソフトの『マリオブラザーズスペシャル』
- 「Lotus 1-2-3 R2.1J」 あの頃の表計算ソフトと言えば、Microsoft Excelじゃなかった!
- 3機の合体シーンが印象的だった超メカシューティング『ヴォルガード』
- ファルコムのFM-7向け初アドベンチャーゲーム『異次元からの脱出』
- 「死体蹴り」の元祖といえばこのゲーム! 『エグゾアII ウォーロイド』
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- みんな使った!日本を代表するワードプロセッサソフト『一太郎Ver3/Ver.4』
- サイバーパンクな雰囲気に飲み込まれ、そしてエンディングに驚かされた『ザ・スクリーマー』
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- 『SAVIOR(セイバー)』その滑らかなアニメーションは僕らの心を掴んで離さなかった……
- デジタイザで取り込まれた美しい映像に、心躍らせた作品 ~1984年発売 『英雄伝説サーガ』~
- 剣と魔法と煌めく世界観が眩しいRPGだった『ソーサリアン』
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